結果は真逆に近いものであり、解釈は容易ではありません。
関心のある方が多いと思いますので、誠に勝手ながら私の目線で解釈させていただこうと思います。
これは非医療従事者のみなさんが「BCGでコロナが防げる!」と思ってワクチンを打ちに走らないために書いています。
論文の批評(←)が目的ではありません。
SNS上の議論は上手くいかないことが多いので、ヒートアップしたら議論をやめますのでご了承ください。
それでは始めます。
・赤色が今もBCGを打っている国
・緑色は昔打っていたがやめた国
・青色は今も昔も打っていない国
を表します。
100万人あたりの死者数が、赤色<緑色<青色となっているのは一目瞭然ですね。
著者らは、各国の平均余命と2-3月の平均気温を調べて、この影響を排除した上で、BCGの効果をみています。
「影響を排除する」とは、平均余命や気温が同程度の国同士で比べるという意味に近いです。
例えば、都市封鎖の状況、手洗いの文化やマスクをの普及率など、強い影響を与えそうな要素はいくらでもあります。
「赤の国は青の国よりマスクをする人が多いから、感染が抑えられている」という可能性もあるわけです。
いくつか解析をされていますが、主な議論になっているところをピックアップします。
まずチェコとベトナムに注目しましょう。
両方の国で、BCG接種が始まった年と感染者の年齢が明らかになっています。
灰色の部分がBCG接種を受けた年代ですね。
BCGが本当に有効であれば、64歳の人は66歳よりもガクっと感染率が低いと思いませんか?
この人たちは同じ国で年齢も近く、生活習慣も似てると考えられるので、BCGが差を生んでいると考えるのは自然です。
もう1つのベトナムのグラフをみても同じような結果です。
むしろBCGを接種したせいでCOVID-19感染が増えているのではないかと思うぐらいですね。
ただ、この研究にも問題はあります。
つまい、BCG接種世代よりも年配の人は、BCGではなく結核そのものにかかって免疫を獲得している可能性があります。
また、BCGの効果は長期的に切れてくるので、65歳ぐらいの人達ピンポイントで比較するのはあまり意味がないと考えることもできます。
これに対する反論(BCGはほぼ100%接種されるが、結核は100%感染するわけではない、など)もあるのですが、微に入り細に穿つのが目的ではないのでここら辺にしておきます。
これらの研究は接種政策の影響をみており、個人レベルでの効果は少なくとも直接的に検証はしていません。
つまり、最初の結論が正しいとしても「今からBCGを打ったら予防できる」保証は全くありません。
せいぜいBCGの国に生まれてラッキーという程度です。
ただ、非医療従事者のみなさんの行動を変えるほど、ハッキリ何かがわかっているわけではない、というのは申し上げておくべきかと思いました。
長々と失礼いたしました。