ドル体制=巧妙なアメリカ世界支配の仕組み

Michael Hudson on Super Imperialism: How America Rules the World: How America Rules the World/ The Zero Hour with Richard “RJ” Eskow (全訳) ImageImageImage
① “RJ”:ザ・ゼロ・アワーへようこそ。ホストのリチャード・RJ・エスカウです。今日のゲストと話ができることを私はとても楽しみにしていました。私が彼の本を読み始めたのはずいぶん早い頃で、以後ずっと全霊を傾けて彼の考え方を追いかけてきたのです。
②彼は、昨年亡くなった私の友人で文化人類学者※ディビッド・グレイバーともに”借金”について経済人類学的探求を続け、
※”DEBT THE FIRST 5000 YEARS” こちらも必読の名著です。邦訳あり。 ImageImage
③また”オキュパイング・ウォールストリート・ムーブメント”の立役者でもあり、ジ・インスティチュート・フォー・ザ・スタディ・オブ・ロングターム・エコノミクスの会長であり、カンザスシティ・ミズリー大学の経済学教授であり、たくさんの本を書いています。
④最近、1960年台の終わりにその版を第一版を発表した『スーパー・インペリアリズム アメリカ帝国の経済戦略(Super Imperialism The Economic Strategy of American Empire. Third Edition)』改訂第三版を出版したばかりです。マイケル・ハドソン、番組にようこそ。 Image
⑤マイケル:招いてくれてどうもありがとう。

“RJ”:多くの人々が、とりわけこの種の番組を見ているような人々は、あなたの本の中で再び取り上げている主題について朧げながら部分的であれ把握し始めているように思います。
⑥“RJ”:つまり、アメリカ合衆国経済と国際資本とあなたが本の中で”スーパー・インペリアリズム”と呼んでいるものが互いに深く結びつき、共犯関係にあるということについてです。しかし、それが本当にどういうものなのかという話になると、まだはっきりとはわからない。
⑦“RJ”:そのメカニクスは依然として多くの人々の目に不透明なままです。私には、あなたの本の中にその答えがあるように思えるのです。そのメカニクスがどういうものなのか、簡単に説明してもらえますか?
⑧マイケル:アメリカは軍事的に世界を支配していますが、実はそれよりもはるかに効果的かつ洗練された方法で世界を支配している。つまり経済による支配です。私は、それを明らかにするためにこの本を書きました。
⑨マイケル:私がこの本の初版を出版したのは1971年、アメリカが金本位制を離脱した数ヶ月後のことでした。ベトナム戦争時の軍事支出を頂点に1950年代・60年代・70年代のアメリカの支出は圧倒的に軍事費で占められていました。
⑩マイケル:その結果、アメリカは第一次世界大戦以来保有していたゴールドをほとんど使い果たしてしまったのです。かつてアメリカは全世界の保有ゴールドの75%以上も保有していたのに、それを戦争ですっかり使い果たしてしまった。
⑪マイケル:第二次世界大戦終了時に世界最大の債権国だったアメリカは、そこで一気に債務国へと転落してしまったわけです。その時、アメリカ合衆国政府は「これでアメリカ帝国も終わりだ」と落胆したものでした。ところがすぐに事実はまるで正反対であることがわかりました。
⑫マイケル:金本位制を離脱したことで、アメリカは逆にはるかに強力に全世界を支配できるようになったのです。それを説明するために私のこの本を書きました。
⑬マイケル:1960年代・70年代と私はウォール街のチェース・マンハッタン銀行に勤めていて、毎週金曜日に連邦金保有量がガタガタと減っていくのを見ていました。ゴールドを失った状態でどうやってアメリカは軍事力を維持していくのか、軍事力を失った状態で世界を支配していくのか、と思ったものです。
⑭マイケル:しかし、アメリカが金本位制を離脱した時、連邦中央銀行はドルで金を買う必要がなくなっていました。そして突然、フランス、イギリス、ドイツ、ロシア、中国…、全世界がアメリカ合衆国が発行する国債を買わなければならなくなっていたのです。
⑮マイケル:そして、アメリカの国債を買うことで彼らはアメリカの国内債務の肩代わりをさせられていた。国際準備通貨が唯一USドルであるということは、諸国間の貿易で交換される全てのコモディティがUSドルによって計られるということを意味します。
⑯マイケル:アメリカ以外の世界はドルに変わる国際準備通貨を持たないので、信用確保に必要なドル保有のためにアメリカの国債を買わざるを得ない。そうすることで皮肉にもアメリカを除く全世界は自分たちを脅かすアメリカの軍事力の費用を自ら負担することになった。
⑰マイケル:自ら進んで、アメリカに媚びへつらわざるを得ない立場に追い込こまれていったわけです。
当時、私はハドソン・インスティチュートのハーマン・カーンに雇われていたので、その仕組みを説明するためにホワイトハウスに赴いたことがありました。
⑱マイケル:ドル体制が構築された当初、ホワイトハウスやペンタゴンの高官たちはこれほど効果的に世界中を搾取できる方法であることを誰も予測していなかったようでした。ですが、そのとき彼らは、「つまり、私たちはどんな贅沢もできるのだ。支払うのは私たちではない。彼らだからだ」と言いました。
⑲マイケル:私がこの本の改訂第三版を出そうと思った理由は、ロシアや中国やイランやベネズエラや他の多くの国々がなぜドル体制から離脱しようとしているのか、そのわけを説明したかったからです。
⑳マイケル:それは言うまでもなく、ドル体制から離脱することで自分たちを抑圧しているアメリカの軍事力を自分たち自身で支えているという馬鹿馬鹿しさから抜け出すためです。
㉑“RJ”:話を聞いていて思いついた事があります。それは、私たちが普通に考えている帝国主義とは逆さまの関係にあるのではないかということです。つまり、伝統的に帝国主義というものはアフリカやラテン・アメリカ、アジアなどの世界の後進地域を軍事力で侵略して、その富を略奪するというものでした。
㉒“RJ”:ところが、あなたの言うスーパーインペリアリズムは順序が違います。金本制度が終焉したとき、各国は最も安全で保証されていると信じられている場所、つまりドルに移行した。しかし、まさにその安全と思われていた場所で略奪が生じることになった。軍事的侵略なしにです。
㉓“RJ”:そしてそこで略奪した資金でアメリカはその強大な軍事力を賄っている。そういうことでしょうか?

マイケル:はい。アメリカが伝統的帝国主義の方法で直接、植民地化している国はわずか40~50カ国に過ぎませんから。ホンヂュラス、ラテンアメリカ、アフリカの国々など、たったの40カ国です。
㉔“RJ”:オーケー(笑い)

マイケル:その代わりに、CIAなどが暗殺プログラムなどの秘密工作を行います。例えば、ウクライナではクーデターを起こし、そこにアメリカの傀儡ネオナチ政権を樹立させました。その工作資金として50億ドルを支出しました。
㉕マイケル:伝統的な帝国主義・植民地主義が軍事力で直接、後進地域から富を略奪していたのに対し、スーパーインペリアリズムの最も独創的な点は、世界で最も工業化の進んだ先進地域から富を略奪しているところです。
㉖マイケル:アメリカのスーパーインペリアリズムは主にヨーロッパの国々、日本、韓国などから富を略奪しているのです。またボリス・エリチェン政権下のロシアでも、その方法で徹底的に略奪が行われました。スーパーインペリアリズムは標的とした先進国に対して軍事的に戦争を仕掛けることはしません。
㉗マイケル:そのかわり、それらの国々がドル体制から離脱する動きを封じ込めておく必要があります。そこでアメリカは、新自由主義を受け入れようとしない民主的に選出された指導者を暗殺したり、実際にかつてイタリアでそれをしたようにギリシャでもそれを実行しました。
㉘マイケル:それから、その国の左翼党や社会民主主義政党、労働組合などをうまく手名づけ、つまるところアメリカ国務省の道具にしてしまうのです。

※日本の一例 ImageImageImageImage
㉙マイケル:そしてそれらの国々の間でドルに代わる通貨体制を構築しないようにさせる。もちろん、ヨーロッパはユーロを持っています。しかし、保有する国際準備通貨(USドル)の3%以上は発行できないことになっています。
㉚マイケル:保有するお金の量が限られてくるので、結果として緊縮財政(austerity)に陥ることになります。その時、アメリカはヨーロッパや日本などの先進国に対してこういうのです。
㉛マイケル:「徹底して緊縮財政を行いなさい。福祉政策を切り捨て、病院を減らし、図書館を減らし、職員を解雇し、労働者の賃金は低く抑えなさい。そして金融業を独占化してそこにお金を集めなさい。そして、そこからあがる利子・配当・賃貸料をアメリカに送金しなさい。」
㉜マイケル:そして、ヨーロッパや日本の実態を見ると、まさにアメリカの言いなりになっている。最も過酷にそのツケを払わされるのは労働者階級です。

※すでに標準となって久しい地方都市のシャッター通りと、夥しい数の消えゆく限界集落 ImageImageImageImage
㉝マイケル:5年ほど前に起きたことですが、ギリシャが破産しました。そこに深く関わっていたのがIMFや世界銀行などの国際金融機関でした。
㉞マイケル:私の本『スーパー・インペリアリズム アメリカ帝国の経済戦略』が描写しているように、IMFと世界銀行がアメリカ金融のツールとなって標的とした国々に緊縮財政を課すのです。私の本に、その仕組みを詳しく書きました。
㉟“RJ”:マイケル・ハドソン、ギリシャ破産の件に言及してくれたので、とてもありがたいです。というのは、スーパーインペリアリズム、つまりアメリカ金融による世界支配は、軍事的支配と違って一般の人にとってたいへんインビジブル(目に見えにくい)なものなのです。
㊱“RJ”:年金支給時期が遅れたり、社会福祉サービスのレベルが落ちたり、実質的購買力が下がったり、労働条件が厳しくなったり、仕事を解雇されたり、低賃金で長時間働かされたり、会社が倒産して自殺者が出たとしても、まさかそれがUSドルに関係していると考える人は少ないでしょう。
㊲“RJ”:ところがギリシャのケースでは、それがはっきりと目に見える形で現れました。ギリシャが支払わなければならない利息についてEUが介入し、ギリシャの政治家たちは些細なことを決める時でさえEUの裁断を仰がなければならなくなった。これは民主主義に逆行するものではないでしょうか。 ImageImageImageImage
㊳“RJ”:つまり、その国の政治をその国の国民が決定できないわけですね。プエルトリコもその例だし、アメリカ国内でもミシガン州のデトロイトに対して同じことをしています。私の理解は正しいですか?
※かつて訪米客には必ずデトロイトを紹介された。アメリカの民主主義と繁栄の象徴だったからだ。 ImageImageImageImage
㊴マイケル:ギリシャはEUに対して500億ユーロの借金がありました。しかし、IMFのクリスティン・レガルデは、ギリシャの億万長者たちが脱税のために密かにスイスの銀行に送金していたリストを掴んで、それをもとに、それらを差し押さえることで、ギリシャを破産から救うことができると判断しました。
㊵マイケル:借金の総額についても相当な減額案が考慮されました。ところがそこにアメリカから”待った!”の声がかかったのです。アメリカ合衆国大統領バラク・オバマが財務長官ティム・ガイトナー(ウォール・ストリートのバッグマン)とともに欧州諸国に赴き、各国の首長を恐喝した。 ImageImage
㊶マイケル:「そんなことはアメリカが許さない。1セントたりとも負けられない。私の後ろ盾であるウォールストリートが損をするからだ。それでも強行するなら、率直に言って、君の政治的生命は絶たれるものと覚悟してくれ。」
㊷マイケル:私の最大のお客であるウォールストリートが儲かるなら、ギリシャが破産したっていいじゃないか」と脅したのです。このようにして、ヨーロッパ各国の首長たちはウォールストリートの言われるままになっているわけです。
㊸マイケル:それでもドイツやフランスの銀行家の中には、なんとかしてギリシャを破産から救おうとする者もいました。それはギリシャ国民をIMFと世界銀行がギリシャに超緊縮財政を課すことで当然予測される極貧から少しでも国民を救済しようとしたのです。
㊹マイケル:もちろん、アメリカが課す過酷な条件の枠組みの中からですが。スーパーインペリアリズムは先進国各国に緊縮財政を課し、その国の労働者が一生懸命働いて生産した果実を労働者の手からもぎ取る装置なのです。

“RJ”:ウォールストリートの人々は”モラル・ハザード”という言葉が好きですね。
㊺“RJ”:ギリシャで経済危機が起きた時、私はそのローンに関する書類に興味を持って、詳しく調べたことがありました。そして、もともとギリシャは小世帯で、借り入れ・返済能力はあまり高くないことがわかりました。率直に言って、貧弱と言ってもいいほどです。
㊻“RJ”:ところが、あの時、貸し方は反対に異常に高い評価をしましたね。そしてギリシャに巨額の借金をさせた。その借金をした資金を何に使ったかと言うと、軍事費に使ったのです。観光立国ギリシャには必要のないものです。その金は労働者の福利のために全く使われなかったのです。 Image
㊼“RJ”:そして、ここに”モラル・ハザード”という言葉が使われる。「君たちは借金について計画性がなさすぎるのだ。それは君たちの責任だ。生活を切り詰めて、返済しなければならない」と。
㊽マイケル:ギリシャがEUに参加した時、ギリシャの支払い能力はそれなりのものでした。ところが、クーデターで極右政権が誕生すると、さっそく彼らは経済顧問としてゴールドマン・サックスを雇用したのです。
㊾マイケル:そしてゴールドマンサックスの顧問は、巨額の借入を可能にするために政府に虚偽の経済口座を作らせました。これは、2007年の世界金融危機の引き金となったサブ・プライム・ローンの時と同じ手口です。
㊿マイケル:つまり、返済能力のない借手にじゅうぶん虚偽と知りながら最優良評価トリプルAをつけた。そして、その虚偽の評価をどんどん釣り上げていきました。サブ・プライム・ローンは典型的なポンジー・スキャムであるばかりでなく、その上あろうことか投資資金は連邦準備基金が使われていました。
51. マイケル:ギリシャでは、虚偽の口座を作らせて巨額の借金をさせ、国民に不必要な高価な買い物をさせて上に、そのツケを国民に回す。彼らの手口の本質はそういうことです。もちろん、EUもギリシャの口座が虚偽であることを知っていたのです。
52. マイケル:しかし、彼らはそんなことなどちっとも気にしていませんでした。なぜなら、たとえ債券が焦げ付いて回収不能になったとしても、アメリカ政府が公金を支出してベイル・アウトしてくれるからです。つまり、ゴールドマンサックスはオバマのところに行ってこう言いさえすれば良いのです。
53. マイケル:「俺たちに損をさせるな。ギリシャは潰せ!」と。そして、いつでもオバマの返事はただ一つ、「イエス、ウィー・ キャン!」でした。ですから、オバマの大統領就任は、実は重大な転換点だったのです。 Image
54. マイケル:つまり、この時、オバマとガイトナーの二人で全世界のファイナンシャルをウォール・ストリートにロック・インする金融システム、貪欲な高利貸し体制を完成させたのです。戦後に始まったドル体制はここに至ってあらゆるライバルを葬り去った。
55. マイケル:大英帝国やフランス帝国の膨大な富が一切合切、アメリカに流れ込むようになった。そして、IMFや世界銀行などで代表される戦後の国際金融秩序そのものがアメリカのスーパーインペリアリズムの道具となってしまったのです。
56. “RJ”:マイケル・ハドソン、話を前に進める前に一つ確認したいのですが、つまり、そのプロセスは、「君たちはウォール・ストリートにたくさん借金をしすぎた。何をすべきかは私たちが決める。君たちは私たちの言うままに動かなければならない」というものですか?
57. “RJ”:それは独裁主義であり、民主主義の反対ではないのでしょうか?

マイケル:その通りです。スーパーインペリアリズムは間接的に、より効果的に搾取する。精神は同じですが、ローマ帝国のやり方よりも大英帝国のやり方よりもずっと洗練されたやり方です。
58. “RJ”:マイケル・ハドソン、私はあなたにこの質問をすることを楽しみにしていたのですが、あなたが『スーパー・インペリアリズム』第三版を発表しましたね。私はこの現時点を歴史の分水嶺ではないかと思っているのです。それは中国の影響力の世界的拡大です。
59. “RJ”:中国はアメリカとは全く違うやり方でアフリカなどの途上国にへの大規模な融資や、また一帯一路イニシャティブでアメリカ支配から独立した広大な経済圏を構築しつつあります。軍事的拡大でも政治的拡大でもなく、経済的拡大です。 ImageImage
60. “RJ”:もちろん、自由な世界ですから、中国と世界の国々で経済関係を構築するのは彼らの自由です。しかし、これはアメリカにとって大変な脅威なのではないでしょうか。
61. “RJ”:アメリカは毎日毎日これでもかこれでもかと反中キャンペーンをやっているし、経済制裁もやっているし、南シナ海ではこれまた大規模な軍事キャンペーンを展開しています。私には、どうもアメリカはパニックに陥っているように思えるのですが。
62. マイケル:そのとおりです。なぜなら、スーパーインペリアリズムは経済による搾取メカニクスに他ならないので、オールタナティブな巨大経済圏が出現し、スーパーインペリアリズムの支配から離脱する国々が増える。それは彼らの支配の終焉を意味します。
63. マイケル:数ヶ月前のことですが、ジョージ・ソロスが公演をしました。
「アメリカの企業は中国に投資してはならない。ウォールストリートもブラックロックも中国に投資してはならない。なぜなら習近平が”より平等な社会”の実現を目指しているからだ。それは外国投資家にとって悪いニュースだ。」 Image
64. マイケル:「社会が平等になったら、私たちは儲けることができなくなる。私たちは中国をボイコットし、封じ込めなければならない。彼らは実在する脅威だ」と彼は述べました。
65. マイケル:またこの8月にはアメリカ合衆国国務長官アントニー・ブリンケンが、「今、世界は二つの選択に面している。民主主義を選ぶか独裁主義を選ぶかという選択だ。」
66. マイケル:「民主主義とは、ウォールストリートに経済のメインデザインをさせる自由、政府にウォールストリートの作る政策を実行させる自由を保証すること。つまり、ウォールストリートの利益を最優先する社会。」
67. マイケル:「それに対し、独裁主義とは、中国がやっているようにウォールストリートの脅威から国と国民を守り、またシェブロンのように環境を汚染する企業があれば、政府はそれを取り締まることができる社会。私たちはこの民主主義と独裁主義の二者選択を迫られている」と述べました。
68. マイケル:言葉の意味が逆さまなのですが、これがホワイトハウス一流のタームノロジーですね。ホワイトハウスは言葉を操作するのが得意なので、ホワイトハウスの使った言葉の意味の反対の意味をとればきちんと意味が通じます。
69. マイケル:やはりこの8月、習近平首席が演説を行いました。「中国が目指す次の目標は、より平等な社会の実現だ。私たちは社会の不平等に対し闘いを挑んで行く。億万長者になる者がいても一向に構わないが、公の利益を守るために彼らは政府の政策に従う義務がある」と彼は述べたのです。
70. マイケル:またプーチン大統領は、「私たちは今、本当に文明の転換点に来ている。二つの選択肢がある。わずか1%の人々の利益のために99%の人々が奴隷的に奉仕する世界か、社会の全員が公正に福利に浴する権利を持つ世界かという選択である」と述べました。
71. マイケル:アメリカ合衆国は前者を選びましたが、世界の大半の国々が後者を選ぶことを望んでいます。

“RJ”:ウォールストリート側の見方からすると、私が思い起こすのは例えば”フリーダム・ハウス(自由の家)”です。
72. “RJ”:しかし、彼ら主張する自由とは”他者を搾取し、略奪する自由”ではないかと思うのです。エミール・ゾラが書いたように、「金持ちが豪華な馬車に乗って橋を渡る自由、貧乏人はその橋の下で飢えに苦しむ自由」ということではないでしょうか?そういう意味の自由です。
73. “RJ”:マイケル・ハドソン、私はウォールストリートで仕事をしたことがあります。貴方もウォールストリートで仕事をしたことがあります。そこを離れて、遠くから見て思うことですが、彼らは、あなたの本の中で、まるで漫画の中の悪者のように描かれていますが、それは正しいでしょうか。
74. マイケル:フリーダム・ハウス(自由の家)ではなく、サーフダム・ハウス(農奴制の家)と呼ぶべきでしょう。彼らは立派な身なりをし、丁寧な言葉で話し、時には立派な演説をしたりしますが、彼らがやっていることは文字通りに何百万人の生活を破壊し、殺すことです。
75. マイケル:ですから、騙されてはいけません。”優しい顔をしたファシストたち”という言い方がありますが、彼らはまさにそれなのです。彼らは言葉を操り、虚偽のイメージを捏造する。 ImageImageImageImage
76. マイケル:例えば、CIAのクーデターのソフト部門でさまざまな秘密活動をしている組織が、ナショナル・エンダウメント・フォー・デモクラシー(民主主義を推進するための国家基金)という名前を持っていることからもわかるでしょう。
77. マイケル:彼らは、彼らのやりたい放題のハゲタカ商法に政府が少しでも規制を加えようとすると、独裁主義と攻撃する。その道はフリーダムfreedom(自由)への道ではなくサーフダムserfdom(農奴制)への道なのです。
78. “RJ”:オバマは自らのことをテクノクラートと呼び、イデオローグではないと言いました。しかし、私から見ると彼らは凶暴な、そして熱狂的なイデオローグのように思えます。
79. “RJ”:「ドルが世界を支配している。そして私はドルを支配している。だから、私は世界を支配している。だから、私の命令通りに動くのだ」というのが彼らの過激なイデオロギーです。そうではないでしょうか?
80. マイケル:そのイデオロギーは、実は19世紀のアダム・スミスやジョン・スチュアート・ミル、サン・シモンの哲学のアンチ・テーゼなのです。その当時の議会制度では政治的決定が巨大な財産と土地を何世紀にもわたって相続し続けてきたわずか1%の人々から成る貴族院に独占されていました。
81. マイケル:国家のほとんど全ての富がわずか1%の人々によって私物化されていて、そのことが至極当然なものとみなされる中で、啓蒙主義者たちの闘いは、99%の人々が1%の幸福のために奴隷のように奉仕する社会を、一人一人の人間が自らの幸福を追求できる社会に変えるための闘いだったのです。
82. マイケル:のちにヨーロッパで産業を興し成功した国々は皆この闘いに勝利した国々です。つまり、政府が教育・健康・鉄道などの基本インフラを整備し、国民の生活水準と生産性の向上を目指した国々でした。そしてそれこそがあるべき未来の姿だったのです。
83. マイケル:それを1980年代になって、イギリスのマーガレット・サッチャーとアメリカのロナルド・レーガンが変えてしまったのです。彼らは「公共部門を民営化しなければならない」と主張し、国を豊かに発展するために不可欠な基本である公共部門を1%のための高利貸独占企業体に変えてしまった。 ImageImageImageImage
84. マイケル:それは、19世紀にアダム・スミスやジョン・スチュアート・ミルが主張したことと真逆です。だから、現在、学校では本当のアダム・スミスは教えません。全くジョージ・オーエルの『1984』的世界です。実際に著作を読んだ人の目には、明らかに嘘と映るでしょうね。
85. “RJ”:私には、このシステムには自己浄化能力がないように思います。あるいはよほど大規模なショックが必要であるように思います。このままでは存在し続けることさえできないでしょう。
86. マイケル:まさしくそれこそがアメリカ以外の他の国々はこのシステムから脱出しようとしているのです。
87. マイケル:脱出するための方法は脱ドル化する事、ドルを使わない事、アメリカと貿易しない事、アメリカに食料依存せず自国で生産する事、例えば通貨のような重要な事をアメリカに依存せず、自国で通貨を作る事、アメリカのインターネット会社に依存せず、自国でインターネット会社を作る事です。
88. マイケル:そうすることでアメリカの支配は崩れていきます。スーパーインペリアリズムに生産的なところは一つもありません。ただ破壊し続けるだけです。アメリカは自国の産業を破壊してしまいました。蛸が自分の脚を食べ続けて、最後に死んでしまうように、このシステムには未来がありません。
89. マイケル:だから、勝敗はすでについている。しかし、この敗者は負け際が非常に悪い。最後の切り札として、道連れに世界全体を滅ぼしてしまおうとしているのです。
90. “RJ”:マイケル・ハドソン、私は全ての人に『スーパー・インペリアリズム アメリカ帝国の経済戦略』改訂第三版を読むことを勧めます。マイケル・ハドソン、今日は本当にありがとうございました。

オリジナルビデオはここでご覧いただけます。

了🙂

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