明日は日銀政策決定会合くまね。ワイら庶民、金融政策には興味がなくても住宅ローンがどうなるかは気になるところ。以前 #こぐまざっくり解説 した住宅ローン金利、金融政策との関係を簡単にまとめておくくまね。まずはローン金利に関係ありそうな日銀の金融政策を整理しておきましょうくま。
現行の(ローンに影響する)金融政策は
①マイナス金利
②YCC(イールドカーブコントロール)
のふたつくま。①は金融機関が日銀に預ける当座預金の一部残高について-0.10%のマイナス付利を行うもの。短期金利を低く抑え、国内企業にお金が十分回るようにしている。
②は長期金利(10年国債金利)を0%を中心に上下0.25%のバンド内に抑えこみ、長期ゾーンまで金融緩和の効果を徹底させるもの。これによって現状は10年金利のみが0.25%に抑さえつけられて凹む歪なイールドカーブが形成されているくま。
以前説明したように変動ローン金利は突きつめると銀行の短期資金調達レートである無担保コール翌日物(TONA)に変動するようにできている。一方でフラット35はどうかというと、住宅金融支援機構が証券化商品である機構MBSを発行して裏の資金調達を行っているので、時間差はあるがMBS金利に連動するくま。
MBS金利は長期金利をベンチマークにしており、上乗せスプレッド自体に上昇圧力がかかりはじめているが、当然ながら長期金利が上がればMBS金利の上昇を通じて、最終的なフラット35金利も上昇する。さあ整理しよう。変動ローン金利はTONAに連動し、固定ローン金利は長期金利に連動するくまね。
そしてTONAは①マイナス金利政策から影響を受け、長期金利は②YCCから影響を受ける。ざっくりだけどね。
次にタイミングは分からないが、ありそうな金融政策の変更プロセスはどうなるか想像してみよう。まずは②YCCの変更あるいは解除がきて、①マイナス金利が解除されるとしたら多分その後くまよね。
ということはフラット35など長期固定のローン金利が上昇しはじめ、それから相応のラグを持ってマイナス金利が解除、利上げが始まってから変動ローン金利が上昇し始めるという順番が、一番ありそうかなと思うくま。固定への借換えを検討してる人は真剣かつ早めに考えた方がいいかもしれないくまね。
個人的には変動ローン金利が上昇するのはまだ先だと思ってるけど、それでも数年前に比べるとその可能性は確実に高まってるくま。なので新規で組むことを考えてる人は、自分の余裕資金や収入を考えて無理をせずに借入計画を立ててほしいと思いますマル。
Appendix 1. 以前の長々とした変動ローン金利のお話はこちらくま。
Appendix 2. 以前の長々としたフラット35のお話はこちらくま。

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Oct 19
前回から1ヶ月くらいあいたね。多くの人にとって身近な問題である住宅ローン。こぐまも詳しいわけじゃないけど、前回は変動金利ローンについてお話したから今回は固定、特にフラット35について考えてみたくまよ。今日の #こぐまざっくり解説 はみんな気になるフラット35、金利は上がるの?くま。
これからフラット35で持ち家購入を考えてる人、今は変動金利でローンを組んでいるけど、金利が低いうちに固定への借り換えを考えている人、みんな気になるフラット35の金利について、どのようにローンが提供されているのか基本を学びながら一緒に考えてみましょうくま。
フラット35は住宅金融支援機構(以下、「機構」)をバックに民間金融機関が提供する長期(21~35年)固定金利の住宅ローン。もともとは住宅金融公庫が財政投融資制度の資金を用いて持ち家取得を推進するために融資してたけど、構造改革を受けて公庫は廃止、独立行政法人化されて今に至るくま。
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Oct 6
KISS(Keep It Simple, Stupid)は米海軍由来の『単純さ』の重要性を説く経験則だけど、リスクパリティにも同じことが言えるってさ。さて、今さら聞けない『リスクパリティ』みんな知ってるくま?今日の #こぐまざっくり解説 はリスクパリティの基本のキですくま。 risk.net/investing/7954…
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所謂60/40(株60%債券40%)とか、日本株、日本国債、外国株、外国国債に均等配分とか、こういったアセットアロケーションはある時点における各資産の評価額に着目し、それがあらかじめ決められた比率になるように調整(リバランス)を行うわけくま。このルールに従うと何が起こるかわかるくま?
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Oct 5
また英国年金絡みの記事だよ!先週の担保から騒ぎで一部の確定給付年金(DB)はギルトの投げ売りを強いられたが、多くの基金は自分達のファンディングレシオ(資産/年金負債)が改善していることに気付いた。基金は次にどういった行動にでるのかな。今日の #こぐまざっくり解説 risk.net/investing/7954…
前回のツイートで言ったように、年金負債は長期の借金のようなものなので、長期金利が上昇すれば割引率が大きくなって現在価値ベースで減少するくまね。一部のレポートによると英国のDBはファンディングレシオが平均して106%(9月末)と1.0を上回る水準になっているんだってさ。(リンクは前回ツイート)
これは将来の年金負債が現状保有している資産で全てカバーされていることを意味するくまね。ファンディングレシオが100%を超えた年金基金は次にどうしたいか。そう、この利益を確定させたいと思うくまよね。年金バイアウトを通じた基金の清算を狙う。年金基金の運営って企業にとって重荷だからね。
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Oct 4
最近の英国絡み記事面白いね!足元の英金利上昇とGBP下落で英国企業とデリバティブ取引を行う銀行勢は困難に直面している。それは主にXVA(デリバティブ価値調整)に起因するものだ。今日の #こぐまざっくり解説 はこの話題でお届けするくま。はじまりはじまり。 risk.net/derivatives/79…
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デリバティブ取引で時価評価上勝っていても、取引相手がデフォルトすれば勝ち分全てを受け取れず、取りっぱぐれるかもしれない。じゃあ、取りっぱぐれ分の期待値を計算して、その分を評価自体から控除しよう。これがCVAのざっくりしたイメージになる。
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Oct 2
この記事は面白い。英国の年金基金および運用者たちは今回のマージンコールによる市場のメルトダウンを10年以上前に予見していたが何も対策が取られないまま、悪夢が示現したと。システミックリスクの軽減策がシステミックリスクを生んだ。軽めの #こぐまざっくり解説 risk.net/derivatives/79…
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手元キャッシュに限りがあるのだから、金利急上昇時に現金担保拠出が厳しくなるのは目に見えていた。なので基金はバイラテ(CSAに基づいた二者間のデリバティブ取引)で取引相手(銀行)にCSAにおける適格担保に現物債券を許容するよう交渉をしていたわけくま。
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Sep 30
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LDIは従来の年金ALMの発展系で、年金負債の持つリスクに資産サイドを合わせながらも、金利スワップ等デリバティブを利用することによって、ベンチマークとする年金債務複製ポートフォリオからの超過収益を狙うようなもの。かなりざっくりだけど。英国やオランダあたりからポピュラーになったらしい。
で、金利スワップは超長期レシーバーなんだけど、これは年金負債のヘッジなのくま。年金は加入者が受給年齢になった時に年金を支払わないといけないから期間の長い負債だよね。超長期金利が上昇すると、それは割引率がきつくなるわけなので負債の現在価値は小さくなる。これは逆もしかりくま。
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