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Jan 8 19 tweets 3 min read
mRNA型生物製剤の後遺症をどのように治療するかは重要な問題。有志の医師の会の先生方が、治療プロトコールの確立に向けて模索されています。その中でイベルメクチン(IVM)を使用することによって一定の効果が得られています。なぜ効果があるかについて、科学的なエビデンスとなる論文を紹介します。
今回紹介する論文では、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が試験管内の反応で赤血球の凝集反応を誘導すること、さらに、オミクロン型のスパイクタンパク質はより低い濃度で咳血球の凝集をおこすこと、そしてIVMをこの実験系に加えると赤血球の凝集を阻止することが示されています。
これが今回紹介する論文です。IJMS掲載の査読済み論文です。最近この雑誌のインパクトファクターはかなりのびていて、我が国の分子生物学会の科学ジャーナルであるGenes to Cellsは追い越されてしまいました。
mdpi.com/1422-0067/23/2…
最初に赤血球の凝集反応。最初の図は凝集がおきたときとおきていないときの実際の写真。凝集がおきると1のように見えますが凝集がおきないと赤血球は図の2のように濃い赤の涙滴のようなものができます。これで赤血球の凝集がおきたかどうかを判断しています。かなり古くから行われている実験方法です。
これがこの実験系にスパイクタンパク質を添加して赤血球の凝集反応を調べた結果です。ここではスパイクタンパク質の濃度が複数試されておりIVMの凝集阻害効果も複数の濃度で試されています。
この実験の結果をまとめたのが、表1です。ここで注目すべきはオミクロン型では武漢型などと比べてかなり低い濃度で赤血球の凝集がおきていること。そして重要なことはIVMがスパイクタンパク質による赤血球の凝集を阻害していること。ここで凝集阻害に必要なIVM濃度が現実的かどうかについては後で議論
ここまではいいのですが、それでは、この実験系で観察しているような現象が生体内でもおきているのかどうかということ。SARS-CoV-2を感染させた細胞の培養液中に放出されるスパイクタンパク質の量を測定しています。ウエスタンブロットで測定していますが、大まかに測定。
SARS-CoV-2を感染させた細胞の培養液中に放出される程度のスパイクタンパク質の量では、ここで観察された凝集反応はおきないと記述。しかし、思ったのは、培養液に含まれているスパイクタンパク質の量は武漢型で凝集反応をおこすための閾値の三分の一ということ。たったの三分の一かと言うのが感想。
mRNA型生物製剤で産生されるスパイクタンパク質の血液中の濃度については論文がいくつかありますが、注意すべきは、この論文で示されているようスパイクタンパク質が赤血球に吸着されるとなると血液を分析して検出されるスパイクタンパク質の量は実際よりもかなり低めに出てしまうという可能性です。
この論文で示されているような培養細胞を使用した実験で観察される培地中のスパイクタンパク質の量の方が実態を反映している可能性が考えられます。我々も血液中のスパイクタンパク質を検出しようとしたことがありますが、その際には血球成分を除去した血漿で測定。全血で測定すべきだったか?。
オミクロン型がなぜ低い濃度で赤血球を凝集させるのかについては、このデータが参考になります。赤血球同士が凝集してしまわないように細胞膜の表面は負の電荷をおびていて反発し合うようになっているのがプラスの電荷を持つスパイクタンパク質がそこに結合し、赤血球の凝集を促進するということ。
このグラフにはスパイクタンパク質を上から見た図が書かれていますが、武漢型からオミクロン型に至る過程において赤で示されたマイナスの電荷をおびるアミノ酸が減少し、青で示されたプラスの電荷を帯びるアミノ酸が増加していることが分かります。
最後のディスカッションで、ゼブラフィッシュを用いた挙見深い実験結果が述べられていました。これがゼブラフィッシュですが、この魚は分子生物学分野ではモデル動物として良く使用されています。以前飼っていったことがあるのですが水槽中をせわしなく泳ぐので飼わなくなってしまいました。
ゼブラフィッシュの論文がこちらです。この論文には重症化したCOVID19患者におけるスパイクタンパク質の血中濃度と同程度の濃度のスパイクタンパク質で血栓形成が実験においておきたことが書かれています。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34743814/
ゼブラフィッシュを使用した実験では、スパイクタンパク質をマイクロインジェクションすることによって血栓の形成を観察しています。これがその結果です。Gの図でSタンパク質三量体をマイクロインジェクションすることで四角で囲んだ部分に血栓ができています。
IVMはスパイクタンパク質が赤血球に結合するのに必要な領域に結合して赤血球の凝集を抑えているということが示唆されたということをこの論文では主張。これが最後のデータ。COVID19の重症患者にIVMを投与すると、血液中の酸素分圧の速やかな上昇が観察されたというものです。個体レベルでも同様の結果
このグラフで速やかに血液中の酸素分圧が上昇しているもの、赤と緑のグラフがIVMを使用したケースです。mRNA型生物製剤の後遺症の主因がスパイクタンパク質であって、それが赤血球を凝集させて血栓形成を誘導するとするならばIVMが後遺症の治療に役立つとしても不思議なことではないでしょう。
ウエブで探すとmRNA型生物製剤を接種した人から採血してみると異常な赤血球が観察されたということがたくさん見つかります。そんなことはおきるはずがないと言ってしまえばそれまでです。接種後の赤血球の凝集など、非科学的な議論だという研究者もいるかもしれませんが、このような姿勢は問題です。
スパイクタンパク質そのものによる赤血球の凝集についても、時間がたつとこのような論文がでてきます。サイエンスは予断と偏見を持たずに研究を進めることが重要だと思いました。

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Dec 29, 2022
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 doi.org/10.1038/s41559…
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nibiohn.go.jp/CVAR/adjuvant.…
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これは核内受容体の活性化の仕組みの逆をいくものです。つまりエストラジオールがERα受容体に結合するとERαは二量体化してDNAに結合してさまざまな遺伝子の転写を活性化するという仕組みの逆の反応がおきています。ERαは核から細胞質に移行して、さらにはDNAの結合も抑制されていることが示されている
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オミクロン対応型mRNA型生物製剤の方が毒性が高くなることは予想された展開です。接種後に何がおきるかを再考してみます。オミ対応型を接種して細胞で生産される抗原は二種類。武漢型スパイクとオミクロン型スパイクの両方ができます。オミ型スパイクの抗体は抗原原罪のためほとんど誘導されません。
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mRNA型生物製剤は異物であるスパイクタンパク質を脂質ナノ粒子によって体内に届け正常な細胞で発現するのが基本的な仕組み。スパイクそのものが毒性を持つ上にスパイク発現細胞が免疫システムに殺傷される。初めから懸念だらけの方法でした。死亡者認定が増えつつある今、接種を中止すべきなのです。
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