松尾 豪 Go Matsuo Profile picture
国内外電力市場・制度と燃料中・下流(ガス・石炭)の調査を行っています。CIGRE会員、電気学会正員、公益事業学会会員。お問合せはgo.matsuo@eesi.co.jpまで。ツイートは全て情報・思考実験の備忘録で、議論はしません。
Dec 7, 2024 15 tweets 2 min read
様々な課題があるとは理解しつつ、東京電力ホールディングス福島第二原子力発電所再稼働とAIデータセンターの組み合わせによって、福島県の復興および産業育成に役立てる考え方もあるのではないかと考え始めました。勿論、地元理解と安全確保が大前提でありますが、(1/15) 福島県の産業育成や雇用確保、経済成長にも資するのではないかと考えます。仮に再稼働が実現するならば、水素還元製鉄プラントの誘致なども考えられると思います。

●福島第二原発の現状
福島第二原発は2019年7月13日に廃止が決まり、2021年6月23日に廃止措置作業に着手しています。(2/15)
Sep 21, 2024 6 tweets 1 min read
米スリーマイル原発、再稼働へ MicrosoftのAI電力供給 - 日本経済新聞
Utility Diveによると今回のMicrosoft DCはスリーマイル原発併設ではないという。一方でペンシルベニア州・サスケハナ原子力発電所に併設されるAmazon DCは、サスケハナ原発を運営する(1/6)nikkei.com/article/DGXZQO… Talen EnergyとAmazonでPPA締結に至ったものの、自営線供給扱いになり、託送料金浮かし効果が生じる。当然ながらPJM管内の他の電気事業者、具体的にはAmerivan Electric PowerとExelonは猛反発しており、FERC公聴会の開催を求めている。

(2/6)utilitydive.com/news/aep-exelo…
Aug 27, 2024 6 tweets 1 min read
”太陽光+蓄電池のLCOEが低下した”といった議論を見かけたので、所感をコメント。率直に申し上げると「やはりkWh確保の視点が抜けている」と言わざるを得ない。

太陽光発電は2022年に926億kWh発電している。これは2010年の石油火力の発電電力量に匹敵する。他方で(1/6) enecho.meti.go.jp/statistics/tot…
Image 太陽光の導入量は頭打ちである。私のヒアリングでは、屋根置き太陽光も徐々に頭打ちになりつつあるという。
これを考えると、日本では新設太陽光+蓄電池のLCOEは高コストと言え、既設太陽光+蓄電池(電源併設/系統用問わず)の可能性があるといえる。
冒頭のコメントをされる方々は、(2/6)
Jul 2, 2024 7 tweets 1 min read
エネルギーフォーラム7月号に掲載されている松村敏弘氏の論考について指弾したい。
氏は長期脱炭素電源オークションについて「事業者からは収益の還付ルールへの不満が出ている。(中略)つまり基本的に事前に見積もられた固定費用全額が手に入る設計に反対しなかった事業者や有識者に、(1/7) 還付に不満を述べる資格があるのか考える必要がある」などと指摘している。
私はとんでもない暴論であると考える。氏の論考を前提にするならば「松村氏こそ制度設計の議論に加わる資格がないのではないか」と指摘できてしまう。氏はこの点をよく考えるべきだ。自身だけ何故そのような批判を(2/7)
Apr 30, 2024 11 tweets 2 min read
・X/Twitter上で高効率石炭火力の新設を求める声があると認識しているが、国際情勢や金融側の視点ではとんでもない話であり、これら一部の声が石炭火力の将来を閉ざしてしまう可能性を非常に憂慮している。
・これらコメントは軽薄であり、むしろ既存石炭火力の足を引っ張るものであると考える。 私は当面の間、石炭火力は日本に必要不可欠な電源であると考える。欧州でも風力の出力間欠性についてのコメントが増加している。例えば、英国スナク首相は、そのステートメントにおいて「太陽が照らず、風が吹かないときでも」といった一文があり、国際的にdunkelflauteの課題が認識され、 Image
Apr 2, 2024 6 tweets 1 min read
昨年4月10日と5月10日にデンマークにおいて、発電予測誤差・ネガティブプライスが原因で、停電寸前の事態が発生したらしい。記事とEneginetプレスリリースを読む限り、以下の事象が発生したと理解。

1)4月10日の事象
①デンマーク西部(DK1)では供給過多が予想され、second-opinion.se/incidenter-nar… 近隣諸国も同様の予想であった。
②市場価格は16,391デンマーククローナ/MWhのネガティブプライスを記録した。
③TSO・Energinetの説明では、ネガティブプライスを受け、洋上風力は全て停止した。ところが、ほとんどの太陽光・陸上風力は停止しなかった。
energinet.dk/om-nyheder/nyh…
Mar 24, 2024 7 tweets 1 min read
再エネタスクフォースの主張にはいくつか問題点があると思います。

①容量市場制度の即時廃止を主張し、安定供給が危ぶまれ、国民生活に多大な影響を及ぼすところであった
現在の安定供給は火力電源なしには成り立ちません。風が吹かず、日が照らない時には、火力がないと電気を供給することが できません。仮に、今の市場環境で再エネ100%を実現しようとすると、「南の島のハメハメハ大王」の歌じゃありませんが、風が吹かず、雨が降ったら電気は使用できなくなってしまいます。
ところが、火力電源は電力自由化による競争環境において、事業継続が困難な設備が増加しています。
Jan 3, 2023 5 tweets 1 min read
英国がロシア産LNGの輸入を早期に停止できたのは、英国で荷揚げ指定された長期契約が存在しなかったためです。一方で、Total Energies(仏)やNaturgy(スペイン)など、ロシア・OAO Yamal LNGと長期契約を締結している事業者は、現在もロシアからLNG輸入を継続しています。
一般に、LNG長期契約は 「Take or Pay」と呼ばれる条項が盛り込まれており、契約の期中解除など、契約で定められた数量を購入しない場合には、それに相当する金銭を支払う必要があります。
oilgas-info.jogmec.go.jp/termlist/10012…
日本勢はSakhalin Energyと当該条項が盛り込まれているであろう長期契約を締結していますし、止めるのは
Jan 3, 2023 16 tweets 4 min read
先日のNHK「混迷の世紀」、ヤーギン氏のコメントに対しての私の所感の続きです。
ヤーギン氏「プーチン大統領は4つの計算違いをした。
①ロシア軍がもっと有能だと思っていたこと
②ウクライナが大手を広げて歓迎すると思い込んでいたこと
③アメリカが国内のことに手いっぱいで他国には関わらないと 思っていたこと
④欧州はロシアのエネルギーに依存しているため同調すると想定したこと
どれも一見筋道は通っていましたが、いずれも大きな誤算になった。リーダーが隠れ家に暮らしていて2年間ほぼ誰とも会わず自分が聞きたいことしか言わない人に囲まれていたら、そのリーダーはミスを犯す。
Jan 2, 2023 4 tweets 1 min read
尚、いつもの妄想ですが…
私がプーチン大統領だったら、Yamal Europe Gas Pipelineを通じた電子販売プラットフォームを活用した短期スポット販売を拡大します。
欧州はVREの大量導入により、VREの出力間欠性に伴う火力発電出力の変動、および燃料需要の不確実性といった課題を抱えており、長期契約の 天然ガス/LNGよりも、短期スポット調達が可能な天然ガス/LNGを志向します。これで当面の間は、ロシアは欧州に対して脱炭素化の面からも、エネルギー安定供給の観点からもプレゼンスを維持できると考えられます。
流石に、現在の状況で、欧州各国政府が公益事業者に対して、ロシア産天然ガスのスポット
Jan 2, 2023 5 tweets 1 min read
これは30回くらい継続して発言してもいいかもしれない。

ロシアが欧州のエネルギー市場に影響力を残すにあたって必要な要素は2点。
①欧州が脱炭素の動きを加速して、ロシア産エネルギー資源に依存しない「現実的な」柔軟性電源の確保無きVRE導入へ突き進むこと(欧州の対露対応策は、ロシア産燃料に 依存しない火力電源≒石炭火力の政策的保護およびLNG基地併設のLNG火力発電所整備になります)。
②現実的な柔軟性電源確保策を欧州各国政府が政策提言せず、柔軟性電源確保策の議論無き脱炭素化(VRE導入拡大、電化推進)を推し進めること(これが第一段階目)。第二段階目は、Gazprom Exportと欧州公益
Jan 1, 2023 7 tweets 1 min read
やはり私は、今回のウクライナ情勢に伴うロシア産エネルギー資源の話題は、特に天然ガスについては、一次エネルギーやエネルギー輸送の視点だけでなく、もう少し下流の再エネ・脱炭素も目くばせして議論すべきだと思います。
考えれば考えるほど、ウクライナ情勢に伴うロシア産天然ガス供給問題の 本質は、欧州で大量導入されるVREなのですよ。地域全体でVREの出力間欠性に伴う燃料バッファの必要性という「課題」を抱え、柔軟性電源確保が叫ばれたが、(ドイツのバイオガスなど機能しているものはありますが)VPPなど、足元の柔軟性電源不足に対して効果的な解決策とならない手段が
Jan 1, 2023 12 tweets 2 min read
先ほどのNHKスペシャル「混迷の世紀」ダニエル・ヤーギン氏のコメントに関して、私の所感を少々述べさせていただきます。
ヤーギン氏「短期的にはエネルギー価格が跳ね上がっていることから、プーチン大統領はより多くの利益を得ている。戦争の2つ目の戦線が開かれたと言える。ウクライナでの戦線に 加え、欧州でのエネルギー戦線が生まれた。具体的にはドイツとロシアが戦っている。」
所感:私は以前、以下のようなツイートをしました。

エネルギーの安定輸出には、友好的な関係にある経済圏が必要との視点でした。他方で、一旦その友好関係が破壊された場合には、需要側は
Sep 17, 2022 11 tweets 1 min read
リズ・トラス首相の就任後初議会演説だが、非常に重要なものであった。確認できていなかった。しまった。
「私は、エネルギー安全保障と供給力確保に対する、英国の短期主義的なアプローチを明確に終了させるつもりだ」と述べている。
gov.uk/government/spe…
・供給力を増やし、経済を活性化し、 市場の流動性を高めることで、介入に要する政府の費用を大幅に圧縮できる。
・我々が直面している緊急事態への対処だけでなく、根本的原因にも対処していく。
・過去数十年間のエネルギー政策では、供給力の確保に十分配慮してこなかった。英国はこの25年間、原子力発電所を一基も建設していない。
Sep 1, 2022 5 tweets 1 min read
欧州電力市場の現状は、2021年1月の日本に重なる。市場参加者は恐怖のあまり、大量に合理的とは言えない高値の買い入札を入れ、結果として市場価格高騰を招いた。まさに囚人のジレンマに直面し、スパイラル的な価格上昇が発生した。今回の欧州は先物市場で発生した現象ではあるが、シングルプライスの 市場の場合には、小売が価格決定権を相当程度持つことから、合理的とは言えない市場価格となる可能性が生じ、先物市場へ影響する可能性がある。需給ひっ迫時には今回の事象は避けようがないのではないだろうか。
今回の事象は、まさにEnergy Only Marketにおける電源投資の「価格シグナル」と
Aug 29, 2022 4 tweets 1 min read
私なりの現時点での理解では、電力システム改革の問題点は3点
①電源や相対契約を持たない新電力の参入許容(但し、これは特定規模電気事業者時代から抱えてきた課題)
②市場活性化策:限界費用玉出しを行う場合には、Scarcity Pricingの導入も併せて議論すべきであったし、「出し惜しみ」の監視に 留めるべきではなかったか
③FIT制度下における再エネ大量導入と市場活性化策の整合性、および容量市場の導入タイミング(しかしながら、容量市場は貫徹小委の議論を見ていた人間としては、最速スケジュールでの導入だったように感じる)
結論、感情的な反発は多いが、東日本大震災後に電力システム
Aug 28, 2022 5 tweets 1 min read
ウ原発に砲撃 放射能漏れの恐れ
#Yahooニュース
news.yahoo.co.jp/pickup/6436947
コメントしました。 エネルゴアトムの声明にある、「ロシア軍のロケット弾攻撃が、屋外保管されている乾式キャスクの破壊を企図したものだった」といった見解が本当だったとしたら、原子力関連施設への軍事攻撃、しかも人為的な原子力災害を起こそうとしているとも指摘でき、これは前代未聞だと思う。
Aug 27, 2022 4 tweets 2 min read
ロシア、余った天然ガス焼却か
#Yahooニュース
news.yahoo.co.jp/pickup/6436861
コメントしました。 少し補足します。
この写真は陸地が右側にあるように見えますので、ポルトビャヤよりも東の海上から撮影したと考えられます。
ポルトビャヤにはNord Stream1用のガス圧縮基地とLNG基地の二つが存在しますが、このBBCの衛星画像では、LNG基地にてガスフレアが上がっています。
bbc.com/news/science-e…
Jul 28, 2022 6 tweets 1 min read
とうとうビジネス・エネルギー・産業戦略省に「規制機関として無能」と言われてしまったOfgem。
current-news.co.uk/news/ofgem-bra…
私は、先日の電力・ガス取引監視等委員会制度設計専門会合における小売電気事業者への規制の議論に違和感を感じた。
既に小売電気事業者の撤退時に賦課金・託送料金未納が生じる 事態が生じている。小売電気事業者が適切なヘッジを怠る状況が生まれた結果(但し、これは国際的な自由化・市場化の潮流の下で発生した事象とも言える)、若しくは財務的な基盤を有さない小規模事業者を参入させてしまった結果と言える。議論では、ストレステストに手間がかかる点が指摘されていたが、
Jul 21, 2022 4 tweets 2 min read
こうやって整理していただけると、ロシア産天然ガス(左)と石油(右)の依存状況がとても分かりやすいですね。
acer.europa.eu/sites/default/… やっぱりロシアの欧州向け天然ガス供給量の減少幅が大きいのは、YamalとSoyuz・Progress・Urengoyなんだなあ。
Jul 21, 2022 8 tweets 2 min read
本件、お問合せをいただいたので、こちらで説明します。画像の出所はICISさんです。icis.com/explore/resour…
Power of Siberia 3はサハリン→ハバロフスク→ウラジオストクを接続するルートで、ハバロフスクから分岐して中国に接続する分岐線を含む。
つまり、このパイプラインが完成すると、 サハリン2からの天然ガスが何らかの理由で供給遮断された場合、本来日本に来るはずだったLNGが天然ガスとして、中国に販売される可能性は否定できなくなると考えられる。
ただ、残念ながらサハリン2の長期契約が切れるのは「数年後」ではない。
別添画像はGIIGNL Annual Report2022で、