雑学をまとめる犬 Profile picture
Youtubeチャンネル『雑学をまとめる犬(登録者15万人)』の中の人。 門戸の狭い学びを心がけています。専門は化です。
May 2 9 tweets 2 min read
・突然「規則性が崩れる」奇妙な積分

ボールウェイン積分は、sinc関数(sinx/x)に関する広義積分です。規則的に項を追加していくと、積分の値はずっとπ/2のままになります。しかしx/15の項をかけた瞬間、その値はπ/2よりもわずかに小さくなります。これは計算機のバグではありません。(続く) Image π/2からの誤差はなんと2.31×10^(-11)で、ほぼπ/2です。しかし厳密には異なる値です。そしてこれ以降この値がπ/2に戻ることはありません。この積分結果は2001年、父David Borweinと息子のJonathan M. Borweinにより発表されました。
link.springer.com/article/10.102…
May 1 11 tweets 2 min read
・『涼宮ハルヒの憂鬱』から解決された数学問題

通称「ハルヒ問題」は、最小超置換をめぐる数学の問題です。2011年に4chanに投稿された証明が後に検証され、正式に発表されました。議論のきっかけは、アニメ第1期が物語の時系列とは異なる順番で放送されたことでした。(続く) Image ここからファンの間で「最適な視聴順は?」という議論が巻き起こり、公平に判断するなら「すべての順番で見ればよい」という結論に至ります。しかし14話のアニメを並べる順番は当然14!(約872億)通りあります。これを単純に全て試すと、1兆話を超える視聴が必要になります。
Mar 24 10 tweets 2 min read
・花粉症の救世主の背景にある、悲しい歴史

鼻炎などのアレルギー症状に効く「アレグラ」の有効成分は「フェキソフェナジン」です。これが出るまでは「テルフェナジン」という成分の薬が使われていました。2つの成分は非常によく似ていますが、その背景にはとても悲しい歴史があります。(続く) Image 実は、テルフェナジンは肝臓で代謝され、フェキソフェナジンに変化します。有効成分はあくまでフェキソフェナジンであり、体内で構造が変わることを前提とした薬なのです。

このように体内で有効成分に変化する薬を「プロドラッグ」と呼びます。 Image
Mar 23 8 tweets 3 min read
・YouTuberがきっかけで研究が進んだ現象

鎖を容器から引き出すと、重力に逆らうように噴き上がる現象が観測されます。「鎖の噴水現象」の名で知られ、説明困難な現象とされていました。2013年にYouTuberのSteve Mouldが紹介し、世界的にバズったことで物理学者が本格参入します。(続く) ちなみに2012年のIYPT(国際若手物理学者トーナメント)では、未解明ながら「Investigate and explain the phenomenon.(現象を調査(実験)し、説明せよ)」と出題されています。
iypt.org/problems/iypt-…

・ブラジルチームの解答スライド
solutions.iypt.org/uploads/2012_B…
Mar 20 9 tweets 2 min read
・300kgの岩が勝手に動く?

デスバレー国立公園には、「セーリングストーン」と呼ばれる誰かが引きずったかのような軌跡が刻まれた岩がいくつもあります。重いものは数百kgと簡単に動かせるものではありません。発見から100年間、その成り立ちは地質学上の難問としてあり続けていました。(続く) Image これらの岩は、周囲の山から風化や崩落によって落ちてきたものです。ここは平坦な乾湖床で、約500メートル区間を測量しても高低差は最大5ミリしか確認されず、重力で自然に滑り落ちるような地形ではないことが分かっています。
Mar 14 17 tweets 3 min read
・マーガリンは危険なのか?

かつて「食べるプラスチック」とも揶揄されたマーガリンは、なぜ危険視されるようになったのでしょうか。その評価は、現在の科学的知見から見て妥当なのでしょうか。この問題の多くは「基礎的な化学」から理解することができます。(続く) Image ■前提:バターとマーガリンの違いは?

・牛乳などから作られる「動物性油脂」がバター
・植物油を固めた「植物性油脂」がマーガリン

です。つまりマーガリンは「液体」の植物油を、バターのように「固体」に近い状態まで固めた食品といえます。 Image
Mar 10 10 tweets 1 min read
・世界で最も深い穴

ロシアのコラ半島には、小さな金属の蓋で封じられた穴があります。深さはなんと12,262メートル。人類が地球の内部へ到達した、史上最も深い地点です。1970年に始まったソ連の巨大科学プロジェクトの跡地でもあります。(続く) Image 20世紀後半、人類が宇宙開発競争に熱中している頃、もう一つの未知の領域が研究者たちの関心を集めていました。それは地球の内部です。地球の半径は約6370キロメートルありますが、人類が実際に直接観測できるのはその表面近くに限られていました。
Feb 11 14 tweets 1 min read
・論文に載せると受理されなくなる女性

見覚えがある方もいるかもしれません。彼女の名前はレナ。画像処理研究における、超有名な1枚です。しかし2024年、レナが掲載された論文は受理しない方針が発表されます。一体この1枚の画像にどんな背景があるのでしょうか。(続く) Image 1970年代初頭、コンピュータで画像を扱う研究はまだ始まったばかりでした。アルゴリズムの性能を比較するためには、誰もが同じ入力画像を使う必要があります。しかし当時は共通データセットなど存在せず、研究者たちは各自が適当な写真を持ち寄って試験していました。
Jan 4 8 tweets 1 min read
・靴屋の被曝ボックス:Shoe-fitting fluoroscope

X線で骨が透けるため、靴を履いたままでもつま先に余裕があるか等が一目で分かりました。国内に設置された約1万台のうち多くが安全基準を超えており、特に販売員は皮膚炎や潰瘍、重度の放射線障害を負った事例が記録されています。 Image 原点は靴店ではなく第一次世界大戦期の医療現場にあります。アメリカ軍では、兵士の足の障害が行軍能力に直結する問題として重視されており、靴を脱がせずに足の状態を素早く確認できるX線装置が求められていました。
Dec 28, 2025 5 tweets 1 min read
・知らぬ間に働かされる:reCAPTCHA

人間とロボットを見分けるシステム「CAPTCHA」ですが、考案者のフォンアンは「数秒の思考時間」を有意義に使えないかと考えます。彼は「書籍のデジタル化の際に機械が読み取れなかったテキスト」をCAPTCHAに組み込むことで、人間に識別させることを考えました。 Image システムは「reCAPTCHA」と名付けられ、2009年にGoogleに買収されました。背景にはGoogle booksの電子化作業を劇的に加速させる目的があったとされます。ニューヨークタイムズの20年分のデジタル化がわずか数ヶ月で終了するなど、人類最大の分散労働システムとして世界を大きく変えました。
Dec 6, 2025 6 tweets 1 min read
世界中で増殖し続ける女性:ヘンリエッタラックス

彼女の細胞は「HeLa細胞」と呼ばれ、その圧倒的な扱いやすさから世界中で培養試験に使われています。子宮頸がんのため31歳で息を引き取りましたが、腫瘍から採取した細胞は異様な速さで分裂し続ける特異的な性質を持っていました。 Image 医師は子宮頸部に腫瘍を発見し生検を実施しましたが、このとき採られた組織の一部は彼女の同意なしに研究室へ回されました。当時は説明や同意を求める医療文化がほとんど存在せず、治療のついでに細胞を採取する習慣は珍しくありませんでした。