仮蔵 Profile picture
Mar 26 22 tweets 2 min read
「メリトポルで強制的なロシア語教育はじまる」に関連して、過去300年の歴史をふまえた解説スレッド:以下要約
・300年前からロシアはウクライナにロシア語を押しつけようとしていた
・ソ連時代もウクライナ語の弾圧は続いた
・歴代の抵抗者たちはシベリア送りで殺された
1/18
ウクライナでは、ロシア占領軍が意図的に図書館を破壊し、教科書やウクライナの歴史、ウクライナの民族的抵抗に関する本を狩りまくっている。これは300年にわたる大虐殺の延長線上にある。このスレッドで説明しよう。
2/18
少なくとも300年以上前から、ロシアはウクライナの国家的アイデンティティを排除しようとした。ウクライナの言語と文化に焦点を当てることで。1720年。ロシア皇帝ピョートル大帝は、ウクライナ語で印刷された神学書をすべて廃棄するよう命じた。
3/18
1760年代、ロシアの女帝エカテリーナ2世(実は悪名高いアンゲラ・メルケルの憧れの対象)は、ヴャゼムスキー伯爵にウクライナのロシア化計画を立てるよう指示した。「そうすれば、彼らはロシアを感じるようになり、我々から離れるという考えを忘れるだろう」
4/18
1862年、100以上のウクライナの日曜学校が閉鎖された。1863年、ロシア内務大臣ヴァルイェフは、ウクライナ語は「存在したこともなく、存在しないし、存在しえない」とする「ヴァルイェフ通達」を発表した。これを現代のプーチンの発言と通ずる。
5/18
1876年、ロシア皇帝アレクサンドル2世は、生活のほとんどすべての場面でウクライナ語を禁止する「エムス令」を発布する。
エムズ令では以下のことが禁止された。
- ウクライナ語の本の輸入。
- ウクライナ語の書籍の印刷(一部の歴史的文献を除く)
6/18
エムス令では、同様に下記の項目が禁止された。
- ウクライナ語による演劇の上演
- ウクライナ語によるリブレット、歌曲などの印刷。
- ウクライナ語によるあらゆる公の場での宣言
7/18
エムス令は命じた:
- 学校からウクライナ語の本を一掃すること。
- ウクライナの全教師の政治的見解をチェックし、親ウクライナ派教師のリストを作成すること。これらの教師は解雇されるか、さもなくば、ウクライナからロシア地方に移動させられること。
8/18
また、エムス令は下記の項目も命じた:
- ウクライナの科学者・作家であるドラゴマノフとチュビンスキーがウクライナに住むことを禁止すること。
9/18
ウクライナの詩人たちは起訴された。パブロ・フラボフスキーは、1885年に妻のナディア・シギダとともに、自宅でタイポグラフィを押収され、逮捕された。パブロはシベリアに送られ1902年に死亡、ナディアは北極海のカラに送られ拷問の末に自殺した。
10/18
ウクライナの詩の象徴であるタラス・シェフチェンコは、兵士としてシベリアとカザフスタンに送られ(帝政ロシアの典型的な刑罰)、絵を描くことも詩を書くことも禁じられた(彼はひそかに両方を行い、ロシアの暴力に関するものを含む美しい詩とグラフィックを残している)。
11/18
ソビエト連邦では、時代によって言語政治が異なっていた。「コレーニザツィヤ」(旧ツァーリスト派エリートとの戦いの道具としてのウクライナ語支持)の短い期間の後、ソ連はウクライナ人とその文化に対する伝統的な弾圧を復活させた。
12/18
ウクライナ語はロシア語の「弟」であり、ロシア語が支配的であるとされた。ウクライナ語はロシア語化するために改作された。一部の文字が廃止され(ґ)、(ロシア語には語彙がない)語彙格は「不要」とされた...
13/18
...ウクライナ語に存在する多くの科学的な単語が取り消され、ロシア語のものに置き換えられた。これは後にロシア人によって、ウクライナには独自の科学的伝統がないことを「証明」するために使われた。例えば、流星やおおぐま座などの名称が変更された。
14/18
国の伝統を守ろうとした人々は、訴追された。1972年、リヴィウで14人の学生や芸術家が、ウクライナの伝統に則った非政治的なクリスマスのお祝いに参加したかどで、KGBに逮捕された。
15/18
「ブロック作戦」全体を通して、KGBは90人近くを逮捕した。ウクライナの詩人ヴァシル・ストゥスもその一人であった。彼は5年間ソ連の収容所で過ごし、帰国後再び逮捕され、1985年にシベリアの収容所で死んだ(殺害された)。
16/18
ウクライナ語に対する残虐行為は日々続いていた。ソ連崩壊後の詳細はこのスレッドでは触れませんが、ソ連崩壊後30年経っても、ウクライナの国民IDにはロシア語のページがあり、名前がロシア語に翻訳されているのです!(笑)。
17/18
見てください。このウクライナ人は、ソ連崩壊の1年後に生まれました。2008年に発行されたウクライナのIDを持っています。しかし、ロシア語のページがあり、そこでは彼のウクライナ名Yevhenが「Yevgeny」とロシア語に「翻訳」されている。
18/18
これは明らかに、何世紀にもわたる抑圧とトラウマの結果である。だから、ロシアの占領者が図書館を狩り、本を破壊しても、私はまったく驚かないのだ。なぜなら、彼らにとってそれはウクライナを破壊するごく自然な方法であり、少なくとも1720年以来彼らが行ってきた方法だからだ。
参考情報:
メリトポルで、強制的なロシア語教育を開始
参考情報2 :
ウクライナ語とロシア語での名前の綴りの違い
参考情報3:スレッドの執筆者
元ドイツ・ハインリッヒ・ボエル財団のキーフ事務所長。民間企業で中・東欧市場に関するビジネスコンサルタントも経験。2015年にハインリッヒ・ボエル財団のキーフ事務所長。専門はエネルギー移行、ジェンダー権、都市計画など。
ua.boell.org/en/person/serg…

• • •

Missing some Tweet in this thread? You can try to force a refresh
 

Keep Current with 仮蔵

仮蔵 Profile picture

Stay in touch and get notified when new unrolls are available from this author!

Read all threads

This Thread may be Removed Anytime!

PDF

Twitter may remove this content at anytime! Save it as PDF for later use!

Try unrolling a thread yourself!

how to unroll video
  1. Follow @ThreadReaderApp to mention us!

  2. From a Twitter thread mention us with a keyword "unroll"
@threadreaderapp unroll

Practice here first or read more on our help page!

More from @karizo2022

Mar 27
「経済制裁はいかにロシアを殺すか?」
米国ウィルソンセンターのフェロー、Kamil Galeev氏が書かれた論考記事です。経済制裁によってロシアがどのように崩壊していくか、具体的かつ明瞭な論旨で考察されています。一読の価値あり。時間がない方向けにまとめを一つツイートしてから詳細を和訳します。
まとめ:
・ロシアが軍事的に勝利するのは絶望的
・今のプーチンを作った責任者は最近逃げたチュバイス
・ロシアは輸入に頼りすぎた。部品も技術もない。武器も製品作れない。
・地方自治体が地元優先で行動する結果、経済的分離主義に陥り国内が分断されていく
1/61
経済制裁はいかにロシアを殺すか?
ロシアが崩れていく。2014年の古い制裁は、新しい革新的な兵器の開発を妨害した。2022年の新たな制裁は、ロシアの軍事的努力を損ない、技術的チェーンと通信ラインを破壊し、その結果、国をバラバラにしている。
Read 68 tweets
Mar 27
ども。#WindofChange からの12通目の#FSBLetters を訳しました。超長い(63ツイートある)ので、時間がない人のためのまとめのツイートを4つ投降してから、詳細をツイートします。
まとめ1/4:
・内通者を特定するため、偽情報がやたらばら撒かれている
・そのため、未確定な情報などを伝えにくくなっている
・FSBは責任追求の矛先をショイグに向けることに成功
まとめ2/4:
・政権転覆への警戒心高まる。有力者の摘発がトレンドになる
・指導者たちの間で「軍事的なエスカレーションに賭けることが良い結果を生む」という確信が支配的になっている
・「ゴルディアスの結び目」作戦の現実味が高まってきている
Read 77 tweets
Mar 26
ウクライナは勝たなければならない:
・この戦争は「ウクライナ vs ロシア」の戦いではない
・「民主主義 vs 独裁政治」の戦いだ
・勝利条件は「ウクライナが、自国の指導者を選び、自国の条約を結ぶ権利を持つ、主権ある民主主義国家であり続ける」こと

theatlantic.com/ideas/archive/…
つづき:
・ウクライナの勝利は、民主主義と法の支配を信じるすべての人々の勝利になる
・既存の民主主義国の市民も、ロシア、キューバ、ベラルーシ、香港、ベネズエラの民主主義的野党のメンバーも勇気づけられる。
・国家を守る制度、とりわけ欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)も強化される
つづき2:
・ロシアにとっても勝負の分かれ目。
・ロシア外相の言葉「これはウクライナの話ではなく、世界秩序の話だ。今回の危機は、現代史における運命的な、エポックメーキングな瞬間である。世界秩序がどのようなものになるかをめぐる戦いを反映しているのだ」
Read 8 tweets
Mar 26
プーチンの戦争の失敗をめぐりロシア国営TV局が悲鳴:
・悲劇的な映像を前に「ポジティブな点」を取り繕うしかない(破壊されたマリウポルの街、サハリンへの強制連行)
・プロパガンダ放送がウクライナで追放されて情報戦に痛手
・ウクライナの非ナチ化には数十年かかかる
thedailybeast.com/russian-state-…
つづき:
ポジティブな点を取り繕うコメント:
・破壊されたマリウポルの映像
 →「被害者には1人1ルーブルの補償金が支払われます」
・サハリンへの強制連行
 →「でも、サハリンでは給料が一番高いんですよ」
つづき2:
ロシア空挺部隊の元司令官の言葉:
・「ゼレンスキーは戦争犯罪人」
・「彼は、『この戦争を止め、武器を捨て、すべての国民を救え』と言う権利があるのだ」

(仮蔵コメント:日本にも、ほとんど同じことを言っていた人いましたね。)
Read 10 tweets
Mar 26
反プーチン活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏が、同僚の女性ジャーナリストでキーウで死亡したオクサナ・バウリナに対して寄せた追悼のつぶやき:
1/6 オクサナ・バウリナはかつて光沢のある雑誌で高い地位で働いていましたが、2013年、明らかに低い給料で私たちの本社に転職してきました。「泥棒や盗賊に権力を握られた国では、ファッションはできません。私は戦いたいのです」と彼女は言いいました。
2/6 そして、彼女は本当に闘いました。彼女は長年ACFで働いており、その後、私たちのあらゆるプロジェクトにボランティアとして参加してくれました。 彼女は、私が初めてYouTubeのストリームを立ち上げるのを手伝ってくれました。
Read 7 tweets
Mar 26
ウクライナ警察のヴャチェスラフ・アブロスキン長官は、マリウポルに入って爆撃で動けなくなった子供たちを避難させることを許可してくれれば、ロシアに投降することを申し出た。「子供たちの通行を許可してくれるなら、都市出口の最後の検問所で捕虜になるために投降する」と。
この警察官の方のFacebookに直近の手記がありました。自動翻訳ベースで意訳します。

1/8
出版後、多くの人が私に手紙をくれました。今、すでにチームとして子どもたちを連れ出し、同時に自首して捕虜になる覚悟の役員もいます。
facebook.com/Vyacheslav.Abr…
2/8
戦争が始まる前から、戦争になったら『アゾフ』と一緒にマリウポルを守ると街の人たちに約束していました。 たまたま、私はオデッサで戦争に遭遇しました。 なぜか、この方角がロシア占領軍にとって重要だと思い込んでいたのです。しかし、それは間違いでした。
Read 9 tweets

Did Thread Reader help you today?

Support us! We are indie developers!


This site is made by just two indie developers on a laptop doing marketing, support and development! Read more about the story.

Become a Premium Member ($3/month or $30/year) and get exclusive features!

Become Premium

Don't want to be a Premium member but still want to support us?

Make a small donation by buying us coffee ($5) or help with server cost ($10)

Donate via Paypal

Or Donate anonymously using crypto!

Ethereum

0xfe58350B80634f60Fa6Dc149a72b4DFbc17D341E copy

Bitcoin

3ATGMxNzCUFzxpMCHL5sWSt4DVtS8UqXpi copy

Thank you for your support!

Follow Us on Twitter!

:(