Thread by @TrinityNYC

このWaPoの記事、たいへん興味深い。

1月6日の議事堂襲撃に参加したトランプ支持者らは、必ずしも「低学歴・低所得・田舎在住」ではない。逮捕者の経歴からわかったのは、彼らの多くに共通している点は

「なんらかの金銭的トラブルを抱えている／いた」こと。
washingtonpost.com/business/2021/…

記事中に、いくつか興味深い数値が示されている。これまでの逮捕者のうち125名の経歴をWaPoが洗ったところ、逮捕者の60％が、破産したり、自宅を抵当に取られたり家を追い出されたり、不良債務を抱えていたり、多額の税金未払いを抱えていたり、と、なんらかの形の金銭的トラブルを経験していた。

＊18％が過去に個人破産したことがある。これは全米平均の2倍近く。
＊25％が債権者から未払いで訴訟されたことがある。
＊20％が自宅を抵当に取られて失うという憂き目にあったり、あいそうになったりしたことがある。

「貧乏で学歴が低い者たちの怒り」みたいな思い込みがはびこってるが、実際には、それは過激思想にはまる人間の典型像ではない。実際、イスラム過激派には多くのエンジニアが含まれてたことがある研究でわかっている。（以前、オウムの幹部も高学歴という話しましたよね）

シカゴ大学による別の調査では、議事堂襲撃の参加者の4割が、自営業者あるいはホワイトカラー労働者で、中産階級あるいはアッパーミドルに属する者たちで、失業者は全体の9％しか、いなかった。

また、これも別の調査（2011年、ドイツで行われた調査）だが、極右の過激思想にはまる若者の家庭の背景として、家計所得は目を引く要因としては認められなかったが、有意に多くの若者が、「親の失業」を経験していた。

アメリカン大学でポリティカル・サイエンスを教える教授の分析では、トランプが支持者に向かって繰り返し主張した「社会から不当な扱いを受けている被害者」というレトリックは、必ずしも所得のような経済要因ではなく、むしろ個人的な体験に端を発した不安や不安定さに刺さったのでは、と。

記事では、フロリダからプライベートジェットでDCに駆け付け、襲撃の一部始終を自分のFBやツイッターでライブストリーミングした不動産エージェントの女性について書いており、彼女もやはり、金銭的なトラブルに見舞われていた。

彼女はもともと保守よりの考え方だったものの、とりたててトランプを熱狂的に支持していたわけでもなく、しかしパンデミックで時間ができたことで、ネットで極右動画やニュース、デマサイト、エポックタイムズなどに触れてるうちにディープに取り込まれていった。

議事堂襲撃の最中は気持ちが高揚し、どこか楽しいイベントに参加してるような気持ちになってSNSで発信していたが、自宅に戻ると彼女は「襲撃犯の顔」としてほうぼうから糾弾されることに。そしてFBIに自首。逮捕された彼女はトランプから恩赦してもらいたいと訴えた。

しかし、もちろんトランプが彼女を恩赦するはずもなく、トランプは去りバイデンが就任し、すべてはデマだったのだと悟り、仲間だと思っていた「愛国者たち」のだれひとりとして彼女に手を差し伸べる者はおらず、彼女は裏切られたと感じている。

彼女のようなひと、ほかにも結構いるよね。皆が皆、最初から暴力を働こうとして6日にDCに集まったわけではない。もちろん、最初から暴力沙汰にするつもりだった一団もいる。（トランプがホワイトハウスに招待したネオナチとかな。）

この不動産エージェントの話、読んでると、「バカな女」という気持ちと同時に、「憐れな女」とも思った。彼女のいまの心配事は、有罪になり投獄されたら、誰がワンコ2匹の世話してくれるか、だという。

うちの夫に言ったら「バカの自業自得、償いはバカが自分で取るんだな」と冷たかったですｗ

でも、トランプが支持者に力説した、「諸君は社会から不当な扱いを受けている被害者だ、わたしは諸君のような被害者のために働く大統領だ」という話にグッとくる人の根底には、どこか、「自分はこんな目にあうはずの人間じゃない」という、【特権意識】もなきにしもあらず、だと私は感じるね。

本来なら、特権持ってるはずの自分が、家を失ったり破産したり、親が失業して苦しい子供時代を過ごしたり、そんなはずないのに、自分がこんなに苦しい目にあったのに、特権を持ってないはずの移民や非白人はいい思いしやがって、という、そういう意識ね。