Thread by @NIWA_KAORU

「言論には責任が伴う」といって人の言論の抑圧が大好きなのに、自分の言論にはまったく責任をとろうとしないリベラルの皆さん～クオモの逆襲編～｜丹羽薫 note.com/niwakaha/n/n40…

リベラルがこぞって翼賛していたクオモの問題、歴史を風化させないために書き残しておくことにしました。

最近のリベラルは「言論には責任が伴う」という言葉で、言論を封殺していく。トランプ氏がSNSを永久凍結されたときに、日本のリベラルたちは「なんでもっと早く凍結しなかったんだ」「当然だあ」と快哉をあげたが、その時に使われた理屈は「言論の自由には責任が伴う！」という言葉だった。

これがSNSの個人のアカウトなら別に驚くことではないのだが、毎日新聞の社説すらも「トランプが言論の自由の侵害なんていうけど、そもそも言論の自由には責任が伴う！（だから言論の自由の侵害ではない←？）」というような論旨の社説を記載した。

ここで毎日新聞が使った言葉、当時は全然話題にならなかったしリベラルがなんでスルーしたか不思議なのだが、トランプの言論に対し「公共の利益を損なった責任は重い」と書いている。本来、リベラルとは、むしろ「公共の利益を理由として人権や言論の自由を制限するな！」という立場ではないだろうか？

つまりここにオールドリベラルとポリコレリベラルの分水嶺がある。オールドリベラルは「公共の利益を理由として人権や言論の自由を抑圧するな」であるが、ポリコレリベラルは、「公共の利益」のような「全体主義的」な概念を振り回して、自由を抑圧してまわるのだ。

リベラル系のメディアが「トランプの言論」なら「良き秩序の維持」のため「抑圧していいんだ」という論理を展開してしまうのは、リベラルが敵対する陣営の言論の自由を弾圧することに関しては、まったくリベラルではないことを意味する。たとえば同じ論理で、BLMの扇動は取り締まらなくていいのか。

毎日新聞の論理は、本来は「公共の福祉の外在説」のような思想で、「社会全体の利益」で「個人の人権」を掣肘しうるという考え方だ。ここでも本来のリベラルとって、言論の自由＝人権とは絶対不可侵の聖域であり、「個人の人権」を制限できるのは「別の人権だけ」でなくてはならないのではないか？

ポリコレリベラルのひとつの極致であるフェミニストが「宇崎ちゃんは環境型セクハラであるから撤去すべし」も、その内容に妥当性があるか以前の問題で、「社会全体の利益」で「個人の表現の自由」を制限しようとする枠組みの立場だ。「差別扇動のヘイトスピーチを取り締まれ」という声も同様だろう。

この同じ論理が、彼ら自身にその矛先が向けられる危険性を想像しないのだろうか。当たり前だが「良き秩序の維持」という意味で、「言論には責任が伴う」といってもいいなら「移民や難民を歓迎する言論」も、「治安の悪化」「移民の凶悪犯罪を扇動した」として取り締まる事ができてしまうのではないか？

もちろん「昭和天皇の御真影を燃やして、その灰を憎々しげに踏みつけるビデオアートなるもの」も、当時は「多くの日本人を傷つける憎悪表現であり公共の利益に反する」というような論点で抗議する声が多かったが、これも「社会全体の利益」のために表現の自由を制限してもよくなる。

ポリコレリベラルは「表現の不自由展」みたいなものには「言論の自由を守れ」というが、ポリコレ的に気に食わないものには「言論の自由には責任が伴う」と言論を抑圧する。様々な異なる立場の言論が共存するフェアなルールこそがリベラリズムだと理解せず、一つの正義で塗りつぶそうとするのが特徴だ

まあ、ここまでオールドリベラルと、ポリコレリベラルという対概念は、私が脳内で便利に使っている定義にすぎず、一般的・学問的なものでは全然ないが、この概念でリベラルを分類するとわかりやすいので、ぜひ使ってほしいと思う。もちろんここまでは無料で読めるのでぜひ読んでみてください。

さて、リベラルは「言論には責任が伴う！」といって、人の言論の抑圧行為は大好きなのだが、自分の言論について全然責任を取ろうとしない。たとえば、クオモNY知事（のスピーチ）を翼賛していた人々は、この言論について誰か責任をとったのだろうか？

https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1245105915839123456

日本のリベラルのうんざりする仕草として「クオモは素晴らしい。それに引き換え日本の政治家は～！日本の政治家は原稿を読むだけで、自分の言葉で語れない！」みたいなものがある。これを情緒のポピュリズムといわずしてなんというのだろうか。

別にクオモが死亡数を偽装が発覚する前から「保守」はリベラルを批判していた。なにしろ感染者数、死者数も日本と比較にならないレベルで、死屍累々なNY州の知事を、演説が素晴らしい「やってる感」で褒め称えるというのは、「情緒のポピュリズム」ではないか。むしろ民主主義の敗北というべきものだ

実はこの情緒のポリコレリベラルには、村上春樹も連なる。村上は「日本の政治家は、自分の言葉で語ることが下手だ。総理大臣だって紙に書いていることを読んでるだけだ。ケネディの演説は自分の言葉で語っていて素晴らしかった」みたいなことをいった。ポリコレリベラルの蔓延ぶり恐るべきである。

そもそも村上春樹のような「自分の言葉で語れ」という言葉自体が、とても陳腐であり凡庸だ。そういうどこかで借りてきたような言葉を用いる人間こそが、「自分の言葉で語る」べきではないだろうか。そんなものはただの精神論に近い

村上春樹、初期作はむしろ左翼的な学生運動に熱中する周囲を距離をおき、皮肉な目で観察する「僕」を書き、つまり「ノンポリの美学」の作家であったのだが（今風に「冷笑系」といってもいい）、そのスタイルで「国民的作家」になったはずが、今ではすっかりポリコレリベラルになってしまった

ポリコレリベラルは、オールドリベラルと違い、演説でも政治家でも、「自分の言葉」「真摯な態度」「私達のことを考えてくれている」「不利な情報でも進んで開示する」的なフィーリングやエモーションを愛する。実態や内実はどうでもいい。情緒のポピュリストなのだ。なぜ彼らは情緒を全肯定するのか

村上春樹はケネディを「きちんと自分の言葉を発信できる人でした」というがケネディの演説の殆どはスピーチライターが書いてる。「ケネディの分身」といわれたスピーチライターのセオドア・ソレンセンも知らないのだろうか。つまり彼らのいう「自分の言葉」はイメージだけで実態などはどうでもいいのだ

ドラッカーはWWⅡの前夜に「過去２００年の西洋の歴史において、あらゆるファシズム全体主義が、それぞれのリベラリズムから発している」といっている。私はこの問題を一つのリベラリズムの必然と考え、どうしてリベラルは全体主義者になってしまう（なりやすいか）のか、クオモを通じて考えて見ました

リベラルは安倍政権初期には「小泉安倍はパフォーマンス重視のポピュリズム政治家！」と批判してきのに、クオモやのような政治家に出あたったときだけ、その情緒のポピュリズムには酔いしれてしまう。そして「クオモの真摯な気持ちが伝わってくる演説！それに引き換え安倍は～」とか言い出すんだよね

ポピュリズムを批判するなら、右であろうが左であろうが批判しなくてはならないし、言論の自由を守るなら、右でも左でも守らなくてはならない。それが理解できていない。ここにはフェアネスな態度がすっぽりと抜け落ちさせているものはなにか。それこそがリベラルが全体主義者になる理由なんですよね

今では、「なんで日本の保守はそんなにクオモが嫌いなん？日本の政治と関係ないじゃん」という問いが出回ることもあるが、これは因果関係が逆転していて、そもそも立憲の議員など「日本の政治に関係ない」クオモを国会ですら持ち出していたからだ。これは辻元議員の去年の６月の言葉です

私はリベラルがクオモを翼賛してたこと自体は責める気はないんですけど、問題はクオモを「それにひきかえアベは～」というだけのために持ちだした上、首相を叩いて「ハートが伝わらない」「感じが伝わらない」とひたすらフィーリング重視の情緒のポピュリズムを肯定している点、これは度し難いのでは

リベラールの皆さんがクオモの翼賛した現象の何が問題だったかといえば、単に「クオモという政治家に騙されてしまった」と考えるのは事態の矮小化である。そうではない、彼らは「クオモに酔いしれるという、感情を揺さぶること自体を正しいもの」として肯定してしまった、それが問題なのね、大切なこと

クオモという人は「NY州はトランプが排斥した人々の避難場所だ！黒人白人なんでも尊重し受け入れる」と声明だして喝采を浴びた。そしてポリコレのアイコンとなった。ゆえにリベラルが大好きな権力監視も彼には働かず、彼の情緒にポピュリズムに酔いしれることも許されたわけ

https://twitter.com/NIWA_KAORU/status/1361836799149019139

このポリコレに生きポリコレに死んだのがクオモである。彼は、コロナ患者を病院から追い出して、老人ホームに押し付けてパンデミックさせて見殺したり、死亡数を偽装では辞任せず、セクハラ認定ではすぐ辞任した。つまり、本当にこのポリコレの世の中、女性の不快こそが現代政治の全てを決定している

このように数万の老人の命より、数件のセクハラのほうが重いのがクオモであるが、森喜朗も、新国立競技場の白紙撤回のような噴出したさまざまな重大問題では全然、辞任せず、単なる「女性蔑視的」とされた発言でやめた。女性の不快を買ったものは何もかも奪われるポリコレワンダーランドだった

「数万の老人の命より数件のセクハラのほうが重い」というのは明らかに罪の軽重がおかしい。つまりポリコレワンダーランドでは、法の支配もないし「フェアネスなルール」もなく歯止がきかない。無限に制裁を要求する「お気持ち」こそが最優先される。これがポリコレリベラルの最大の特徴である

現代のポリコレリベラルは「フィーリング」と「エモーション」の解放こそを尊んでしまう。「自分達だけは言論の自由を取り締まってもいい」と同様に、「自分たちだけはポピュリズムに酔いしれてもいい」と考えてしまう。それはなぜか、リベラリズム最大のバグを考えてみました
note.com/niwakaha/n/n40…

ドラッカーの「過去２００年の西洋の歴史において、あらゆるファシズム全体主義が、それぞれのリベラリズムから発している」というのはなぜなのか、現代はポリコレリベラルの全体主義時代に突入したと私は考えているので、警鐘を鳴らすべくかいてみました。最重要の論になると思うのでぜひ全てを読もう

今月は、あと高市早苗さんを「女性の政治家なら女性の権利のために働け」とかいいながら「ジェンダーロール」を押し付ける人々について書いてみようと思っています。
８月以降のニワカが書いてるnoteが全て読み放題になるので、マガジンもよろしくおねがいします～
note.com/niwakaha/m/me0…

もちろん今まで通り、一つの論のまとまりになるところまでは無料で読めるようになってます、「ポリコレリベラルとオールドリベラルの定義」なんて面白いと思うのでとりあえず読んでみてください。そしてスキやシェアでニワカ君に惜しみない支援をお願いします～！

最後まで読むと「なぜリベラリズムはリベラリズムを内部から蝕み、必然として全体主義になってしまうのか」をすっきりわかりやすく解説してるんですよね。これからのポリコレワンダーランドを生きていく上で重要な指針の論考になると思うので読んで乗り遅れるな！（何にだｗ）
note.com/niwakaha/n/n40…