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26 Jun, 10 tweets, 1 min read
私が別姓に反対する理由は、大したものではないんです。人類学的なことを少し調べれば、世界にはいくつもの親族構造があり、それぞれそれなりな理由があって、価値観によって良し悪しはあるが、絶対はない。日本の、結婚後夫婦で新戸籍を作って、同姓の家族名を選ぶ仕組みもは結構良い。
親族構造は個人の問題ではありません。結婚には相手が要る以上、『こういうもの』という共通理解が社会で必要で、『人類共通の基準=人権』の問題ではなく、社会集団ごとの、究極的には、趣味の問題です。
いとこ婚率で内婚制は測定できます。中東イスラム社会は内婚率が高く、例えばパキスタンでは過半数がいとこ婚です。こうなると、両親が兄弟姉妹で、親戚は多重の親戚、つまり部族社会になります。このため、部族を越えた『国民』概念の形成が難しく、部族を越えるのは、軍隊とイスラムになります。
イスラムは本当はグローバリズムなので、国民国家を支えるのは軍隊しか残らず、イスラム社会でむき出しの軍事独裁が横行するのは、当然と言えます。イスラムを使った支配は、王権がイスラム法を代行するという形で行われるので、イスラム専制になり、私たちに親しい民主社会にはなりません。
米国の黒人社会が7割未婚の母になり、過半数が母子家庭になって、ドロドロの犯罪と薬物にまみれた地上の地獄が出現していることからも分かる通り、個人の選択が集団化すれば、強烈な、時に耐え難い変化がおきます。わたしは、イスラムの内婚社会も嫌だが、米国の黒人社会の崩壊家庭も嫌いだ。
人類学的には、原則別姓は父系の強化と女性の地位低下を意味します。トッドによると、父権の強化は文明の中心地、メソポタミアでは紀元前20世紀位、中国でも紀元前11世紀位には確立し、その後周辺地域に波及します。家族形態は、原始的核家族から、内婚制と共同体社会へ進化します。
簡単に言えば、内婚制が中東を中心としたイスラム、共同体社会は中国やロシアを代表例とする共産主義社会です。トッドによると、共同体社会は、家長の元に結婚した兄弟が住む大家族なので、父権と兄弟の連帯を特徴とします。これが共産主義の独裁制と人民の連帯を心情的に支えるわけですね。
核家族は先進的な形態ではなく、文明の周縁にいる、ヨーロッパ半島や日本のものです。たまたまそういう田舎地域が、ここ500年ほどブイブイ言わせているので、あたかも先進地域のように見えますが、違います。特に、日本は父権が弱く、男女双系なところに特徴があります。
夫婦別姓の問題に戻ると、別姓は実家からの独立を阻害し、嫁ぎ先からの排除を助長し、父権を強化して女性の地位の低下を引き起こすのは簡単に予測できるから、わたしの趣味ではありません。『子供を生んで育ててくれた後は、嫁には実家に帰ってもらう』になりかねない。
もちろん、別姓を選びたい人がいることは承知しています。理由は『めんどくさい』でしょ。だが、そういう人は少数派ですから、面倒をその少数派に被ってもらえば良い。多数派だって『めんどくさい』んです。旧姓の通称使用を認めて、公式文書などは、旧姓も付記する、で十分だろうと思います。

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27 Jun
『誰を愛するかで結婚を禁止するのは人権侵害(大意)』と米国大使館が言っておりましたが、嘘っぱちです。親族構造には、本当の理由はありません。親族構造の中で育った人が、自然に感じて楽チンだから、次世代に同じ構造が繰り返されていくだけで、内在的には理由があるけれど、人類共通の理由はない。
だから、『人類共通の権利=人権』の問題じゃない。『めんどくさい』は正義、というだけ。
親族構造を大きく分けると、外婚制と内婚制に分かれ、いとこ婚率で測定できます。欧米は外婚制、日本はほとんど外婚制、中東のイスラムが内婚制です。パキスタンが一番内婚率が高く、いとこ婚が50%を越える。よく、パキスタンで、親の決めた相手を拒否した女性が殺されたりしていますが、
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24 Jun
フランス 旧姓のまま。非公式には旦那の姓を使って良い。
ギリシャ 旦那の姓にするには裁判所の許可が要る
カナダのケベック 旦那の姓は不可
アイスランド 姓は『父の名+娘』
エチオピアとエリトリア 家族名なし。名は、個人名・父の名・祖父の名。婚姻で変わらず。
bbc.com/news/world-asi…
BBCの記事には、最近苦労して女側の姓に変えた米国の例が説明されていますが、欧米では、別姓もしくは男側に姓を変えるだけで、日本にあるような何もなしに男女対称なシステムになっていません。また、記事にはありませんが、モンゴルやチベットは家族名はなく、アラブは、自分の名 bin 父の名です。
例えば、オサマ・ビン・ラディンは、『ラディンの息子オサマ』だし、モハメド・ビン・サルマンは、『サルマンの息子モハメド』。家族名という概念も世界共通ではありません。
Read 7 tweets
24 Jun
わたしの見たところでは、黒人男性は、やりすぎじゃないかと思うくらいキッチリした人と、全然ダメなだらしない人と両極端に分かれます。残念ながら黒人の多数派が下劣な集団文化に陥っているだけで、人種ですべて決まっている訳じゃないから、そこはお間違えなく。
どの集団にも良い人悪い人がいる、という一般化はそれ自体は正しいものの、個人は白紙で生まれてどのようにでもなる訳じゃなくて、育ってきた家庭と集団文化に染まります。その文化の優劣自体はあり、少々ダメな人でも文化が良ければなんとかなります。
自由な社会では異端を可能な限り認める必要があります。認めるといっても、あくまで法の下の平等の原則に従うべきで、まして『異端の方が正しい』わけではない。『手本となるモデルはない』という考えも誤りで、現実の結果を見れば、そこそこなモデルとダメなものの差は歴然としている。
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19 Jun
なぜドロドロの犯罪と薬物にまみれた数多くの『ジョージ・フロイド』が、壊れた家庭、つまり、父親の不在によると考えるのか、説明しますね。米国では、年々未婚の母率が上がっていますが、人種によってその割合が全然違います。黒人は非常に高く7割を越える。
黒人家庭の7割強が未婚の母になったのは90年頃。それから30年そのまま続いています。実は白人でも3割は未婚の母。アジア人は1割ちょっとと最低です。差別のキツかった60年代以前では黒人家庭で2割だった未婚の母が7割になるのは、差別のせいではありません。
もちろん、旦那が死んだり、クズい男で別れた例はあるわけだから、少数未婚の母が出てくるのはしょうがない。しかし、7割が未婚の母になるのは、個人的事情じゃない。集団文化的に母子家庭を選択し、母子家庭の生活保護をあてにして、永久就職として子供を作るからです。
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18 Jun
2006年に米軍人が軍事誌に発表した民族別の『より良い』中東の国境線。眼目はクルド独立国、イラクの分割による湾岸のシーア国、サウジの分割でメッカ国、パキスタンの分割によるバルチスタン独立、アフガニスタンのパシュトゥンへの拡張であるが、
クウェートとカタールが石油が出るからそのままなことを見ても分かるように、イランやサウジが湾岸の石油地帯を手放す筈がなく、サウジなど、石油とメッカを奪われたら、単なる砂漠のプータローになるわけだから絶対同意しない。しかも、湾岸をシーア国にして、周辺国が黙っている筈がない。
細かいところを見れば、キルクークの油田をクルドに渡して、イラクのスンニは海へ出れない砂漠で農業せよ、ということだし、シリアの海への出口(ロシアの基地があるところ)をレバノンに渡せ、となっていて、シリアもロシアも認める訳がない。
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18 Jun
ポートランドの暴動は、米国の政治の仕組みによる官製暴動で、ジャーナリスト一般の話ではありません。米国の警察は自治体警察が主体で、市長の指揮下にあり、オレゴン州のポートランド担当検事、地方検事(DA)も選挙です。ポートランドはいわゆるバラモン・リベラルの町で、市長も検事も議会も左派。
市議会は昨年から次々と暴徒鎮圧できないような条例を制定し、その一つは、ジャーナリストが観察する権利です。だから、活動家は皆『PRESS』と書いた自作腕章を着けています。市長のテッド・ウィーラーはポートランド市警が暴徒を解散させるための催涙ガス使用を禁止し、鎮圧手段を奪っています。
さらに、地方検事は逮捕されてきたアンティファ暴徒を9割くらいそのまま釈放するので、ポートランドのアンティファは逮捕10回のような人がゴロゴロいます。起訴は大陪審によりますが、『起訴しない』のは地方検事の裁量だけでできます。これでは底の抜けた桶での水汲みです。
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