Thread by @nishiurah

面白いのですが、神戸ポートアイランドにある理研R-CCSの命運を背負って計算しているだろう坪倉さんをはじめ、おそらくこの話で徹夜しているだろう方を思うと笑えない。坪倉さんとは昨年に研究会発表でご一緒したが普段の本来研究を脇に置いて、この話に必死に取り組んでいる。で、考えを巡らせた(1/8)

https://twitter.com/daisycutter7/status/1412398314658488331

萩生田文部科学大臣が発表したことは、強い政治的意図のある中で、重要イベントに関する計算のオーダーがなされたことを反映している。R-CCSのメンバーは巻き込まれた形。気の毒なのは「富岳を使った」が「すごい」の代名詞として使用されるコミュニケーション。菅首相からも同様言及があった（2/8）

坪倉さんは計算流体力学だから大規模計算は必要だけれど、この問題は必ずしも富岳でなくて良い。開会式の数値計算は、リスク解析でよく使用される確率モデルを使って井元清哉さん（東大医科研）も用量反応関係モデルに強いチーム（MARCO）と既に計算されて発表している。富岳がすごいのではない（3/8）

五輪は欧州のサッカーのように飲酒して肩を組んで歌って観戦するわけでない。オリンピックの感染リスクはスタジアム内は必ずしも高くなく会場外が注目される。その点十分にコミュニケートされて来なかった。外の行動はコンプライアンスや接触パターンで変動し不確実性が高く、定量化が困難。（4/8）

それでバッサリと研究を切り捨てるのは余りにも勿体なく、MARCOも理研もこれまでに日本になかった定量化の貢献をしていることに注目いただきたい。社会実装として研究者側に揶揄対象の大罪がある訳でなく、それを使おうとする者との意図や実装科学のギャップ問題がそこにあるのが本質的問題。（5/8）

流行リスクに係る数値計算について政策関連のオーダー段階から意思決定へ繋げるまでの機構問題と言える。ここまでのところ当たり前だけれども官邸やその周囲にモデルを介する方はいない。だから徹夜を強いられるのにSoundでないオーダーが来ていることのほうが多い、という状況が生み出される。（6/8）

おそらく解決策は政策実行をする公務員レベルのリテラシーがあがり、場数を踏んで専門家をうまく使いこなせるようになること。その中に欧米や東大京大のSPH修了生がいると、より適切な内容とタイミングで適材適所の人材を特定して発注ができるだろう。それにより適切な評価と伝達が可能になる。（7/8）

この流行では関係する専門家が、皆で次の世代が苦労しないよう、血を流しながら教訓を重ねて前に進んでいる。パンデミックの中なので適切な場で全てが回るには相当に洗練されなければならない。しかし少なくとも実装場面でのメカニズム改善を具体的に提案しておく価値はありそうに思われる。（8/8)