The Sato Lab (Kei Sato) Profile picture
東京大学医科学研究所システムウイルス学分野教授 The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan) Consortium主宰 一般社団法人G2P-Japan代表理事 週プレNEWSでコラム連載中→https://t.co/zLvSNcurTq

May 3, 2023, 9 tweets

#拡散希望 速報🔔 G2P-Japan🇯🇵の論文第19弾「オミクロン亜株XBB.1.16の特性解析」を、Lancet Infectious Diseases @TheLancetInfDis に発表しました。本研究では、世界で流行拡大中の #オミクロン XBB.1.16株(俗称 #アークトゥルス)の特性を解明しました。1/
thelancet.com/journals/lanin…

2022年末にアメリカ🇺🇸で突如感染爆発を始めたのがXBB.1.5です。この株は、XBB.1のスパイクに #F486P という変異を獲得したものです。それに対し、XBB.1.16のスパイクは、この #F486P に加えて、#E180V#T478R というふたつの変異を持っています。2/

XBB.1.5とXBB.1.16は共通する変異もありますが、分子系統学的にはそれぞれ独立に誕生したものです。つまり、XBB.1.5とXBB.1.16は、「XBB.1の子供たち(=XBB.1.5とXBB.1.16は兄妹)」であって、XBB.1.16は「XBB.1.5の子供」ではありません。3/

インド🇮🇳、アメリカ🇺🇸、シンガポール🇸🇬、オーストラリア🇦🇺におけるXBB.1.16の伝播力(実効再生産数Re)を推定した結果、どの国でも、XBB.1.16のReがXBB.1.5のReより大きいことがわかりました。つまり、XBB.1.16がこれなら世界で流行拡大していくことが示唆されます。4/

次に、XBB.1.16のスパイクが持つふたつの変異、 #E180V#T478R がシュードウイルスの感染力に与える影響を評価しました。その結果、#E180V には感染力を下げる効果が、#T478R には感染力を上げる効果があることがわかりました。トータルとして、XBB.1.16の感染力は、XBB.1.5と同程度でした。5/

BA.2, BA.5ブレイクスルー血清を用いた中和試験の結果、XBB.1.16は、XBB.1やXBB.1.5と同様、それぞれのブレイクスルー血清に対してきわめて高い抵抗性を示しました。6/

これらの結果を元に、XBB.1.16とその他の株の抗原性を比較すると、XBB.1.5とXBB.1.16は、抗原性がやや異なることがわかりました。7/

最後に、6つの治療用モノクロ抗体の効果を調べたところ、#ソトロビマブ だけが、XBB.1.16を含むXBB系統に有効でした。8/

以上の結果より、XBB.1.16は、抗原性を変化させることでXBB.1.5をoutcompeteして増えやすくなった株と言えるかも?しれません。

現在の日本は第9波に入りつつある状況で、XBB.1.5の比率も増えてきています。ここにもしXBB.1.16も流入してくると...という懸念も... 9/9
www3.nhk.or.jp/news/html/2023…

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