軟体動物多様性学会【公式】 Profile picture
会の広報に加え、軟体動物学の普及啓発を目的として貝類の様々な話題を中の人(福田 宏)が縦横無尽に呟きます。分類学上の情報などは特記しない限り全て中の人の見解です。英文誌Molluscan Research(MR;オーストラレイシア軟体動物学会と共同で)、和文誌Molluscan Diversity(MD)を刊行中。
Oct 4, 2021 6 tweets 2 min read
#珍種紹介 カワネジガイに準じて日本産淡水貝 #七大珍種 当確なのはヒダリマキモノアラガイ。近年も北海道・東北に複数の産地が知られ、目にする機会はカワネジガイより僅かに多いですが、本州の大半で絶滅したので稀少性はほぼ双璧です。殻表に毛羽立った螺肋を多数巡らし、生貝はまるでワラジムシ。 和名が誤解を招きがちですがやはりヒラマキガイ科です。本種が属す 𝘊𝘶𝘭𝘮𝘦𝘯𝘦𝘭𝘭𝘢 はカワネジガイ属 𝘊𝘢𝘮𝘱𝘵𝘰𝘤𝘦𝘳𝘢𝘴 の亜属または異名とされるなど諸説あり。お顔はカワネジガイ同様赤黒い体表に白斑を散在しますが、頭触角根元外側の鰭状の突起が、より大きく目立つ点が異なります。…
Oct 3, 2021 19 tweets 5 min read
#珍種紹介 日本の淡水貝の #七大珍種 にカワネジガイを含めることに異論は出ないでしょう。稀少性はもちろん、形の奇抜さや意表を突く所属など、これこそは貝通の夢にして憧れの種。この種に関するまとまった報告を一番最近公表したのがたまたま私なので、カワネジガイの凄さと魅力をご紹介します。... 何より目につくのは奇抜な殻です。左巻で、螺旋はほどけ、ドリル刃に似ています。しかも驚きなのはヒラマキガイ科の一員という点です。この科の大半の種は画像右下のような扁平な円盤状で、全く似ていません。また本種が属す 𝘊𝘢𝘮𝘱𝘵𝘰𝘤𝘦𝘳𝘢𝘴(狭義)の他種はインドとバングラデシュに各1種…
Oct 3, 2021 4 tweets 2 min read
#珍種紹介 日本の汽水産貝類の #七大珍種 に当確なのは、背腹に扁圧された柿の種子状の独特な殻を持つオキヒラシイノミ。日本では山口県下関市(1970年代までに絶滅)と九州西岸(福岡〜鹿児島各県)の、内湾奥の海岸・河口に固有。岸辺にまとまって生えたハマボウなどの樹木が水面へオーバーハング.. Image して昼も日蔭をなす場所の落葉や転石間を好み、産卵は樹幹を1〜2mも登って行う。この属の種は孵化後に浮游幼生期を経ると言われるが、これはインド産の1種について報告があるだけで、本種は水のないところで産卵するので直達発生の可能性がある。その場合分布域は狭いはずだが、現在は遠く離れた中国.. Image
Sep 7, 2021 15 tweets 2 min read
今日はサザエのお話を書こうかと思ってましたが、一昨日のヒミツナメクジを「なにこれかわいい」とお絵描きして下さった方もおられ、マンボウ博士に至っては #ヒミツナメクジチャレンジ なんて妙なタグまで作ってくれて、折角なのでその発見の経緯などご披露します。時は29年前の1992年まで遡ります。 前置きとして、ヒヅメガイ(オカミミガイ科)の話をせねばなりません。当時この種は、死殻がごく稀に南西諸島の浜辺に打ち上げられるだけで、誰も生きた姿を見たことのない幻の種でした。殻1個を拾っただけで報告の価値があるほどだったのです。その頃私は卒研生で、オカミミガイ科の分類の再検討を…
Sep 6, 2021 4 tweets 1 min read
ヒミツナメクジ科は俗にいうカタツムリやナメクジ等を含む汎有肺類に属し、いわゆるウミウシとは一線を画すので、「陸ウミウシ」という呼称は不適切で混乱を招くだけです。ヒミツナメクジも私はうるさいよ、だって第一発見者&記載者(共著ですが)だもん。その発見の経緯もいずれここに書こうかな。 Image とりあえずこちらをどうぞ:
福田 宏 2017 (Mar.). ヒミツナメクジ. In 沖縄県環境部自然保護課 (編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版 (動物編) -レッドデータおきなわ-, 45, 512–513. 沖縄県環境部自然保護課, 那覇. Image
Sep 6, 2021 7 tweets 1 min read
軟体動物多様性学会会員各位
2020年度総会(文書にて実施)の審議・採決結果が事務局で集計されましたので、速報いたします。

有権者数:80名
投票数:48票(投票率60%)

<役員改選>
候補者全員信任:48票
よって、全候補者が信任されました。

2021–2022年度役員会(新は新任、氏名のABC順): 会長:石田 惣(新)
副会長:芳賀拓真(新)・多留聖典
事務局:花岡皆子・中野智之
会誌編集(*は英文誌兼任):浅見崇比呂*・福田 宏*(主幹)・芳賀拓真*・花岡皆子・早瀬善正(新)・飯島明子・石田 惣・岩崎敬二・亀田勇一*・柏尾 翔(新)・久保弘文(新)・元陳力昇(新)・中野智之*・
Sep 5, 2021 8 tweets 1 min read
肉抜き話へ戴いたコメントのうち、ミニ四駆と並び最も多かったのがRTと同様の趣旨。しかしサザエは日本・韓国の固有種です。近縁な別種は他国にもいますが、国民の大半が食材として認識してる種は他にない。皆さんご存知ないと思いますが私ゃサザエにはちとうるさいよ。その話は近々、稿を改めて。... エスカルゴは私が知る限り、力任せに肉をブチ切ってます。食卓では常に前半分しかなく、全体が揃ったものを見た試しがありません。内臓塊はどうせ食わんから要らん、という合理主義でしょうか。日本では内臓を食べない場合でも綺麗に抜くのと対照的です。こういうのをお国柄というのかもしれません。..
Aug 31, 2021 14 tweets 2 min read
タクミニナの話を発掘して戴いたので、その肉抜き体験談も書いてみます。これまた60年ぶり再発見で1個体だけというナガシマツボ同様の極限状況。しかもやはり室内でずっと元気だった(それどころか殻が少し成長して大きくなった)ので、いつもの通りイメージトレーニングと称して数ヶ月現実逃避。 タクミニナがどれほど稀少かはこちらをご覧ください。岡山県RDB2020動物編の p. 443 から引用。画像の生貝はKSBのニュースに出たものと同じ個体です。
Aug 30, 2021 25 tweets 0 min read
Aug 29, 2021 13 tweets 2 min read
肉抜き話の続き。先にご紹介した通り、我々日本の貝人にとって肉抜きは日常の一齣であり、改めて説明するまでもない当たり前のこととして受け止められてきました(画像は最近私が肉抜きした南三陸産エゾチグサとホソウミニナ)。日本の貝類図鑑の多くも、巻末で肉抜き方法を紹介するのが定番でした。.. ImageImage ところが、20年ほど前から海外の研究者とコラボする機会を持つうちに気付いたのは、どうやら肉抜きを行うのは日本の貝人だけで、他国の人は、殻と軟体の両方を同時に理想的な状態で得るなんて、不可能なこととして最初から諦めていたのです。だから論文にするには同じ種をとにかく多数得ないと何も...
Aug 28, 2021 12 tweets 2 min read
先ほど社寺林さん@Amphidromusと微小陸貝の肉抜きの情報交換をしていて、また飯島元会長の下記ツイートなど拝見しつつ、貝人にとって肉抜きは必須キーワードと再認識しました。因みに「貝人」とは、貝類に強い愛着と継続的な執着を併せ持つ研究者+愛好者の総称で、茶人・歌人・俳人等に似た響き.. の雅語です。「貝屋」はその通俗的活用形で、愛情と侮蔑と自虐をも含む表現です。貝類を扱う人全てが貝人・貝屋ではなく、例えば食用種の養殖等に携わる人々や、数理データに置き換えて研究対象とする人などは貝人には含め難いです。やはり貝それ自体(特に標本)に対する無償の情熱が必須なので。...
Aug 27, 2021 4 tweets 1 min read
オイカワ丸さんに綺麗にまとめていただきました。補足すると、戦後の内湾の環境悪化でまずハマグリが激減し、でも需要はなくならないので朝鮮半島・中国のシナハマグリを輸入して海にも撒き(で、外来種としての侵入を許す)、そのシナハマグリも漁獲量が落ちたので今度はさらに遠いベトナムの... ハンボリハマグリを輸入する、という最悪なパターンが現実に生じました。2010年前後にはハンボリハマグリは通販等でも頻繁に見ましたが最近はあまり見ません。シナハマグリは現在も流通しています。殻表が黄色っぽくて茶色の山形模様があり、ハマグリよりずっと安価だったら大体シナハマグリです。