Yuichi Hosoya 細谷雄一 Profile picture
Researching, commenting, and writing on international politics, focusing on international history and Japanese foreign policy. 国際政治学者。国際政治史やイギリス外交史、日本外交などが専門。
Dec 18, 2023 5 tweets 1 min read
研究者の多くは20代を大学院で過ごし、授業料の約100万円(米英などの海外であれば約300万から約800万円)、生活費の約200万円、書籍購入費などの研究費の約100万円ほどを、アルバイトや、親から借りたり、銀行でローンを組んだり、奨学金に申し込んだりして、ギリギリの生活をしています。 それでも研究が可能となるように、大学単位などで科研費や外部委託をとり、若手の研究費に給与として支給し、研究が可能となってます。米中など大国との研究開発費の支出は開くばかり。今日本の最も深刻な危機は、若くて優秀な人材がそのような経済的利益の乏しい研究の世界に来ないことだと思います。
Dec 17, 2023 10 tweets 1 min read
豪州首都キャンベラから、シドニー経由で早朝帰国。そのまま欧州統合史の改訂版刊行へ向けた研究会合宿に顔を少し出して、夕方の新幹線で一路京都へ。美しい景観に癒されております。日本は言論の自由のある素晴らしい国です。他方で名誉毀損や品のない表現、悪意ある投稿はブロックし遮断します。
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世の中には多様な陰影がある。一人の人間にも、美しい面と醜い面がある。それを理解するのが、国際政治学者としての仕事の一つだと思っています。ですので、世界にも戦争が溢れ、政局も不正や陰謀が溢れ、SNSも悪意ある醜い投稿が溢れる。その現実を直視し共存しながら、喜びや安寧が増えてほしい。
May 26, 2023 10 tweets 2 min read
おっしゃるとおり。論理を転換して、そのような「日本の研究者」(多くの場合、「国際政治学者」という用語を好んで用いる)を批判して、印象を操作をしようとしているのに気をつけねばなりません。ここで論じられているのは、ロシアのウクライナ侵略が国連憲章違反ということ。 国際政治学を真剣に勉強した方であれば、間違っても国際社会における「善悪」を単純には論じられないということは承知しているので、「ロシアが悪で、ウクライナが善」などとは通常は考えません。道徳性の善悪の判断と、侵略による国際法の合法性/違法性の問題は、同一ではありません。
May 26, 2023 5 tweets 2 min read
待望の、本格的なドイツ政治外交史の通史刊行!しばらくこれが決定版でしょうね。揺れ動く欧州情勢を理解する上で必読です。 Image 充実が増す、愛すべき自宅書斎の本棚!! Image
Feb 26, 2023 11 tweets 1 min read
東野さんは、繰り返し、「結論を出すのは我々ではなくウクライナ人です」と論じています。すなわちこの戦争は、ウクライナの人々の、国連憲章で保証された自決権を否定しようとするロシアとの戦いです。なので、ウクライナ人が「和平」や「停戦」を求めれば、それを尊重するべきという論理。 だとすれば、東野さんがウクライナの「徹底抗戦」を求めていると決めつけるのは、最も重要な部分で東野さんの主張を歪めることになるのでは。なぜならば、ウクライナ人が「和平」を求めているのに、「徹底抗戦」を強要すれば、それはプーチン同様に、ウクライナの自決権を否定することになるから。
Feb 23, 2023 6 tweets 1 min read
野口先生のこの歴史学者へのレッテルの貼り方は、ひどい。私は、法学部に所属する政治学者ですが、歴史学の世界では史料実証主義がほぼ前提となっているはず。「歴史学者」が、「客観的」でもなければ、「価値中立的」でもない、という根拠はどのようなところにあるのか、明示する責任があります。 そもそもこの野口先生のコラムのなかでの「政治学者」と「歴史学者」の分類が、ご自身が翻訳作業に加わった『国際関係研究のアプローチ』の中の「歴史学者」のポール・シュレーダー(歴史学の世界では彼を純粋な歴史家としてではなく国際政治学者と見るでしょう)が書いた「道徳的義務」に依拠。
Feb 22, 2023 7 tweets 1 min read
すでに一昨日の著者との新潮社での対談のために事前にゲラで読んでいて、さらにおそらく著者からお送り頂けると期待しながら、さらにKindleで購入した私。鶴岡さん(と新潮社の皆さん)、褒めて下さい!素晴らしい内容!■欧州戦争としてのウクライナ侵攻 (新潮選書) amzn.asia/d/itHesYD #Amazon 「細谷さんは、素晴らしいというだけで、具体的に何がすごいか述べていない」と言われることがあるので、その点を。「プーチンの戦争」として優れたロシア専門家の方が今回の戦争について多く論じていますが、鶴岡さんは欧州国際政治の観点から、欧州国際秩序の一部としてウクライナの問題を再検討。
Feb 17, 2023 7 tweets 1 min read
戦後の平和教育は、侵略戦争はいけない、という規範を浸透させることが重要な目的だったはず。なのに、ロシアがウクライナへの侵略戦争を行った際に、「悪いのはロシアだけではない」と言うならば、同様に戦前も日本だけが悪かったわけではなく、圧力をかけた米国も悪かったと歴史教育を修正すべき。 物事を見るときには、公平でなければならない。私は現在のロシアも、戦前の日本も、一方的に「悪」であったとは思わず、それなりに軍事行動へと進む口実があったと理解します。それでも、そのどちらの侵略戦争も、批判されるべきだと考えます。侵略国と、侵略された国は、責任の重さが違う。
Nov 8, 2022 6 tweets 1 min read
田中康夫氏の私への批判や中傷がなぜ不適切か、簡単に説明します。私の主張は、トラス前首相はイデオロギー的に融通無碍で、雑多な思想を有し、環境に応じて適応する傾向があり、彼女の大型減税策はあくまで保守層への迎合の性質が強いということでした。(続) したがって、富裕層向けには大型減税策を提示し、生活困窮者向けに光熱費の政府支援及び国民保険料引下げを提唱。保守層向けの前者は批判を受けて政権成立1ヶ月以内に放棄。後者は放棄していない。本当の保守主義者であれば、サッチャー首相のように、政権成立1ヶ月以内に信念を放棄しない。(続)
Nov 7, 2022 8 tweets 1 min read
きわめて不愉快な田中康夫氏のコラム。この方はどれだけイギリス政治をご存じなのか。「トラスを厚顔無恥にも「社会民主主義的」とドヤ顔で“怪説”する慶應義塾大学の「国際政治学者」細谷雄一」とのこと。トラス氏の両親が労働党左派の支持者で、母親は核軍縮運動員の「社会民主主義者」でした。(続) そしてよく知られているように、トラス氏は大学時代は中道左派政党の自由民主党の学生組織に入っていて、王制廃止論者だった。1980年代に英国では自由党が社会民主党と統合して自由民主党に。トラス氏は、まさに、1980年代、90年代の社会民主主義的なイデオロギーの申し子です。(続)
Oct 25, 2022 4 tweets 1 min read
スナク首相誕生。初のアジア系英国首相、リバプール卿以来最も若い年齢(42歳)での首相と、印象的な結果となりました。同時に、候補と見られていたジョンソン氏やモーダント氏と比して、その経済政策の手腕からすれば現時点で最良の選択かも知れません。(続)
htps://www.bbc.com/japanese/63369216 他方で不安と見られるのは、保守党内で親ジョンソン派から7月の「裏切り」へのかなり根深い怒りが見られることと、庶民感覚の欠如ではないかと思います。8月に、「マクドナルドに子供と行った」と庶民性をアピールしながら、「何を食べたのか」という質問にうまく応えられず、批判される結果。(続)
Oct 23, 2022 8 tweets 1 min read
昨日掲載の朝日新聞のインタビューで、トラス首相の財政政策パッケージを明確な財源の根拠なく大規模な財政出動を目指すことから「社会民主主義的」と述べましたが、以下はイギリス政治がご専門でなく7月末からの保守党代表選をフォローしていなかった 方への説明です。(続)asahi.com/articles/DA3S1… 7月の保守党議員による投票では5回ともリシ・スナク氏が勝利して、トラス外相は「一勝」もしていません。その最大の理由は、上記のようなサッチャリズムの「小さな政府」論を革命的に転換しかねない、巨大な財政支出を許容したことへの警戒感だと思います。(続)
Jul 30, 2022 7 tweets 1 min read
ほんとに、こういうふうに相手を抹殺しようとする「文化」ってどうにかならないのでしょうか?相手を憎んだり、中傷したり、学者生命を剥奪したり、そんなに楽しのだろうか?日本国際政治学会なんかは、多様な思想、方法論、立場の人が混在して、はるかに風通しがよいと思うのですけれども…。 国際政治学の学界が、あまりにも開放的で、のびのびとして、「言論の自由」が保証されているから、もしかしたら私のように好きなことをしゃべる学者がでてきてしまうのかも…。でも、こっちの学界でよかった。
Jul 29, 2022 7 tweets 1 min read
このようなNHKが用意した問題設定が深刻な問題なのは、あたかもロシアが「和平」を求めて、ウクライナが「戦争」を求めているかのようなロシア政府の印象操作に見事にのっていること。自らの家、街が破壊されて、家族が殺されているウクライナの人が和平を求めていないはずがない。 ロシアが国際法を無視して侵略した以上、ウクライナが求めているのが「正義に基づく和平」であり、ロシアが求めているのが侵略と占領を軍事力によって強制する「正義に基づかない和平」です。二つの「和平」の実現の仕方をめぐる対立。
Jul 24, 2022 10 tweets 1 min read
私の政治家に対する評価で、疑問を抱かれる方が多いと思いますが、私は過去10年ほどの間で、首相、外相、官房長官など、かなり多くの方々と直接接する機会がありました。その中で実際に会ってみて、優れた能力をお持ちの方だと感銘を受ける場合と、反対の評価を受ける場合があります。 民主党政権時には、仙谷官房長官にかなりご親切にしていただき、見識も判断力も、官僚を統率する力も高い能力をお持ちと感銘を受けました。また、前原外相や玄葉外相も、人柄も、外交に対する理解する力も、海外でのイメージの良さとコミュニケーション能力ととてm高かった優れた外相だと感じました。
Jul 24, 2022 4 tweets 1 min read
同意。おそらくプーチンは異常な精神状況で(だからコロナ中人に会わず、長テーブルで会談する)、暗殺を過敏に恐れているので、安倍首相の銃撃事件を対露政策を転換するための親露的な安倍元首相に対しての政治的な暗殺と見なしている可能性すらあります。だとすれば、友情より安全を優先するはず。 プーチン大統領は、外国訪問時に外国で提供される食事、水、シーツは一切利用せず、クレムリンの信頼できるスタッフを同行させてそれらに食事や水を用意させると言われています。毒殺を恐れてのこと。だから、山口に招き「温泉に一緒に入って腹を割って話す」のにプーチンが付き合わなかったのは当然。
Jul 23, 2022 7 tweets 1 min read
色々考えたが、プーチン大統領を一方的に悪と決めつけるのは間違いだが、安倍元首相を一方的に悪と決めつけないのは間違い、という論理は、どのようにしたら成り立つのか分からない。前者は明白な国際法違反と侵略、殺戮を指示し、世界から非難されている。後者は、世界中から哀悼の意を受けた。 国際社会で、何が正義で何が悪か。どのような指導者が評価され、どのような指導者が批判されるのか。そして歴史の中で、これまでさまざまな指導者がどのように評価され、位置づけられてきたのか。そのようなものごとを多角的に観る視座が重要なのではないか、と思います。
Jul 17, 2022 11 tweets 1 min read
いま、日本の指導者が「嘘」をついていたことが問題だと、激しい批判を述べる方がおられます。「政治と嘘」の関係は、それ自体が重要なテーマです。それを理解するために、日本政治史がご専門の五百旗頭薫東大教授のこちらの一冊は必読です。 amazon.co.jp/dp/B085RZGV9M/… 「政治に〈嘘〉がつきものなのはなぜか。絶対の権力というものがあるとすれば、嘘はいらない。それなりの反対勢力野党や異議申し立てがあるからこそ、それを迂回するために嘘が必要となり、反対する野党や異議申し立ての側も、権力と闘うために嘘を武器にするのだ。」
Jul 16, 2022 12 tweets 1 min read
今日のブレア元首相の演説では、多くの人たちが政治を論じる際に、writing anger, not answerと述べて、怒りに満ちた言葉ばかりを吐いて、現代の困難な問題への「解答」を論じようとしないことを批判していました。私もそれに首肯します。怒りは吐けば吐くほど、精神に余裕がなくなる。 ブレア元首相も、安倍元首相も、イデオロギーは左右と逆ですが、首相としてはプラグマティズムの中道層に支持を広げて、選挙では勝利を続けた。今日の司会の方の言葉では、1979年から11回の英国総選挙で、ブレア党首以外で労働党は一度も勝利していないと指摘。それほどまでに選挙での勝利は難しい。
Jul 16, 2022 7 tweets 1 min read
今、トニー・ブレア元首相とお話しして、私が日本語でブレア政権の外交について本を書き、賞を頂けたことを伝えて、多くの方に読んで頂いたと伝えたら、笑いながら有難うと肩をたたかれた。緊張して心臓が止まりそうでした。研究対象と話せた喜び。 オクスフォード郊外でのクローズドのイベントで、目の前にいたので、勇気を出して話しちゃいました。一度生で見たかったので嬉しい。
Apr 18, 2022 5 tweets 1 min read
皆さん、戦争がどうやったら終わるのか?ということを繰り返し質問なさっていますが、基本的に国際政治学の基礎として(最近は「外交史家」と自称しますが)、主権国家体系、つまり国家の上位に超国家的な存在は(EU以外)ないので、戦争を始めるのも、止めるのも交戦国自らのみしかできません。 そして最近プーチン大統領と面会したり電話をしたオーストリアの首相らは、プーチンは停戦する意思はないことを伝えています。なので、これからプーチンが自らの「戦勝記念日」と設定した5月9日まで、今まで以上に悲惨な光景を見るはず。国際社会や日本できるのは、停戦交渉に進む環境を用意すること。