かつて東大の駒場には「ウクライナ思想史」という超マニアックな講義が存在していた。先生がずっと座ったまま専ら講義の原稿を読むというスタイルで、レジュメの類は一度も配られたことは無かった。学生は2人しかいなかった。初回でキエフ・ルーシが滅亡して未知の固有名詞だらけになり心底ビビった。
講義名は Intellectual History of Ukraine が元ネタで、N先生がハーバードに留学中にオメリヤン・プリツァク(Omelijan Pritsak)がそのような講義を持っていたことに倣ったものだったという。かつ「ウクライナ国家」というものが「思想」としてどのように歴史上表れてきたかを扱う講義でもあった。