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『村が消えた』緑に覆われる山々。そこに人の営みは見られない。しかし、ここには村があった。多い時には1300人を数えた住民は、今はたったの1人だ。消えた村の現状を確かめるために、『石鎚村(現・西条市)』へ行ってみた。
それは40年前の航空写真を眺めていた時だった。山の中に不思議な集落があることに気がついた。集落は尾根筋に存在し、いくつもの家屋が綺麗に密集していた。それにも関わらず、現在の地理院地図、航空写真の双方からその存在が消えているのだ。この集落は一体何なのか。
色々調べていくうちに、その集落は『黒川集落』と呼び、既に住人がいないこと、そしてこの地域にあった『石鎚村』も、住民が僅か1人になっていることが分かった。現在の石鎚村、そして黒川集落はどうなっているのだろうか。今回は、石鎚村にあった集落のうちで、『黒川集落』へ行ってみることにした。
石鎚村は、愛媛県の東予地方、石鎚山の麓にあった。元々は千足山村と呼び、S.26になって『石鎚村』へと改称されたのだ。その後も、S.30に小松町に合併され、更にはH.16年に西条市に合併されて今に至っている。
西日本最高峰の石鎚山に代表される石鎚山脈。中央構造線沿いに石鎚断層崖を形成し、平野部から見たその姿は屏風のようだ。石鎚村はこの屏風の麓にあった。村に平地は無く、ほぼ全域が加茂川の形成した深い谷間に位置した。そして、村内にある集落の殆どがいわゆる"山岳集落"であった。
石鎚村に通じる愛媛r12(西条久万線)で加茂川上流へ向かう。加茂川沿いにはいくつもの集落があるが、そのいずれもで過疎化が進んでいる。しばらく走ると、『河口集落』で道は二手に分かれる。道なりに進めば石鎚登山ロープウェイへ至るが、ここは右手の愛媛r142(石鎚伊予小松停車場線)へと進む。
この『河口集落』は石鎚村の入口でもある。元来、石鎚村は農林業が主体で、石槌山への登山口としても賑わっていた。しかし、農林業の衰退、交通機関の発達による参拝ルートの変化により村は衰退した。2014年に、この先の中村集落に住んでおられた老夫婦が山を降り、石鎚村の住人はいよいよ一人になった
河口集落から約800メートルの場所にある『虎杖(いたずり)集落』。僅かな期間、この集落には石鎚村の役場があった。いわゆる村の中心部であったのだが、今は住む人もおらず、怨念に満ちた農協跡が残るのみだ。ここから黒川集落への車道は無いため、登山道とも言える山道を辿ることになる。
この山道は"黒川道"と呼ばれる。つづら折れで一気に高度を上げた後は、緩い斜度で森の中を登っていく。ところどころに舗装が残り、集落への重要な道であったことが伺い知れた。石鎚登山ロープウェイができる前は、石槌山への表参道として、並行する今宮道と共に石槌山へのメインルートでもあった。
『黒川集落(下黒川)』
植林帯を20分ほど登った頃、周囲に石垣が見えてきた。どうやら黒川集落(下黒川)に着いたようだ。黒川集落は2つの部落に分かれていて、下流の部落は下黒川、上流の部落は上黒川と言われる。現代の地図上から消えてしまったが、確かにここには集落があったのだ。
航空写真では分からなかったが、木々の下には石垣がどこまでも続いていた。その様は城壁を想像させる。ただ、下黒川に残る家屋は無く、全て倒壊していた。下黒川の先には、黒川道沿いにS.4年まで分校があったが、痕跡を探し出すことはできなかった。
『黒川集落(上黒川)』
黒川道沿いにある三界地蔵と石灯籠。この先に上黒川はあった。上黒川も下黒川と同様に、薄暗い森の中に石垣と平場が続いている。ただ、下黒川と異なるのは、二軒の家屋が残っていることだ。もちろん、無人となって随分経つので、建物は相当傷んでいる。
石鎚山へ至る参道沿いの集落として賑わった黒川集落は、下黒川、上黒川合わせて多い時で約30軒の家屋があり、その殆どが参拝者相手の季節宿(民宿)を営んでいた。今も残るのは二軒の家屋のみだが、共に当時の賑わいを感じさせる立派な建物だ。この二軒も季節宿を営んでいたのだろうか。
上黒川にある"地すべり危険箇所の看板"には、神社が描かれていた。早速、神社へ向かってみる。最初こそ分かりやすかった神社への道は、次第に怪しくなってきた。道を間違ったかな…そう思い始めた頃、鳥居が見えてきた。
『八妙神社』
変わった形の鳥居…ではなく、鳥居は崩れかけていた。これでは、鳥居が崩れるのも時間の問題だろう。その先にある『八妙神社』も無残な姿を晒していた。人の手が入らなくなってから久しいようだ。この荒れ方からすると、既に他の神社に合祀されているのかもしれない。
"40年前の航空写真にあったいくつもの家屋"は全て朽ち果てていた。多くの参拝客で賑わっていた『黒川集落』。S.43年の石鎚登山ロープウェイ開通により黒川道を通る参拝客は激減、それをきっかけにして集落住人は次々に山を降り、ついには集落から人の姿は消えてしまったのだ。
では、黒川集落が無住化したのはいつだろうか。今回、石鎚村では、住人の方に出会うことはなかった。周辺の集落で聞き込みを行い、大保木村(現・西条市)東之川出身の方にお話を伺うことができた。それによると、『はっきりとは覚えていないが、S.50年代だったよ』とのことだった。(画像は東之川)
黒川集落からの帰り道、石鎚村のいくつかの集落に寄ってみた。当然、どの集落にも人の気配はなく、残された家屋は荒れるに任されていた。唯一、この地域に最後まで住んでおられた中村集落だけは、今も人の手が入っているようであった。現在、石鎚村に残る住人は一人だけだ。
石鎚村からは人の営みが消えた。今回訪れた黒川集落がそうであったように、住人のいなくなった集落はただ朽ち果てるのを待つばかりだ。村民の方々は、村の衰退を食い止めるために色々な努力をした。しかし、それも叶わなかった。過疎化の先に待つ未来。石鎚村は、その未来に辿り着いたのだ。
以上で石鎚村の『黒川集落』についてのツイートは終わりです。この場をお借りして、お話を伺わせていただいた東之川出身の方にはお礼申し上げます。なお、石鎚村については、今回の訪問では時間が足りなかったため再訪する予定です。
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