地理に関心がある皆さんへ。 国から系統地理を見ると、地理の要素や要因をより鮮明に理解できます。地理の学びは物事を見る解像度を引き上げてくれます。
本日の一国は「#日本」。東アジア、ユーラシア大陸東方に浮かぶ島嶼国。先進国の一角にして世界有数の自然災害大国です。
では、参りましょう。 ImageImage
日本国は、ユーラシア大陸の東側に浮かぶ島々から構成される島嶼国です。主要な5島(北海道、本州、四国、九州、沖縄)をはじめ、およそ14,000の島々が、東西、南北それぞれおよそ3,000㎞に渡って広がっています。

国名は、飛鳥時代に隋に送った国書に「日出処の天子、書を日没する処の天子に致す」
と書いた中の「日出処」が「日の本」となったのではないかと言われています(諸説あり)。
ちなみに英名の「Japan」は、マルコ・ポーロの『東方見聞録』が元になっており、中国で聞いた日本を指す発音(ジッポン)を「ジパング」と書いたことが由来と言われています。

日本列島は2つの大陸プレート
(ユーラシア、北アメリカ)と2つの海洋プレート(太平洋、フィリピン海)、4つのプレートの境界という世界でも珍しい複雑な境界に属しています。そのため、地震や火山活動が非常に活発で、地球規模で見てもM6以上の地震の2割、活火山の1割近くが分布します。
日本の国土面積がおよそ37.8万㎢ Image
(地球上の陸地のおよそ0.25%)であることを考えると、非常に大きい数字だと言えます。
元々はユーラシア大陸の一部でしたが、そこにプレートからはがされた「付加体」が張り付き、その後大陸から列島全体が引き離されたため、地下構造は非常に複雑で、各地に大きな断層が走っています。 Image
他にも、例えば伊豆諸島はフィリピン海プレートの北上により伊豆半島が本州に衝突したもので、その北側に険しい山地(箱根など)があります。
また、島嶼国であるゆえに排他的経済水域の面積も大きく、国土面積のおよそ10倍に達し、三陸海岸や志摩半島などのリアス海岸、瀬戸内海は多島海であるなど、 Image
複雑な海岸線は各地にみられ、その長さは世界6位。
北アメリカとユーラシアプレートの境目にはフォッサマグナ(大地溝帯)が走り、堆積物により埋められていますがその深さは6,000mを超えています。ここを境に西南日本と東北日本に分類されます。
また、長野県の諏訪湖付近から紀伊半島、四国、九州 Image
に至る大断層(中央構造線=メディアンライン)は、西南日本を内帯(大陸側)と外帯(太平洋側)に分けています。
2016年の熊本地震では、中央構造線に沿うように震源が移動したことが話題になりました。
日本の国土は75%が山地や丘陵地。これは、2つの海洋プレートが沈み込む「狭まる境界」に
あたり、列島全体が「弧状列島」として、太平洋沖に走る沈み込み帯(海溝やトラフ)に並行しているから。相模湾や駿河湾、富山湾など、非常に水深が深い湾は、こういった要素の影響を受けています(駿河トラフ、相模トラフなど)。
プレートの衝突の圧力を受けていることから険しい褶曲山地が Image
「背骨」のように列島を縦断しています(例:奥羽山脈)。
大陸部と比較すると、その険しさが際立ちます。
比較的大きな平野が見られる関東平野や北海道の平野部なども、構造としては河川が形成した堆積平野で、大陸で見られる構造平野に比べると非常に小さく、限られた平野部に人々が集住して
います。また、河川は短い距離で大きな高低差を下るため急流が多く、また雨量が増えると激しく増水するため洪水が起きやすい河川であると言えます。
最高峰は富士山(3,776m)で、日本の象徴ともされる成層火山です。

気候は、冷帯の北海道から亜熱帯の南西諸島、小笠原諸島まで多岐に渡ります。 Image
おおむね気候帯分布は緯度に沿っており、東北日本は冷帯湿潤気候(Df)、西南日本は温暖湿潤気候(Cfa)が主で、南西諸島や小笠原諸島などの一部では熱帯雨林気候(Af)に属するところもあります。内陸の高地では気温が下がり、やや南でも冷帯気候(D)や寒帯気候(E)が見られます。
また、夏季の Image
南東モンスーン、冬季の北西モンスーンの原因ともなる日本列島を囲む4つの気団(太平洋、オホーツク、シベリア、揚子江)の作用により、多くの地域には四季が存在します。
ただ、一口に四季と言っても地域によってその様相は様々(一例として、冬季は日本海側で豪雪、太平洋側で乾燥など)で、 Image
日本独自の基準として太平洋沿岸(夏高温多湿・冬乾燥)、日本海(冬豪雪、多雨)、中央高地(冷涼乾燥)、瀬戸内(温暖乾燥)などさらにいくつかの気候区に分類されます。

日本は先進国であり、工業は素材、化学、機械、電子など多くの分野で世界トップクラスの技術力を誇ります。一方、航空宇宙など Image
歴史的経緯から出遅れた分野もあり、これらの発展も急がれます。エネルギー資源や鉱産資源の大半を輸入に依存している点が弱みとなっています。
一方で農業については耕地が国土の15%程度と少ないものの、生産品目は多様。米などわずかな品目については自給できているものの、多くの食料を輸入に
頼っているのが現状です(自給率はカロリーベースで4割に届かない)。養鶏が盛んで鶏卵生産量は世界7位。鶏卵は大量生産で安価に供給され、「物価の優等生」とも呼ばれる食材になっていますが、最近は値上がりや供給不足、エシカルの観点から飼育法への批判が起きており、状況は変わりつつあります。
水産業も盛んで、世界有数の漁業大国(世界8位)ですが、近年は資源量の減少にも悩まされており、養殖技術の研究が進められています。また、水産物の輸入が非常に多くなっており、かつて栄えた遠洋漁業の衰退を埋め合わせるように輸入が増加してきました。
また、サービス業にも注力しており、
近年では海外からの旅行者の受け入れ、或いは独特の文化を生かしたコンテンツによる影響力拡大にも力を入れています。
国民一人当たりGNIはおよそ41,000ドルです。

民族は、多数を占める大和民族、そして少数民族の琉球民族(南西諸島)やアイヌ民族(北海道)、さらに中国、朝鮮、日系ブラジル
などの人々がいます。
言語は日本語が主に使われています。
宗教は神道、仏教が主ですが、どのレベルを「信者」としてカウントするかによってかなり数値が異なり、神道と仏教の信者を合計すると総人口(1億2,300万人ほど)を超えてしまうという状況です。

現在は少子高齢化に悩んでおり、人口も
減少しつつあります。そのため、外国人移民の受け入れ拡大など、既存の社会構造の大変革が議論されており、賛否両論が渦巻いています。
他にも、地方の衰退と大都市(特に東京)への集中など、地域間格差の拡大が顕著で、地方では「限界集落」という必要最低限のサービスの維持すら困難な地域も
存在しています。
治安も良く、世界中の様々な料理を一度に楽しめる特徴などからも外国人からの人気が高い国ですが、このような社会問題も抱えており、今後どのように国を保っていくのか、大きな岐路に立たされていると言えます。

まだまだ書くことは山のようにありますが、それはまた別に機会を
作って詳説していきたいと思います。
今回は、他の国々と同じくまずは概説ということで。
今日はこれくらいで。
これで全ての国を1周しましたが、時期によって内容にかなりばらつきがありますので、2周目に入ります!
また、2周目からは主要な海外領土も入れていきたいと思います。これまで通り、できるだけ毎日続けていく予定です。
引き続きよろしくお願い致します。
各国の地理詳説・歴史概説・雑学などをかなり加筆した『世界の国々大百科』を刊行しています。こちらには掲載できない写真などもあります。
今後、週1程度の刊行予定で、全ての国を網羅していきます。随時新刊などをアナウンスしていきますので、よろしくお願いいたします。
amzn.to/3olan6U
それと、動画でも各国を紹介したり、地理の雑学を投稿するチャンネルを立ち上げています。
まだできたばかりなので試行錯誤しつつ、コンテンツをこれから充実させていきます。
各国紹介以外にも地理の雑学など、色々企画しているので、よろしければご覧ください。

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