Thread by @Beyond_Climate

今回の件を「エコテロリズム」と呼んでるのをはじめて見てビックリした。⇒《今回のように環境運動を理由に過激な行動を取る事件は「エコテロリズム」と呼ばれ、世界的に問題になっている》

ゴッホの「ひまわり」にスープかける 2人を逮捕 絵画は無事 www3.nhk.or.jp/news/html/2022…

今回の「過激な抗議活動」に賛成・反対、共感できる・できない、効率的・非効率的という議論は横に置いて、「過激」について考えると、気候変動の影響で気象災害が深刻化する中で人類存続の危機になっても通常運転を続ける企業や政府の「過激レベル」は突き抜けていると思います。 #環境正義

気候の科学的なティッピングポイント（不可逆な転換点）とは別に、社会的なティッピングポイントがあって、人によって振り切るポイントが違うと思うんですよね。私には思い浮かばないやり方ですが、あそこまで追い込んだ背景や、あそこまで思い詰める気持ちは理解できます。責める気にはなれません。

今回のやり方に共感できる人は、ゆっくり変化していこうとするいまのメインストリームのやり方には共感できないでしょう。研究結果では、直接関係ない対象（今回はアート）への抗議活動は逆効果になるそうです。それもわかります。でも私は、背景に意識を向けてほしいなと思います。

気候変動に「注目を集める」のが目的だったのなら、それは達成できたと思います。デモや一般的な市民的不服従ではもう大きく取りあげられなくなっているので。先日はピカソの絵画のガラスケースに接着剤で手をくっつけて、今回はトマトスープ。注目を集めるためにエスカレートし続けるのでしょうか。

権力側や企業との対立を避けて、話し合いで政策や方針を変えてもらおうとするやり方よりも、私はたたかって未来を、権利を勝ち取る市民的不服従的なやり方のほうが共感できます。環境正義には、マイノリティがそうやってたたかって少しずつ踏みつけている足を減らしてきた歴史があるので。

共感する必要も、賛成する必要もないし、批判していいし、どういう抗議活動が最も効果的にメッセージを伝えられるかを議論するのもいいと思います。短期間で見ると、いままでひとつも成功例がないんだから考えるべき。で、それぞれの立場で正しいと思うやり方で発信すればいいと思います。

環境正義の教授がよく「背景がすべて」と話していました。目に見えていることに惑わされずに、その背景になにがあるかを調べて考えなさいと。そして、違和感を覚えたら、それがなんなのかを考えなさいと。今回の件に対する私の最初のリアクションは、「なんちゅうことすんねん」でした。

で、そこから考えたんです。なんで環境活動家ふたりが「なんちゅうこと」をしてしまったのか。結果、やっぱり私にはこのやり方は理解できませんし、これから同じやり方を続けるのには賛成できません。でも、そこに至った背景は理解できますし、気持ちもわかる気がします。

まあでも、ふたりの環境活動家は、少なくとも自分たちの行為によって発生した責任は負いましたよね。逮捕されたわけですし。その一方で、気候変動の原因をつくってきた化石燃料産業と、化石燃料の使用で利益をあげている企業も金融機関も富裕層も政治も、なんの責任もとらないわけですよ。

ガラスケースに守られた絵画にトマトスープをかけた環境活動家と、年間に数百万人の死者を出している化石燃料産業。どっちが過激なんでしょうね。

石油産業が気候変動対策の妨害をせずに、40年前にガス・石油からの撤退をはじめていれば、気候科学者が米議会で気候変動の脅威を訴えたときから政治と企業が気候変動対策をはじめていれば、メディアが権力と企業の責任を追及していれば、「ゴッホの名画にトマトスープ」は起こらなかった。