Thread by @hinorie555

「教師をやめないなら、離婚してくれ」
その夜の夫の言葉は、
包丁のように静かで、鋭かった。

目の前の指導案も、転がった赤ペンも、
急に、自分とまったく関係のない世界の
もののように見えた。

喉の奥が詰まり、声が出ない。
胸の奥で何かが崩れ落ちた。

「変わったよな」…

夫の目は、わたしを見ていなかった。

「前はさ、どんなに忙しくても
家に帰ったら笑ってた。
今は目が死んでる。
いつも疲れてて、
家にいても心ここにあらず。
……おれと子どもが透明みたいだ」

言葉を返せなかった。

わたしは変わったのだ。
初めての担任、慣れない教室…

叱って、泣いて、笑って、立ち尽くして。
クラスの子のことを
考えない日はなかった。

それが「先生」になるってことだと、
思っていた。

でも気づけば、
隣で肩を落とす夫の声にも、
子どもの「ねぇママ」にも、
目も心も向けていなかった。

「先生になる夢を叶えた代わりに…

何を手放したんだろう？」

次の日、
子どもたちの名前がびっしり書かれた
指導ノートの余白に
小さく「夫と子どもの名前」を書いた。

このページに
本当は一番に書くべき名前。

その夜、わたしは夫に言った。

「やめない。
でも、あなたたちと一緒に生きていく」↓

「3月まで、どうしてもやり遂げたい」

夫は黙ったまま、
しばらく天井を見つめていた。
そのあと、ぽつりと一言。

「……じゃあ、おれも頑張る」

それから、わたしたちは
ほんの少しずつ、
“夫婦”を再構築していく。

仕事を減らせたわけじゃない。
でも、家族に向ける時間を
意識して「作る」ようにした。

仕事に追われる日々の中で、
ふと、夫が夕ご飯を
作ってくれている背中を見て、
胸がきゅっとなった…

「ありがとう」
その言葉を、やっと言えた。

わたしは、今も先生をしている。
でも、「先生」である前に、
一人の「妻」であり
「母」でもあることを、
忘れないようにしている。

教室で子どもたちに向き合いながら、
心のどこかでずっと思っている。

「この仕事を続けられるのは、
あなたのおかげだよ」

教師でいることも、
家庭を守ることも、
ひとりではできなかった。

教師を続けることにしたのは、
わたしの意思。
でも、それを支えてくれたのは、
やっぱり夫。

夫婦のすれ違いは日々起きています。
サインと対処法をまとめてみました。
自戒を込めて。

昨日は「自己肯定感を上げる簡単な方法」についてポストしました。

https://x.com/hinorie555/status/1926019361409544487

小学校教員歴12年の経験を活かして学校現場でのストーリーやお子さんの教育に役立つ知識を毎日ポストしています。明日も楽しみにしててください。
→@hinorie555

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