今日の「#地理お役立ちニュース」は、ニュージーランドで行われた羊の毛刈り大会について。
ニュージーランド北島の南東部に位置する町、マスタートンで行われた、羊の毛刈りコンテストについて。
世界有数の牧羊大国、ニュージーランドでは、この時期に毛刈り大会なるものが行われているようです。
まず、ニュージーランドの牧羊がどれくらい盛んなのかを見てみましょう。
実は羊の頭数ではトップ10に入っていません。いきなり雲行きが怪しいのですが、上位を見ると中国、インド、オーストラリア、ナイジェリアなど。
つまり、広大な国土面積を持ち、人口も多い国が上位を占めており、国内の
羊毛や肉の需要を満たすためと見て取れます。
ニュージーランドも決して小さな国ではなく(国土面積27万㎢)、ヒツジの飼育頭数もおよそ2,700万頭。
人口が500万人程度であることを考えると、一人当たりの頭数は非常に多いことがわかります。
なお、1980年ごろの頭数は7,000万頭に達しており、
同国における羊という家畜がいかに重要であるかがわかります。
品種としても、オーストラリアで主力のメリノではなく、最も多いのは湿潤な気候にも適応するロムニー、そしてニュージーランド発祥のメリノとリンカーン・ロングウールの交配種、コリデール種です。
今回の大会でも、映像を見るかぎり
どちらかかな、という感じはします。
メリノと見比べると全然違いますね。
ちなみにニュージーランドの羊毛生産は中国、オーストラリアに次ぐ世界3位、輸出は2位です(1位はオーストラリア)。
カーペットの製造など工業原料、さらに子羊の生体の輸出など、ニュージーランドにとって羊関連の
産業はかなり重要度が高いものと言えるでしょう。
ちなみに、その影響でニュージーランドで温室効果ガスの最も深刻な排出源は家畜(羊、牛)のげっぷに含まれるメタンであると言われており、度々「げっぷ税」という環境税の導入で話題になります。
世界のお祭り、大会は、その地域の特性を
よく表しているなという今回の大会でした。
ちなみに、インドは頭数では2位ですが、羊毛生産ではトップ10にも顔を出していないのが面白い所(羊肉メイン)です。
むしろ、中国と同様羊毛輸入が多いんですね。
この辺りは、人口の多い国あるあるかな、と思いました。
今回はこれくらいで。

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