Thread by @mokosamurai777

地理に関心がある皆さんへ。
国から系統地理を見ると、地理の要素や要因をより鮮明に理解できます。地理の学びは物事を見る解像度を引き上げてくれます。
本日の一国は「#ウガンダ」。アフリカ大陸の赤道直下、ヴィクトリア湖北岸の内陸国。世界最大のダム湖は実はこの国に…？
では、参りましょう。

ウガンダ共和国は、アフリカ大陸の中央部（やや東）、ヴィクトリア湖の北岸に領域を持ち、ケニア、タンザニア、ルワンダ、コンゴ民主共和国、南スーダンと国境を接しています。
国土面積はおよそ24.2万㎢。アフリカ諸国の中では国土面積は小さい方です。
また、ヴィクトリア湖に目が行きがちですが、

国土の2割が水域という、水に恵まれた高原の国となっています。
国名は16世紀に同地に栄えたブガンダ王国から来ています。ブは「民衆の土地」、ガンダは「戦士」を示しており、ガンダ（バガンダ）族は今も同国最大の民族集団です。

この地域の初期の人類の痕跡はおよそ10万年前。ヴィクトリア湖畔に

住んでいた人々がいたと考えられています。
東西に走るアフリカ大地溝帯に挟まれた位置にあり、標高1,200mほどの高原がもたらす快適な気候、肥沃な土壌と規則正しい降水のある土地は魅力的で、多くの人々が定住したと考えられています。
狩猟採集民を駆逐する形で初期の農耕・牧畜民が活動を

始めたのは紀元前3,000年頃、現在同地に多く住むバントゥー系諸族が定住したのは紀元前1,000年頃。
彼らは農耕・牧畜のために熱帯雨林を切り開いていきました。そのため、この地域に密生していた原生林は大きく減少したと考えられています。
さらに、彼らは鉄の精錬技術を持ち、牧畜民であるヘマ族が

農耕民フツ族を支配する社会制度を作っていたと考えられています。
その後、17世紀頃から台頭したのが国名の由来となったブガンダ王国。かつて従属していた東アフリカの大帝国（青銅器時代から西暦500年頃まで存在していた）、その継承者ブニョロ王国を征服し、現在のウガンダの基盤を作りました。

その過程でイギリスの介入（支援）を受けており、1894年には保護国となりました。そのため、現在でもイギリス連邦の一員となっています。
ちなみに現在のウガンダは、正確にはブガンダ王国を中心として周辺諸王国も合わせた、当時のイギリス保護国の連合体であるとも言えます。
尚、この時代に

ウガンダ、ケニアを通り、インド洋に達するウガンダ鉄道が建設され、その建設に関わる多くのインド系住民が移住。
その後、1962年独立、ブガンダ王が大統領となる共和国となりました。
さらにその後、1966年に国王は排除され、社会主義路線に転換。1971年にはイディ・アミンがクーデターで政権を掌握、

1979年まで独裁・恐怖政治を行ったことでも知られます。
その後、一時安定したものの、その後も周辺国や反政府勢力との争いが絶えず、エボラウイルスの蔓延も重なるなど、国情は安定しません。

ウガンダは赤道直下にある国で、国土はほぼ高原と考えて良い地域です。先述の通り、国土の2割が河川や湖

などの水域であり、国境部にいくつかの山脈が点在します。
西側にはルウェンソリ山脈を中心に、広大な国立公園が点在しています。最高峰はルウェンソリ山脈にあり、標高は5,000mほどです。
西部国境付近にある細長い湖は北がアルバート湖、南がエドワード湖で、ともに地溝湖（ヴィクトリア湖は違う）。

また、「アフリカ五大湖地域（湖の数は5つではない）」の主要湖沼の一角を占めています。

気候は、南部は年間を通して雨が多く、弱い乾季が存在します。
北部や西部に向かうと乾季が長くなる傾向があります。
ヴィクトリア湖湖畔は気候が非常に安定しており、気温変化が小さく、降水も

非常に規則正しくなっています。
大きな水域の存在が気候に強い影響を与える顕著な例と言えるでしょう。
ヴィクトリア湖湖畔に位置する首都カンパラの1月平均気温は23.3℃、7月が21.1℃、年降水量は1,100㎜ほどです。

経済は、肥沃な土地と安定した気候、豊かな鉱産資源を持つため潜在力が非常に

高いものの、内戦や政情不安で開発が進まず、長らく貧困国から抜け出すことができていません。
農業が主体の経済で、イギリス保護国時代に開かれたプランテーションでのコーヒー、茶、タバコ、綿花、バナナなどの輸出が中心（特にコーヒーとバナナが有名）。
ただ、工業は振るわず、発展途上。

観光資源も豊富ですが、やはり政情不安から振るいません。
ただ、潜在力が高いことから経済成長は続いており、今後の安定とさらなる成長が期待されます。
また、同国南東部には、世界最大の貯水量を誇るとされるオーウェンフォールズダムがあります。
ただ、このダム、ランキングには掲載されて

おらず、それは1位とされる貯水量（2兆7000億㎥）の9割はヴィクトリア湖由来で、人工湖としての貯水量はその1割程度しかないから、ということのようです（白ナイルの流出部に作られている）。
ただ、その発電量は大きく、総発電量の9割を水力発電が占めます。
民族はバガンダ族（17％）、

バニャンコレ族（10％）など、バントゥー系の諸民族。言語は英語とスワヒリ語が公用語です。
宗教はキリスト教が優勢で、カトリックと聖公会が各4割ずつ。イスラム教が1割です。
というわけで、恵まれた国土を持ちながらまだその潜在力を生かし切れていないヴィクトリア湖畔の国、ウガンダ。

国土ほぼ全域が恵まれた土地、というのはなかなかないものです。
（書き忘れましたが、その恵まれた土地にも関らず、国民一人当たりGNIは780ドル、人口は4,600万人ほどです）
政情が安定し、人々が豊かな生活が送れる日が来ることを願ってやみません。
今日はこれくらいで。