Thread by @minesoh

「ウイルス干渉」と呼ばれる現象は実験条件などでは確かにはっきりと起こります👶これは、インターフェロン（IFN）というサイトカインなどを介したものです。

例えば、細胞にウイルスを振りかけて感染させる実験を行うとします👶ウイルスAを感染させると細胞が反応して、防衛が必要と周りに知らせたりするため、IFNを分泌します。

そうすると、免疫系の細胞が働いたりしてウイルスに対する様々な作用が起こります（抗ウイルス作用）👶そういうサイトカインがでているときには、別のウイルスにはかかりにくくなります。

試験管内で細胞だけであるとこれははっきり見えないことが多いのですが、例えば、実験動物を用いた実験ではこれはしっかりみえる現象として現れ得ます👶

ウイルスAを感染させるとまず感染・炎症がおこりIFNなどが細胞から出ている状態になります👶そこにウイルスBを感染させようとすると、IFNの作用もあり、本来ウイルスB単体で感染させる実験を行った場合よりも、ウイルスBに感染しにくくなる、という具合です。

さて、このウイルス干渉による効果がヒト集団などでも発揮されている可能性などはインフルエンザウイルスのA型とB型や、インフルエンザウイルスと他のウイルス感染症でも、考えられています👶たとえばこのエディトリアルでも述べられているような感じです。
academic.oup.com/jid/article/21…

十分に多くの人があるウイルスに感染する状況、すなわち大きな流行が起きていれば、ウイルス干渉がある程度働いて、他のウイルスが流行りにくくなるのではないか、という話ですね👶

さて、今回の新型コロナウイルス流行が広がる中、インフルエンザの流行は抑えられています👶これがウイルス干渉によるものでは、という意見が一部から出ているようです。

ばぶは、これはあまりないのではと考えています👶理由は単純で、新型コロナウイルスも流行はしているものの、ウイルス干渉で他のウイルス感染の抑制が説明できるほどには流行していないと思うからです。

インフルエンザって、通常日本で年間1,000万人れべるで感染者がでるのです…そういう状況でようやく流行の疫学的にはウイルス干渉が多少見えるかなというレベルだと思われます👶そう考えると、新型コロナウイルス感染者はそんなに大きくはないとみています…。

今シーズンのインフルエンザウイルスの流行が抑えられている理由としては、なによりもまず、❶海外からの持ち込みが少なく済んでいる、❷呼吸器感染症予防策が効いている（人出も少ない）だと思っています👶

流行が開始しなければ（ある程度指数関数的な増加が強くみられなければ）流行は大きく拡大しないですよね👶「開始」という部分、「増加」という部分両者が、新型コロナウイルス対策で抑え込まれているために、インフルエンザ流行が抑制されているのではないかなぁ、と考えています。

新型コロナウイルス感染によるウイルス干渉によって、他のウイルスの流行が抑えらえている、とは言えないんじゃないかなぁ…と思っています👶