「了解しました」がべつに失礼でないというまとめがトゥギャッターにできて、私の過去のツイッターも引用してもらっています。反応を見ると、「了解しましたを使うな」という意見に対して、疑問を呈する意見が並びます。私も疑問を呈する側です。〔以下連投〕togetter.com/li/1608681
私の「了解」関係でバズった発言は以下のものです。〈「了解しました」は「分かりました」とほぼ同等で、もう少し敬意がほしい〉として〈「了解いたしました」と言えば、何ら失礼ではなく〉と述べています。ただ、現在の私は単に「了解しました」でも気にならなくなりました。
私の「了解」に関する考えは長年の間に変遷があります。2013年、大学内でのセミナーで〈「了解」には敬意が入っていない、「承知」を使ったほうがいい〉と述べていることは以前書きました。2011年に出たマナー本の内容を無批判に受け売りしたものでした。
「了解いたしました」ならば失礼でないと考えはじめたのは2014年頃です。竹田さんのブログ「「了解」は失礼か?」に対し、私は〈「了解」自体が失礼とは感じませんが〔略〕「了解しました」でなく「了解いたしました」と言ってほしい〉と述べました。takeda25.hatenablog.jp/entry/20140209…
この時には、「了解!」「了解しました」は(私なら)目上に言わないな、「了解いたしました」なら敬語として問題ないな、と考えるようになっていました。〈「了解」には敬意が入っていない〉というだけの単純な認識が、竹田さんのブログに触発されて、修正されたのだと思います。
その後、菊池良さんが「了解は失礼」説が2011年からウェブ上で広まったと検証。髙橋・東泉・佐藤各氏が、2000年代のマナー本でOK説・NG説が拮抗、2011年にNG説が優位になったと考察しました。「了解は失礼」が最近広まったことが明らかになりました。liginc.co.jp/246919 pj.ninjal.ac.jp/corpus_center/…
最近広まった「了解は失礼」というマナーに、皆を従わせるべきか。これは無理でしょう。「了解(いた)しました」を長年問題なく使い、愛着すら抱いている人々に、「最近失礼と言われているから」というだけの理由で、使用を禁止することはできません。
私は「了解いたしました」なら万全だと思いますが、今では「了解しました」「了解です」と言われても気になりません(いい加減)。これは私の個人的な語感であり、「気になる」という人の語感も尊重したい。ただ、基本は「『了解しました』と言うな(or言え)」と人に強要すべきでないということです。
「了解しました」失礼説は『明鏡国語辞典』第2版の記述からでは?とのコメントを拝見しました。『明鏡』の記述は、単独の「了解」はぶっきらぼうだと述べたものと解釈されますが(髙橋・東泉・佐藤各氏の論文も同じ解釈)、ここから「了解しました」失礼説に飛躍した可能性はあります。
部長から「これやっておいて」と言われて「了解!」と返すのは、確かにぶっきらぼうです。「あ、了解です」「了解しました」なら判断は分かれるだろう(現在の私は気にならなくなった)、「了解いたしました」なら非の打ち所がない、ということです。

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14 Oct
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