Thread by @02Curry

こないだRTしたいくと氏の「核融合炉は"核"爆発しない」というのを「爆発しない」に読み間違えてしまったせいで「爆発はするよ」って虚空に反論してる子を見かけて、似て非なる話を思い出した。

https://twitter.com/02Curry/status/792735558850125824?s=20

左の例は「肩に着弾したのに本体が大爆発する」右の例は「本体に着弾したのに付属品ぜんぶ同時に粉微塵になる」というサンプルです。後者はまぁリソースとプライオリティの問題だけれども。「アームで留めてるだけの盾板は爆発せずそのまま吹っ飛んでくよね」というところまできっちり描写するか否か。

前者の謎爆発ぶりは初代機動戦士ガンダム栄えある第一話で「爆発部位を外せば爆発しない」というのがクライマックスだったことを思えば厳しいルーズさです。いつも言ってる「初代機動戦士ガンダムは細部までやたらちゃんとしてたが続編以降はルーズになった」のひとつだけども。

この演出は初代ガンダムもそうなんだけど、オレ「全身全部の部位が謎のちからでその場に踏ん張って粉微塵になる」というのが好きではないんですよ。いや腕とかゴッソリ捥げてそのままのカタチで吹っ飛んでくだろと。

これは様式美。「地面がブロック状に砕ける」等と同じ「アニメという伝統芸能」独特の様式美。実写特撮でじかにプロップを破砕したなら端点の部位は捥げて吹っ飛んでくからね。被弾爆散したらもじどおり「散」してくれるのがいい。ハタ迷惑にもビュンビュン放射状に質量体をブッ飛ばしてほしい。

くれぐれも、そういうのは様式美ジャンルに対する「苦言」じゃなく「要望」だからね。トチ狂っちゃいない。様式に染まってるからこそそうでない表現が新鮮にも見えようし、その演出でこそ可能な副次的な描写もある。何が言いたいかというと劇場版閃光のハサウェイならそれもアリだろ？ということです。

劇場版閃光のハサウェイはこれまでのガンダム映像とはやや異なる臨場感ある殺陣を見せてくれ、それがたいそう好評を得てもいる。「人型ファイター同士の10倍寸空間のチャンバラ」だけでなく、怪獣映画さながらの肉感を呼び起こす副次的な演出が冴えている。

もし胴の主機が貫かれて大爆発(富野ワールド物理法則なら核爆発)したとしたら、腕や頭がそれにつきあってその場で粉微塵になる様式美準拠の謎爆発でなく、そっくり捥げてそのまま周囲にはじけ飛んで、やっかいな質量弾になって酷い惨事をもたらしてほしいのよね。アニメ版閃ハサなら…。

人型メカに限らず「脆い部位に破壊が集中する」というのはふつうにふまえて欲しいとこですよ。「箱型の装甲はそのままで可動部が引き千切れる」とか「何も入ってない箱はクシャッと潰れるが中に主機＝鉄のカタマリが入ってる部位はそのぶんだけ体積が維持されたままになる」とか。それがメカニクス感。

ことあるごといろんなモンの引き合いに出してモチ上げてるようなアルドノア・ゼロだけど、最終回の最終決戦のフィニッシュブローでスローで見せる部位破壊、この壊れ方があまりに意味不明でスゲー気になったままだ。機械が壊れてるんじゃなくてポリゴンモデルをバラしてるようにしか見えないんだが…。

腕の方は殴って当ててるブロックが結構まともな破壊のされ方(金属板の変形)をしてる(そういう3DCGモデルを用意している)のに、その後方の前腕がなぜかポリゴン表面をバラしたかのようにペラペラの板パーツに分解される。この分解映像をゆっくり見せられるものだから「これは一体何なんだ…？」てなる。

頭の方はさらに表面塗装色オレンジの微細な破片が大量に飛び散るので輪をかけてわけわからん。ただ殴ってるのでなくてなにか塗膜を分解する作用のある特殊効果を拳から出してるとかなの？

このオレンジは金属板の表面に塗ってある塗装色なので「オレンジ色の多角形の小片」というのはどうやってもできるものじゃないんだが…。これも一瞬のシーンじゃなくてスロー演出でじっくり見せてくれるのが謎。超謎。

そのムーブの反復元である一期最終回ではモノの道理に従って殴られた頭はちゃんと根元からモゲて吹っ飛んでくので、二期最終回で謎の微細分解に一変させた意図がなおわからない。

この「装甲板に包まれたワンブロックの頭は外力を受けるとその場で壊れるのでなく、力が脆弱な根元に押し寄せてゴッソリ捥げてしまい、そのまま頭が吹っ飛んでいく」というのがメカニクス的な破壊描写です。

一期最終回、「アルドノア・ゼロ主役マシンは"頭そのものがコクピットハッチに被せた上面装甲"なので、それ自体は堅牢であるべきで、なおかつ横殴りには弱い(＝そのまま捥げる)だろう」というのが的確に描写されてます。頭を失った画をみると首が外れてるんでなく首の根元の板から捥げてんですよ。

地球カタフラクトが上方から撃たれるときにはコクピットハッチの「上に被せた」頭ブロックがコクピット防御で最も脆弱なハッチ部分の装甲材を担うことになっていて、しかし「頭そのものが横から張り倒される」ような人の喧嘩じみた攻撃は想定されていないのであっさりと根元から捥げる。

コクピットハッチは敵と正対する正面よりも背面配置がベスト、そうでなければ側面や上面にするべきで、コクピットを装甲殻でくるんで唯一脆弱になるのがそのハッチ部分。なのでハッチを隠すようにその上から頭を乗っけてしまう。アルドノアのロボットデザインの理詰め度は飛び抜けて高い。

以前も言ったが「コクピットハッチを天面に配置して、そのうえに頭を乗せてハッチの脆弱さをカバーする」というスタイルはマクロスのVF-1が先駆です。あれもシステマチックなデザインの粋。アニメの様式美からするといかにも胸中央がカパッと開きそうだけど、そんなやべぇところにはハッチは設けない。

「コクピットハッチは脆弱だからその対策としてハッチの上に頭を乗せる」くらいのことまで考えてデザインできる人がデザインしたロボットでは、ハッチを開くときその頭がどっちに倒れるか？といったら、とうぜん搭乗時の防御に利するよう前に向かって倒れるんですよね。地球カタフラクトもVF-1も。

構造的に最強なカタチはド真円でありド真球。でもド真円やド真球じゃカッコつかないからってソコに「手癖」を加えて、若干の楕円球にしたりちょっと直線部分を設けたりするのははっきりいって無様な「逃げ」なんですよ。ド真円やド真球のままカッコをつけられるデザインの技量がないというだけのこと。

「若干の楕円球にしたりちょっと直線部分を設けたりする」と、その「ちょっと」の部分に応力がいっせいに集中して台無しになる。そんなことするくらいなら最初から奔放なカタチでデザインした方がマシ。ド真円のままでスタイリッシュに仕立てる能力がないのに取り繕った小手先デザインはみすぼらしい。

(ここら辺、暗にジオン水泳部のジャバラ部分をわざわざ真円デザインからカクカク段差のスキマだらけの連続パーツに大幅ダウングレードしておいて「リファイン」とか謳うクソダサさとかを念頭においてます)