松尾 豪 Go Matsuo Profile picture
国内外電力市場・制度と燃料中・下流(ガス・石炭)の調査を行っています。CIGRE会員、電気学会正員、公益事業学会会員。お問合せはgo.matsuo@eesi.co.jpまで。ツイートは全て情報・思考実験の備忘録で、議論はしません。
Apr 2 6 tweets 1 min read
昨年4月10日と5月10日にデンマークにおいて、発電予測誤差・ネガティブプライスが原因で、停電寸前の事態が発生したらしい。記事とEneginetプレスリリースを読む限り、以下の事象が発生したと理解。

1)4月10日の事象
①デンマーク西部(DK1)では供給過多が予想され、second-opinion.se/incidenter-nar… 近隣諸国も同様の予想であった。
②市場価格は16,391デンマーククローナ/MWhのネガティブプライスを記録した。
③TSO・Energinetの説明では、ネガティブプライスを受け、洋上風力は全て停止した。ところが、ほとんどの太陽光・陸上風力は停止しなかった。
energinet.dk/om-nyheder/nyh…
Mar 24 7 tweets 1 min read
再エネタスクフォースの主張にはいくつか問題点があると思います。

①容量市場制度の即時廃止を主張し、安定供給が危ぶまれ、国民生活に多大な影響を及ぼすところであった
現在の安定供給は火力電源なしには成り立ちません。風が吹かず、日が照らない時には、火力がないと電気を供給することが できません。仮に、今の市場環境で再エネ100%を実現しようとすると、「南の島のハメハメハ大王」の歌じゃありませんが、風が吹かず、雨が降ったら電気は使用できなくなってしまいます。
ところが、火力電源は電力自由化による競争環境において、事業継続が困難な設備が増加しています。
Jan 3, 2023 5 tweets 1 min read
英国がロシア産LNGの輸入を早期に停止できたのは、英国で荷揚げ指定された長期契約が存在しなかったためです。一方で、Total Energies(仏)やNaturgy(スペイン)など、ロシア・OAO Yamal LNGと長期契約を締結している事業者は、現在もロシアからLNG輸入を継続しています。
一般に、LNG長期契約は 「Take or Pay」と呼ばれる条項が盛り込まれており、契約の期中解除など、契約で定められた数量を購入しない場合には、それに相当する金銭を支払う必要があります。
oilgas-info.jogmec.go.jp/termlist/10012…
日本勢はSakhalin Energyと当該条項が盛り込まれているであろう長期契約を締結していますし、止めるのは
Jan 3, 2023 16 tweets 4 min read
先日のNHK「混迷の世紀」、ヤーギン氏のコメントに対しての私の所感の続きです。
ヤーギン氏「プーチン大統領は4つの計算違いをした。
①ロシア軍がもっと有能だと思っていたこと
②ウクライナが大手を広げて歓迎すると思い込んでいたこと
③アメリカが国内のことに手いっぱいで他国には関わらないと 思っていたこと
④欧州はロシアのエネルギーに依存しているため同調すると想定したこと
どれも一見筋道は通っていましたが、いずれも大きな誤算になった。リーダーが隠れ家に暮らしていて2年間ほぼ誰とも会わず自分が聞きたいことしか言わない人に囲まれていたら、そのリーダーはミスを犯す。
Jan 2, 2023 4 tweets 1 min read
尚、いつもの妄想ですが…
私がプーチン大統領だったら、Yamal Europe Gas Pipelineを通じた電子販売プラットフォームを活用した短期スポット販売を拡大します。
欧州はVREの大量導入により、VREの出力間欠性に伴う火力発電出力の変動、および燃料需要の不確実性といった課題を抱えており、長期契約の 天然ガス/LNGよりも、短期スポット調達が可能な天然ガス/LNGを志向します。これで当面の間は、ロシアは欧州に対して脱炭素化の面からも、エネルギー安定供給の観点からもプレゼンスを維持できると考えられます。
流石に、現在の状況で、欧州各国政府が公益事業者に対して、ロシア産天然ガスのスポット
Jan 2, 2023 5 tweets 1 min read
これは30回くらい継続して発言してもいいかもしれない。

ロシアが欧州のエネルギー市場に影響力を残すにあたって必要な要素は2点。
①欧州が脱炭素の動きを加速して、ロシア産エネルギー資源に依存しない「現実的な」柔軟性電源の確保無きVRE導入へ突き進むこと(欧州の対露対応策は、ロシア産燃料に 依存しない火力電源≒石炭火力の政策的保護およびLNG基地併設のLNG火力発電所整備になります)。
②現実的な柔軟性電源確保策を欧州各国政府が政策提言せず、柔軟性電源確保策の議論無き脱炭素化(VRE導入拡大、電化推進)を推し進めること(これが第一段階目)。第二段階目は、Gazprom Exportと欧州公益
Jan 1, 2023 7 tweets 1 min read
やはり私は、今回のウクライナ情勢に伴うロシア産エネルギー資源の話題は、特に天然ガスについては、一次エネルギーやエネルギー輸送の視点だけでなく、もう少し下流の再エネ・脱炭素も目くばせして議論すべきだと思います。
考えれば考えるほど、ウクライナ情勢に伴うロシア産天然ガス供給問題の 本質は、欧州で大量導入されるVREなのですよ。地域全体でVREの出力間欠性に伴う燃料バッファの必要性という「課題」を抱え、柔軟性電源確保が叫ばれたが、(ドイツのバイオガスなど機能しているものはありますが)VPPなど、足元の柔軟性電源不足に対して効果的な解決策とならない手段が
Jan 1, 2023 12 tweets 2 min read
先ほどのNHKスペシャル「混迷の世紀」ダニエル・ヤーギン氏のコメントに関して、私の所感を少々述べさせていただきます。
ヤーギン氏「短期的にはエネルギー価格が跳ね上がっていることから、プーチン大統領はより多くの利益を得ている。戦争の2つ目の戦線が開かれたと言える。ウクライナでの戦線に 加え、欧州でのエネルギー戦線が生まれた。具体的にはドイツとロシアが戦っている。」
所感:私は以前、以下のようなツイートをしました。

エネルギーの安定輸出には、友好的な関係にある経済圏が必要との視点でした。他方で、一旦その友好関係が破壊された場合には、需要側は
Sep 17, 2022 11 tweets 1 min read
リズ・トラス首相の就任後初議会演説だが、非常に重要なものであった。確認できていなかった。しまった。
「私は、エネルギー安全保障と供給力確保に対する、英国の短期主義的なアプローチを明確に終了させるつもりだ」と述べている。
gov.uk/government/spe…
・供給力を増やし、経済を活性化し、 市場の流動性を高めることで、介入に要する政府の費用を大幅に圧縮できる。
・我々が直面している緊急事態への対処だけでなく、根本的原因にも対処していく。
・過去数十年間のエネルギー政策では、供給力の確保に十分配慮してこなかった。英国はこの25年間、原子力発電所を一基も建設していない。
Sep 1, 2022 5 tweets 1 min read
欧州電力市場の現状は、2021年1月の日本に重なる。市場参加者は恐怖のあまり、大量に合理的とは言えない高値の買い入札を入れ、結果として市場価格高騰を招いた。まさに囚人のジレンマに直面し、スパイラル的な価格上昇が発生した。今回の欧州は先物市場で発生した現象ではあるが、シングルプライスの 市場の場合には、小売が価格決定権を相当程度持つことから、合理的とは言えない市場価格となる可能性が生じ、先物市場へ影響する可能性がある。需給ひっ迫時には今回の事象は避けようがないのではないだろうか。
今回の事象は、まさにEnergy Only Marketにおける電源投資の「価格シグナル」と
Aug 29, 2022 4 tweets 1 min read
私なりの現時点での理解では、電力システム改革の問題点は3点
①電源や相対契約を持たない新電力の参入許容(但し、これは特定規模電気事業者時代から抱えてきた課題)
②市場活性化策:限界費用玉出しを行う場合には、Scarcity Pricingの導入も併せて議論すべきであったし、「出し惜しみ」の監視に 留めるべきではなかったか
③FIT制度下における再エネ大量導入と市場活性化策の整合性、および容量市場の導入タイミング(しかしながら、容量市場は貫徹小委の議論を見ていた人間としては、最速スケジュールでの導入だったように感じる)
結論、感情的な反発は多いが、東日本大震災後に電力システム
Aug 28, 2022 5 tweets 1 min read
ウ原発に砲撃 放射能漏れの恐れ
#Yahooニュース
news.yahoo.co.jp/pickup/6436947
コメントしました。 エネルゴアトムの声明にある、「ロシア軍のロケット弾攻撃が、屋外保管されている乾式キャスクの破壊を企図したものだった」といった見解が本当だったとしたら、原子力関連施設への軍事攻撃、しかも人為的な原子力災害を起こそうとしているとも指摘でき、これは前代未聞だと思う。
Aug 27, 2022 4 tweets 2 min read
ロシア、余った天然ガス焼却か
#Yahooニュース
news.yahoo.co.jp/pickup/6436861
コメントしました。 少し補足します。
この写真は陸地が右側にあるように見えますので、ポルトビャヤよりも東の海上から撮影したと考えられます。
ポルトビャヤにはNord Stream1用のガス圧縮基地とLNG基地の二つが存在しますが、このBBCの衛星画像では、LNG基地にてガスフレアが上がっています。
bbc.com/news/science-e…
Jul 28, 2022 6 tweets 1 min read
とうとうビジネス・エネルギー・産業戦略省に「規制機関として無能」と言われてしまったOfgem。
current-news.co.uk/news/ofgem-bra…
私は、先日の電力・ガス取引監視等委員会制度設計専門会合における小売電気事業者への規制の議論に違和感を感じた。
既に小売電気事業者の撤退時に賦課金・託送料金未納が生じる 事態が生じている。小売電気事業者が適切なヘッジを怠る状況が生まれた結果(但し、これは国際的な自由化・市場化の潮流の下で発生した事象とも言える)、若しくは財務的な基盤を有さない小規模事業者を参入させてしまった結果と言える。議論では、ストレステストに手間がかかる点が指摘されていたが、
Jul 21, 2022 4 tweets 2 min read
こうやって整理していただけると、ロシア産天然ガス(左)と石油(右)の依存状況がとても分かりやすいですね。
acer.europa.eu/sites/default/… やっぱりロシアの欧州向け天然ガス供給量の減少幅が大きいのは、YamalとSoyuz・Progress・Urengoyなんだなあ。
Jul 21, 2022 8 tweets 2 min read
本件、お問合せをいただいたので、こちらで説明します。画像の出所はICISさんです。icis.com/explore/resour…
Power of Siberia 3はサハリン→ハバロフスク→ウラジオストクを接続するルートで、ハバロフスクから分岐して中国に接続する分岐線を含む。
つまり、このパイプラインが完成すると、 サハリン2からの天然ガスが何らかの理由で供給遮断された場合、本来日本に来るはずだったLNGが天然ガスとして、中国に販売される可能性は否定できなくなると考えられる。
ただ、残念ながらサハリン2の長期契約が切れるのは「数年後」ではない。
別添画像はGIIGNL Annual Report2022で、
Jul 20, 2022 4 tweets 1 min read
冬の電力不足、火力6基分を再稼働し対応へ 経産省方針:日本経済新聞
私はkW公募、kWh公募のタイミングを見直さないといけないと思う。電源不足のリスクが議論された時、発電事業者側で費用負担という当時の新電力の主張は何もしないのと同じなので論外だとして、 nikkei.com/article/DGXZQO… 調整力公募を実施(事実上の問題先送り)という意見も、結果として電源休廃止は止められなかった。当然だ。調整力公募は一年前募集で、その間の発電事業者側の不確実性を埋められないからである。
容量市場に価値があるのは、4年前からCapacity adequacyを確保できること。但し、24年度以降は
Jul 20, 2022 4 tweets 1 min read
年末で廃止予定のドイツの原子力発電所は4.056GW。
bundesnetzagentur.de/DE/Fachthemen/…
ドイツは2023/24冬まで天然ガスが需給ひっ迫するようだ。2024年3月末まで1年3ヶ月、原発が稼働延長したとして、その稼働延長分が他の天然ガス火力の稼働抑制に繋がったと想定(欧州の天然ガス火力は熱供給を行っていることも あり、効率が悪い。HHV50%と想定)すると、LNG相当で791.36万トンの天然ガス抑制に繋がる。
欧州は危機前、LNG相当で年間1.5億トン近くの天然ガスをロシアから購入していた。仮にドイツが原発の稼働を継続すれば、まあまあの天然ガス抑制量を稼げる。
Jul 20, 2022 7 tweets 2 min read
ドイツ連邦ネットワーク庁による、ロシアの天然ガス供給状況:2022年7月19日現地時間13:00時点
bundesnetzagentur.de/DE/Fachthemen/… ロシアによるドイツ向け天然ガス供給状況は13日以降、ゼロの状況が続く(日本時間19~20日にかけてNS1は供給再開したとの報告有り)
Jul 18, 2022 4 tweets 1 min read
ロシアによるガス供給量削減により、ドイツ産業界は工場閉鎖の危機に直面
ft.com/content/07df3f…
ロシアによる供給減少・停止した場合、多くの産業用需要家はほぼ選択肢がない。ドイツ政府は冬季の天然ガス危機を懸念しており、産業が麻痺し、何百万人の人々が自宅で凍えることになるかもしれない。 ドイツはいよいよ、50年にもわたるロシア産天然ガス依存のツケを払うときが来ている。ロシア産天然ガスに裏付けられた電力市場におけるFlexibility確保策や市場設計、アデカシー確保策も見直すタイミングに来ているのではなかろうか。
この記事を読む限り、最早ドイツ政府に供給増を前提とした
Jul 18, 2022 4 tweets 1 min read
IEA声明 – 大規模なガス危機を防ぐため、欧州全域で協調した行動が必要不可欠である。以下、緊急的な5つの対策。iea.org/commentaries/c…
①EUの産業用ガス需要家に対し、需要を減らすインセンティブとしてオークション制度を導入する。
②発電部門における天然ガス利用を最小限に抑える。技術的に 可能であれば、原発を含む低炭素電源の導入を加速させながら、石炭火力・石油火力の発電量を一時的に増加させる。
③ピークカットの枠組みを含め、欧州全域のガス・電力事業者間の調整を強化。これはガスの使用量減少が電力系統に与える影響を軽減する。国家・欧州レベルでの火力発電所の運転に関する