劉彦甫 Profile picture
東洋経済新報社・東洋経済編集部員(東アジア、特集・連載担当)。2024年9月まで解説部記者(台湾・東アジア国際関係、マクロ経済)。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。詳細プロフィールや過去の執筆記事は下記リンク先の著者ページをご参照ください。
Oct 7 10 tweets 1 min read
今回の頼清徳発言の「賢さ」を理解するには、まず中華民国と台湾の対立関係を理解する必要がある。中華民国政府は台湾移転後に国民党による一党独裁で反体制派などへの弾圧を行った。中華民国を打倒し、台湾国の建国を目指す台湾独立派も中に含まれた。民進党のコア支持層にはこれら反中華民国の人が→ 多くおり、自分たちの国を中華民国だとするのを好まない(ゆえに選挙集会で中華民国旗を民進党支持者は使わない)。一方で台湾共和国建国という独立路線を封印して、現状維持を掲げる民進党の政治家はこの中華民国と台湾の対立関係をどう位置づけるかに苦労してきた。蔡英文前総統は「中華民国台湾」→
May 9 9 tweets 1 min read
台湾の大手テレビ局TVBSが蔡英文総統任期最後の世論調査を発表した。日本での支持率にあたる満意度は42%で、不満は46%だった。馬英九の任期終了直前は満意度23%(不満58%)、その前の陳水扁は同13%(不満69%)と比較すれば十分成功した政権と言え、だからこそ民進党政権が継続→
news.tvbs.com.tw/politics/24798… することになったともいえる。5月20日に発足する頼清徳新政権は蔡政権の恩恵に与っている状態だが、逆に言えば前政権よりも支持率が低い状態で政権をスタートさせることになりかねない歴代政権が経験したことない逆風にも晒される。調査では蔡政権の過去8年の評価も聞いており、介護政策、自主国防、→
Apr 16 14 tweets 1 min read
昨日配信された私のインタビューについては常識的な前提をいくつか省いて話が始まっているので、ひとつだけ補足します。冒頭から中国の軍拡に対して、防衛力強化が必要と指摘しています。「日本は関係ない」、「なぜ日本が台湾を助けるために防衛強化するのか」という反論や反問がよくなされますが、→ これらは中国がもっている前提や私の考えに対する理解が間違っていることによって出るものです。まず現在の東アジアの安全保障体制において、台湾海峡有事も朝鮮半島有事も日本は関係あります。各地域で軍事衝突が起きれば米軍が介入します。その際に在日米軍基地は利用されますし、現在の日本は→
Apr 1 10 tweets 1 min read
台湾の馬英九前総統が本日より訪中している。今回の訪中は一般的に5月に発足する頼清徳政権への揺さぶりを中国が狙っていると解釈される。確かに民進党に一定のプレッシャーを与えるので、これは間違いでない。ただ実際に台湾社会に与える影響はかなり限定的だろう。馬氏の訪中は昨年に続き、2回目で→ 今回は8日に習近平国家主席と会談する可能性も報道された。2人は2015年に首脳会談している。海外からの注目は集めるだろう。ただ、現在の馬氏は総統を退いて8年も経ち官職に就いていない。馬氏も台湾の政策を代表できる立場にないのは分かっており、彼が理想と考える中台(両岸)関係のために行動を→
Feb 13, 2023 32 tweets 1 min read
昨日沖縄で開かれた「『台湾有事』を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」のシンポジウムは現状維持と平和を目指す台湾社会への無理解と侮蔑的な姿勢が重なった。特に沖縄タイムスの宮城栄作編集局長による台湾に対する筋違いの図々しい「要求」は台湾側の神経を逆撫でする対話とは正反対で今後の議→ 論を困難にしかねない衝撃はあった。シンポジウムは昨年10月に行われた「沖縄対話プロジェクト」の発足イベントに続いて行われたもの。台湾側から2名の識者を招き、沖縄の「識者」と議論する形だった。台湾側の2名は一般的にそれぞれ民進党と国民党の立場に近いとされているものの、見識を深く備えた→
Oct 17, 2022 14 tweets 1 min read
「台湾有事を起こさせない」沖縄対話プロジェクトの趣旨は賛同だが、発足イベントの報道みて失望した。沖縄タイムスによれば「台湾側には現実的な危機感は薄く、『日米政府が危機をあおり続けている』といった指摘に来場者は熱心に耳を傾けた」とのこと。台湾の一般的な認識を見事に歪曲してくれた。→ 台湾に危機感が薄いというのはある一側面だけを抜き取れば間違っていない。中国の大規模な軍事演習に動じていないし、今すぐ中国が台湾に攻めてくるとは台湾社会も思っておらず落ち着いている。だが、それは台湾が中長期的に有事は起こらないと確信して何も準備していないことを意味しない。そもそも→