Yuichi Hosoya 細谷雄一 Profile picture
Researching, commenting, and writing on international politics. International history and Japanese foreign policy. Repost doesn’t mean endorsement.
Aug 1 14 tweets 1 min read
「日本が降伏文書に調印した9月2日に表明するとの見方が浮上している。政府関係者が1日、明らかにした。」「9月2日」というのは、なかなか歴史的に、日本国民に幅広い理解を得るには難しい日付。この日に談話を出すことによる、歴史認識問題の複雑化を懸念します。 佐藤卓己先生の『八月一五日の神話』によれば、天皇のご聖断の「8月14日」でもなく、連合国が決定した「9月2日」でもなく、天皇と国民が結びつく玉音放送が発せられた「8月15日」が終戦記念日となった特別な事情があります。石破総理は繰り返し、「終戦」ではなく「敗戦」であることを指摘しています。
Aug 1 14 tweets 1 min read
今回の参院選で、参政党が「外国人受け入れ」問題を争点化して大きく票を伸ばしました。これについての論評が多くあり、それに加わる専門的な知見は私にはありませんが、色々と気になることがあります。■新興政党の参政党、日本の政治に揺さぶり 外国人受け入れを争点化 jp.reuters.com/business/techn… 「外国人」とは具体的に、誰を指すのか、よく分かりません。また「日本人ファースト」の「日本人」も自明ではありません。この点については、私が大学院のときにナショナリズムの授業を履修した吉野耕作教授の著作、『文化ナショナリズムの社会学』に詳しく書かれています。amzn.asia/d/d9IS0C0
Mar 6 9 tweets 1 min read
私が外交に関して基本的に大切にしている理念は、カリエール、アーネスト・サトウ、ハロルド・ニコルソンが論じた系譜であり、「誠実」や「信頼」を基調として、さらには吉田茂が『回想十年』で論じた「国際正義」を擁護した立場です。吉田は、次のように記しています。 「国際信用に関連して重要なことは、正義に則って外交を行うということである。外交が自国の利益を直接対象とするのは、いうまでもないが、同じ自国の利益といっても、目先の利益と、長い先々までを見通した利益がある。」さらに次のように述べています。
Sep 29, 2024 7 tweets 1 min read
石破茂新自民党総裁のハドソン研究所論文が話題となっております。色々な方が論評されていますが、ここでの議論の核心は、「アジア版NATO」の創設ではなく、10年前の安保法制導入の頃からの持論である「国家安全保障基本法の制定」と、「米英同盟なみに日米同盟を強化する」という箇所と見ています。 すなわち、現在の平和安全法制では、「存立危機事態」という自国の個別的自衛権に関連する範囲でしか集団的自衛権は行使できません。「アジア版NATO」と創設するのであれば、恒久法であり、より全面的な集団的自衛権の行使が可能となる「国家安全保障基本法」が必要となる、という論理です。
Dec 18, 2023 5 tweets 1 min read
研究者の多くは20代を大学院で過ごし、授業料の約100万円(米英などの海外であれば約300万から約800万円)、生活費の約200万円、書籍購入費などの研究費の約100万円ほどを、アルバイトや、親から借りたり、銀行でローンを組んだり、奨学金に申し込んだりして、ギリギリの生活をしています。 それでも研究が可能となるように、大学単位などで科研費や外部委託をとり、若手の研究費に給与として支給し、研究が可能となってます。米中など大国との研究開発費の支出は開くばかり。今日本の最も深刻な危機は、若くて優秀な人材がそのような経済的利益の乏しい研究の世界に来ないことだと思います。
Dec 17, 2023 10 tweets 1 min read
豪州首都キャンベラから、シドニー経由で早朝帰国。そのまま欧州統合史の改訂版刊行へ向けた研究会合宿に顔を少し出して、夕方の新幹線で一路京都へ。美しい景観に癒されております。日本は言論の自由のある素晴らしい国です。他方で名誉毀損や品のない表現、悪意ある投稿はブロックし遮断します。
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世の中には多様な陰影がある。一人の人間にも、美しい面と醜い面がある。それを理解するのが、国際政治学者としての仕事の一つだと思っています。ですので、世界にも戦争が溢れ、政局も不正や陰謀が溢れ、SNSも悪意ある醜い投稿が溢れる。その現実を直視し共存しながら、喜びや安寧が増えてほしい。
May 26, 2023 10 tweets 2 min read
おっしゃるとおり。論理を転換して、そのような「日本の研究者」(多くの場合、「国際政治学者」という用語を好んで用いる)を批判して、印象を操作をしようとしているのに気をつけねばなりません。ここで論じられているのは、ロシアのウクライナ侵略が国連憲章違反ということ。 国際政治学を真剣に勉強した方であれば、間違っても国際社会における「善悪」を単純には論じられないということは承知しているので、「ロシアが悪で、ウクライナが善」などとは通常は考えません。道徳性の善悪の判断と、侵略による国際法の合法性/違法性の問題は、同一ではありません。
May 26, 2023 5 tweets 2 min read
待望の、本格的なドイツ政治外交史の通史刊行!しばらくこれが決定版でしょうね。揺れ動く欧州情勢を理解する上で必読です。 Image 充実が増す、愛すべき自宅書斎の本棚!! Image
Feb 26, 2023 11 tweets 1 min read
東野さんは、繰り返し、「結論を出すのは我々ではなくウクライナ人です」と論じています。すなわちこの戦争は、ウクライナの人々の、国連憲章で保証された自決権を否定しようとするロシアとの戦いです。なので、ウクライナ人が「和平」や「停戦」を求めれば、それを尊重するべきという論理。 だとすれば、東野さんがウクライナの「徹底抗戦」を求めていると決めつけるのは、最も重要な部分で東野さんの主張を歪めることになるのでは。なぜならば、ウクライナ人が「和平」を求めているのに、「徹底抗戦」を強要すれば、それはプーチン同様に、ウクライナの自決権を否定することになるから。
Feb 23, 2023 6 tweets 1 min read
野口先生のこの歴史学者へのレッテルの貼り方は、ひどい。私は、法学部に所属する政治学者ですが、歴史学の世界では史料実証主義がほぼ前提となっているはず。「歴史学者」が、「客観的」でもなければ、「価値中立的」でもない、という根拠はどのようなところにあるのか、明示する責任があります。 そもそもこの野口先生のコラムのなかでの「政治学者」と「歴史学者」の分類が、ご自身が翻訳作業に加わった『国際関係研究のアプローチ』の中の「歴史学者」のポール・シュレーダー(歴史学の世界では彼を純粋な歴史家としてではなく国際政治学者と見るでしょう)が書いた「道徳的義務」に依拠。
Feb 22, 2023 7 tweets 1 min read
すでに一昨日の著者との新潮社での対談のために事前にゲラで読んでいて、さらにおそらく著者からお送り頂けると期待しながら、さらにKindleで購入した私。鶴岡さん(と新潮社の皆さん)、褒めて下さい!素晴らしい内容!■欧州戦争としてのウクライナ侵攻 (新潮選書) amzn.asia/d/itHesYD #Amazon 「細谷さんは、素晴らしいというだけで、具体的に何がすごいか述べていない」と言われることがあるので、その点を。「プーチンの戦争」として優れたロシア専門家の方が今回の戦争について多く論じていますが、鶴岡さんは欧州国際政治の観点から、欧州国際秩序の一部としてウクライナの問題を再検討。
Feb 17, 2023 7 tweets 1 min read
戦後の平和教育は、侵略戦争はいけない、という規範を浸透させることが重要な目的だったはず。なのに、ロシアがウクライナへの侵略戦争を行った際に、「悪いのはロシアだけではない」と言うならば、同様に戦前も日本だけが悪かったわけではなく、圧力をかけた米国も悪かったと歴史教育を修正すべき。 物事を見るときには、公平でなければならない。私は現在のロシアも、戦前の日本も、一方的に「悪」であったとは思わず、それなりに軍事行動へと進む口実があったと理解します。それでも、そのどちらの侵略戦争も、批判されるべきだと考えます。侵略国と、侵略された国は、責任の重さが違う。
Nov 8, 2022 6 tweets 1 min read
田中康夫氏の私への批判や中傷がなぜ不適切か、簡単に説明します。私の主張は、トラス前首相はイデオロギー的に融通無碍で、雑多な思想を有し、環境に応じて適応する傾向があり、彼女の大型減税策はあくまで保守層への迎合の性質が強いということでした。(続) したがって、富裕層向けには大型減税策を提示し、生活困窮者向けに光熱費の政府支援及び国民保険料引下げを提唱。保守層向けの前者は批判を受けて政権成立1ヶ月以内に放棄。後者は放棄していない。本当の保守主義者であれば、サッチャー首相のように、政権成立1ヶ月以内に信念を放棄しない。(続)
Nov 7, 2022 8 tweets 1 min read
きわめて不愉快な田中康夫氏のコラム。この方はどれだけイギリス政治をご存じなのか。「トラスを厚顔無恥にも「社会民主主義的」とドヤ顔で“怪説”する慶應義塾大学の「国際政治学者」細谷雄一」とのこと。トラス氏の両親が労働党左派の支持者で、母親は核軍縮運動員の「社会民主主義者」でした。(続) そしてよく知られているように、トラス氏は大学時代は中道左派政党の自由民主党の学生組織に入っていて、王制廃止論者だった。1980年代に英国では自由党が社会民主党と統合して自由民主党に。トラス氏は、まさに、1980年代、90年代の社会民主主義的なイデオロギーの申し子です。(続)
Oct 25, 2022 4 tweets 1 min read
スナク首相誕生。初のアジア系英国首相、リバプール卿以来最も若い年齢(42歳)での首相と、印象的な結果となりました。同時に、候補と見られていたジョンソン氏やモーダント氏と比して、その経済政策の手腕からすれば現時点で最良の選択かも知れません。(続)
htps://www.bbc.com/japanese/63369216 他方で不安と見られるのは、保守党内で親ジョンソン派から7月の「裏切り」へのかなり根深い怒りが見られることと、庶民感覚の欠如ではないかと思います。8月に、「マクドナルドに子供と行った」と庶民性をアピールしながら、「何を食べたのか」という質問にうまく応えられず、批判される結果。(続)
Oct 23, 2022 8 tweets 1 min read
昨日掲載の朝日新聞のインタビューで、トラス首相の財政政策パッケージを明確な財源の根拠なく大規模な財政出動を目指すことから「社会民主主義的」と述べましたが、以下はイギリス政治がご専門でなく7月末からの保守党代表選をフォローしていなかった 方への説明です。(続)asahi.com/articles/DA3S1… 7月の保守党議員による投票では5回ともリシ・スナク氏が勝利して、トラス外相は「一勝」もしていません。その最大の理由は、上記のようなサッチャリズムの「小さな政府」論を革命的に転換しかねない、巨大な財政支出を許容したことへの警戒感だと思います。(続)
Jul 30, 2022 7 tweets 1 min read
ほんとに、こういうふうに相手を抹殺しようとする「文化」ってどうにかならないのでしょうか?相手を憎んだり、中傷したり、学者生命を剥奪したり、そんなに楽しのだろうか?日本国際政治学会なんかは、多様な思想、方法論、立場の人が混在して、はるかに風通しがよいと思うのですけれども…。 国際政治学の学界が、あまりにも開放的で、のびのびとして、「言論の自由」が保証されているから、もしかしたら私のように好きなことをしゃべる学者がでてきてしまうのかも…。でも、こっちの学界でよかった。
Jul 29, 2022 7 tweets 1 min read
このようなNHKが用意した問題設定が深刻な問題なのは、あたかもロシアが「和平」を求めて、ウクライナが「戦争」を求めているかのようなロシア政府の印象操作に見事にのっていること。自らの家、街が破壊されて、家族が殺されているウクライナの人が和平を求めていないはずがない。 ロシアが国際法を無視して侵略した以上、ウクライナが求めているのが「正義に基づく和平」であり、ロシアが求めているのが侵略と占領を軍事力によって強制する「正義に基づかない和平」です。二つの「和平」の実現の仕方をめぐる対立。
Jul 24, 2022 10 tweets 1 min read
私の政治家に対する評価で、疑問を抱かれる方が多いと思いますが、私は過去10年ほどの間で、首相、外相、官房長官など、かなり多くの方々と直接接する機会がありました。その中で実際に会ってみて、優れた能力をお持ちの方だと感銘を受ける場合と、反対の評価を受ける場合があります。 民主党政権時には、仙谷官房長官にかなりご親切にしていただき、見識も判断力も、官僚を統率する力も高い能力をお持ちと感銘を受けました。また、前原外相や玄葉外相も、人柄も、外交に対する理解する力も、海外でのイメージの良さとコミュニケーション能力ととてm高かった優れた外相だと感じました。
Jul 24, 2022 4 tweets 1 min read
同意。おそらくプーチンは異常な精神状況で(だからコロナ中人に会わず、長テーブルで会談する)、暗殺を過敏に恐れているので、安倍首相の銃撃事件を対露政策を転換するための親露的な安倍元首相に対しての政治的な暗殺と見なしている可能性すらあります。だとすれば、友情より安全を優先するはず。 プーチン大統領は、外国訪問時に外国で提供される食事、水、シーツは一切利用せず、クレムリンの信頼できるスタッフを同行させてそれらに食事や水を用意させると言われています。毒殺を恐れてのこと。だから、山口に招き「温泉に一緒に入って腹を割って話す」のにプーチンが付き合わなかったのは当然。
Jul 23, 2022 7 tweets 1 min read
色々考えたが、プーチン大統領を一方的に悪と決めつけるのは間違いだが、安倍元首相を一方的に悪と決めつけないのは間違い、という論理は、どのようにしたら成り立つのか分からない。前者は明白な国際法違反と侵略、殺戮を指示し、世界から非難されている。後者は、世界中から哀悼の意を受けた。 国際社会で、何が正義で何が悪か。どのような指導者が評価され、どのような指導者が批判されるのか。そして歴史の中で、これまでさまざまな指導者がどのように評価され、位置づけられてきたのか。そのようなものごとを多角的に観る視座が重要なのではないか、と思います。