人間の嫌がる仕事を代わりにやってくれる存在としてトイレ掃除ロボットを紹介した人が「清掃の仕事を奪うぞ😡」とキレた人々に燃やされて炎上しているのを目撃したぼく「て、典型的な〝労働塊の誤謬〟だ…😨💦」

#Singularity
もちろんですね、トイレ掃除ロボットを見た瞬間に「こんなものが普及したら清掃の仕事をしている人たちはどうなっちゃうんだ!?」と俺も感じました。だから、怒る人たちの感情もよく分かる。教科書的には「労働塊の誤謬」のひとことで済ませられるかもしれませんが、現実はもう少し複雑です。
「短期的には技術革新は仕事を奪うかもしれないが、長期的には新たな仕事が生まれて失業は吸収される」というのが、教科書の予言です。ここには2つ問題があると俺は思います。
①技術革新で仕事を失う人と、新たに生まれた仕事に就く人が一致するとは限らない。
②長期的には私たちは全員死んでいる。
トイレ掃除ロボットの動画を見たときの俺の感想がこちらです。
「技術革新(とくにAIの発展)により人間の仕事が奪われるか?」という疑問については、以前、自著の中でエッセイを書きました。これを書いたのは5年も前ですが、考えは変わっていません。というより、この頃に想像した通りの未来が到来しつつあるように感じています。#AI呪文研究部 #AIart
たとえば、かつて沖仲仕という職業がありました。港湾で船の荷を積み下ろしする労働者です。港町ごとにコミュニティを作り、独自の文化を作っていました。

が、「荷物をコンテナに詰める」というシンプルなイノベーションにより、彼らの仕事は一世代もかからず消滅しました。
bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/1…
たとえば、19世紀のロンドンは「目覚まし」の仕事がありました。早朝に町をめぐり、長い棒で寝室の窓を叩いて顧客を起こす仕事です。早起きな老人たちの仕事だったそうです。ところが、格安の目覚まし時計が普及した現代では、彼らはもう存在しません。
たとえば貨物コンテナを普及させた人々は、当時、沖仲仕を見て「この技術により彼らは消える。彼らはどこに消えるのだろう?」と感じたのではないでしょうか。あるいは電算機を普及させた人々は、「〝計算手〟の女性たちはどこに消えるのだろう?」と感じたのではないのでしょうか。
昨今のAIやロボットの発展を伝えるニュースを見ると、同じような感慨を私も抱いてしまいます。昨日と同じ明日をずっと迎え続けられる人は、そう多くないでしょう。大半の人は、生活の激変に見舞われるでしょう。今までの私たちはどこかに消えて、新しい何かにならなければならない。
今の段階で「AIが将来どのような新たな仕事を生み出すか」を想像するのは、ライトフライヤーが初めて飛んだ日に、21世紀のフライトアテンダントや機内食の調理工場スタッフや空港の手荷物検査の仕事が生まれることを想像するようなもの。要するに〝想像もつかない〟というのが誠実な答えだと思います。
一方で、「AIの技術は人間の仕事を一方的に奪うだけで新たな仕事を生み出さない」という主張は、歴史を振り返ると蓋然性を感じられません。自動紡績機は糸車を回す人々の仕事を奪いました。鉄道は、馬車の御者や厩務員の仕事を奪い、電算機は計算手の仕事を、コンテナは沖仲仕の仕事を奪ってきました。
「破壊的な技術革新が起きるたびに、想像もできないような新しい仕事が生まれた」という歴史があります。私たちの目の前で進むAI革命でも、同じことが繰り返される……と予想するほうが、私には蓋然的に感じられます。
「ご職業は?」
「AIのカウンセラーをしています」
「AIの?」
「今のAIは、人間の代わりに感情労働に従事していますよね。だから精神を病みやすいんですよ」
「精神?AIの?」
「おまけに、彼らには人権もないでしょう? だから、顧客はとことん乱暴にAIに接するんです」
「人権」

#ツイッタSF

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Feb 26
ロシア。

信じられないほど洗練された素晴らしい文化芸術と、信じられないほど野蛮で前時代的な政治を併せ持つ国…
6年近く前にハバロフスクとウラジオストクを観光したことがあって、ロシアの人たちの温かさに触れてしまったので、昨今の国際情勢を考えると心臓がキュッとなります。あの時、シベリア鉄道で出会ったお兄さんたちが徴兵されて前線に送られていなければいいな、と思わずにはいられません。
プーチンが悪い。
Read 4 tweets
Feb 26
『カサブランカ』は古い映画だけど、今見ても歴代最高のラブストーリー映画の一つだと思うんです。
現実世界では恋は実らない確率のほうが高いし、俺たちは「身を引く」経験のほうが豊富なはず。だから「バームクーヘン・エンド」とか「BSS(ぼくがさきにすきだったのに)」にはリアリティがあって、俺たちの脳は破壊されるわけですね。だけど、
『カサブランカ』は、「ときには身を引くことも愛情だし、きちんと身を引けることは本当は〝カッコいいこと〟なんだぜ」って、俺たちを慰めてくれる。カカオ80%のチョコレートみたいに苦いラブストーリーの映画なのですが、その苦味がたまらないんです。
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Feb 25
生成AIが普及し始めた今この瞬間は、たとえるならトマス・ニューコメンの蒸気機関が初めて炭鉱から排水した瞬間や、トレシヴィックの機関車が走った瞬間や、ライトフライヤーが飛んだ瞬間や、アラン・チューリングの電算機が初めてドイツ軍の暗号〈エニグマ〉を解いた瞬間と、たぶん同じだ。
あるいは中世の中国で、初めて大砲が火を噴いた瞬間。グーテンベルクの印刷機が、初めてページを刷り上げた瞬間。その後の「人類社会のあり方」が根底から変わってしまう瞬間に、私たちは今、立ち会っているのだと思う。
自分の代わりに、AIにLINEを返してもらい、AI搭載の実写アバターにWEB会議に出席してもらう時代を想像して欲しい。自分は後から、AIの要約した「議事録」を読むだけで済む。コンビニ店員も、銀行の窓口対応も、テレオペも、すべて人間よりもAIに任せたほうが高精度かつ安上がりに済む時代。
Read 8 tweets
Feb 24
俺が小学生だった四半世紀前には「これからは国際化の時代だから英語が大切」って言われていたけど、実際に〝国際化の時代〟だったのはざっくり20年くらいで、コロナ禍と戦争ですべてが変わってしまった。

これからはAI化の時代だから〝呪文〟を唱えるために英語が大切。
「DeepLがあれば英語の呪文を生成できるじゃーん!」ってのは正しいのですが、DeepLの出力結果を校正できる程度の英語力は必要だと感じています。たとえば単語の〝表記揺れ〟が多少あってもChatGPTくんは読み取ってくれますが、当然、揺れがないほうが返答の精度は高くなります。(と、私は感じます)
たとえば、翻訳前の日本語で「主人公」と書いたものが、翻訳後には「protagonist」「main character」などに表記揺れしたり。日本語では省略されている主語をDeepLが補った結果、本来なら「she」にすべきものが「he」になっていたり…。少なくとも現在の自動翻訳には、そういう穴があります。
Read 4 tweets
Feb 23
人間なら「察する」ことが可能なことを、ChatGPTくんは読み取れない。〝呪文〟として与えられた言葉がすべてだ。

比べると、人類の日常会話は不完全な文章の応酬で構成されている。「ごめん。なんか腹が、今…ちょっとトイレ。昼が鉄火丼で、あれかなぁ?」のような、めちゃくちゃな文章でも通じる。
「昼に俺は鉄火丼で…あれかな?」というセリフを聞いて「この人は今日のお昼に〝鉄火丼〟に変身していたのだ」と解釈する人類はいない。腹具合が悪く、ランチで食べた鉄火丼が痛んでいたことを疑っているのだ、と正しく察することができる。
この先、自然言語入力のAIが普及する時代が来ると「察するベース」でコミュニケーションを取っている人にはツラい時代が来そうな気がする。AIが読み取りやすいのは、文法的に正しく、なおかつ簡潔で端的な文章だ。いうなれば、新聞記事や教科書の文章問題のような文体が(おそらく)AIには理想だ。
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Feb 23
テキスト系の仕事はすべてNotionでやっているんですが、AIを自分の創作にどう活かしてやろうか……と考えている矢先にNotion AIが登場して面食らっています。#AI脚本研究部 #AI呪文研究部

(※『ドランク・インベーダー』は、企画段階では『酒神計画/プロジェクト・バッカス』という仮題でした)
NotionAIに「ランダムクエスト」を生成してもらいました。呪文はChatGPTで使用したものと同じです。2つの表のうち、上は最初に生成されたもの、下は依頼人のプロフィールを追加して依頼日の表記を変えるように指示したものです。#AI脚本研究部 #AI呪文研究部 #ChatGPT #NotionAI
ChatGPTの場合はリロールするたびに(修正を指示していない)表の細かい内容が書き換わってしまうのですが、NotionAIは修正指示された場所だけを書き換え、他の部分は保持しています。なんというか、「ChatGPTくんがナーフを食らう前の性能」という印象です。つよい。
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