Thread by @okadaic

スペースで話したことを結局tweetに落とし込むなら最初からtweetだけしていればいいのでは？ と我ながら思うが、私は何かに対して「クオリティが低い」といった主観的な感想を、一人で述べるぶんには好き放題やるけど、誰かとの共感ベースにするのは大変苦手だなと理解が進んだので、書き記しておく。

続）「ピカソってたまに寝惚けながらチラシの裏に描いたラクガキみたいなのまで有難く名画のように額装されて展示されてることがあって、芸術的価値とか知らんけど、あれウケるよね」には「うん」と相槌を打てるが、「ていうかピカソって絵が下手じゃないですか」には「それはどうかな？」と返す感じ。

続）自分にとっては大違いで、割と大事なことなんですよね。「絵が上手い」「文が上手い」「歌が上手い」などのバリエーションは無限にある一方で、「下手」は誰かと握り合って言い放った途端、たった一つしかないアンサーにと化して、自分たち自身がその評価を抜け出せなくなるので、気をつけている。

続）別に「下手って言っちゃダメ」みたいな話ではなくてな。「話を終わらせるとき以外には使わないようにしている」感じだろうか。スペース聴いた人たちには八方美人ぽく聞こえたかもしれないが、私、客席で観てて虚無に陥った芝居とか、マジで、めちゃくちゃキレーイに記憶から消しちゃうのでな……。

続）毎回毎回個人名挙げるのは気の毒なのでいい加減に伏せますが、私が約10年前「あんな出来悪い新人に舞台踏ませちゃダメでしょ」とさんざん腐した役者、今、安心安定のクオリティ発揮する中堅俳優になってますからな。当時私が文句言ったのはその人だけで、キレーイに記憶から消えてる共演者もいる。

続）キレーイに記憶から消えた俳優には今現在に至るまで「何も言うことが無い」「え、出てたの？」に尽きるし、一方で「こいつには文句言いたい」と感じたほうの俳優は、相変わらず言いたいことありながらも笑、好んで観るまでに至っており、あのとき「下手」と断定したら私が損してたんだよなと思う。

続）「私には良さがわからない」といった言い回しを多用するのは、「嫌い」といった全然別の概念をオブラートに包んでいるわけではなく、俗に言う「好きの反対は無関心」を踏まえた上で「まだ判断する時が来ていない」様を表明することが多いですね。いや、本当に、キレーイに消すよ、その他のものは。

続）たとえば私は「30過ぎまでヅカを食わず嫌いしていた」と言う。それは「30過ぎてヅカの面白さがわかって初めて、自分が『嫌っていた』のを知った」から言えることである。それ以前の自分は「ヅカがキレーイに無い世界」を生きてて、何度ポスター見ようと「え、あったの？」扱いで記憶を消していた。

続）「男尊女卑的な匂いが漂ってきて嫌だった」「男女混合ミュージカルに比べて劣る存在だと思っていた」「信者みたいなファンが怖いと思っていた」とか、全部、言語化できたのは最初に「え、面白いな！？」と知ってから後のことで、その手前の抽象概念には個別具体的な戦犯はおらんのよなぁ、と思う。

続）そのへんの気持ちを人はいとも簡単に混同してしまうので、「ヅカってなんかキモいよね」「ね、私もキモいと思ってた」などと共感増幅しそうなときには「んーー、観たことないから判断保留ーー！！」とブレーキかけることが多い。で、その態度を「逆張り」と思われるのもわかります。わかりますよ。

続）……と、スペースでこんな話したわけではないが、「この品、私は査定額０円ですが、あなたも査定額０円ですよね！？」と言われたとき「んーーそう言われるとそんな気もするけど全然別の鑑定眼で査定額１億円つける人もいそうなので判断保留ーー！！」みたいに言いがちよな自分、と思ったメモです。

続）そしてなんでそんなに判断保留にするかって、無価値と判定した相手が傷つくとか角が立つとか、私が清い魂の聖人君子だからとかではなくて、「いま何か決めて未来の自分が損したくないから」という私利私欲以外の何物でもないよ……俺が何かまろやかなこと言ってたら「欲深だな」と思ってくれ……。

続）あと「見てないから何とも言えないな」の正反対として「一度でも見ちまったからには見たことしか言えねえええええええ！」となる話もあり、「大劇場公演の紙の来場者アンケート、読まないキャスト＆スタッフは全然読まないけど、読むキャスト＆スタッフはめちゃくちゃ読んどるぞ」とかがそれです。

続）私は「だが待ってほしい、あの虚無は一周回って逆にアリでは！？」「寝たってことはα波が出たってことで良作では！？」とかしょっちゅう言う、それを「サブカル逆張り仕草」と思われるのはまぁ仕方ないけど、本当のところは結構ガチで（未来に損したくない私利私欲による）本心なんですよね……。