Thread by @tarafuku10

動画『社会正義は正義ではない』を訳してみた。聖書には「正義」という言葉が何度も出てくるが、その前に「社会」が付くことはない。なぜか? 単純に社会正義が聖書より後に生まれた新しい理念だからか? それとも、社会正義は、聖書が定義する正義とは矛盾する存在なのか?

「主は社会正義の神である」

今日のアメリカや西洋では、多くの、いや、おそらくほとんどの教会やシナゴーグで、こうしたメッセージが伝えられている。

しかし、ここには問題がある。聖書はそんなことを言っていないのだ。

聖書はこういう。「主は正義の神である」(イザヤ書)。聖書は何度も正義に言及している。しかし、「正義」の前に「社会」という言葉が来ることはない。

あなたはこう考えているかもしれない。「何が違うのか? 神は正義の神でもあり、社会正義の神でもあるのではないか?」。

主が矛盾を許すのでなければ、それはない。主は同時に正義と社会正義の神であることはできない。なぜなら、社会正義は正義ではないからだ。

正義とは、贔屓(ひいき)なしに、ふさわしいものを手に入れることだ。社会正義とは、贔屓されて、不相応なものを手に入れることだ。

正義は盲目である(贔屓しない)。社会正義はそうではない。

たとえば、男が店で盗みを働いたとしよう。正義が求めるものはただ1つ。男が法廷で裁かれ、有罪なら罰を受けること。

しかし、社会正義はそうではない。社会正義は、その人が有罪かどうかだけを尋ねるのではない。

たとえば、経済状況について尋ねる。彼は貧しかったのか? 裕福だったのか? 生い立ちについて尋ねる。彼はどのような子供時代を過ごしたのか? 人種や民族性について尋ねる。彼は歴史的に抑圧されてきた集団に属しているのか?

正義は、すべての人が法の下に平等であることを求める。社会正義は、すべての人が、経済的に、社会的に、そして考えうるすべての基準において平等であることを求める。

正義はこう尋ねる。「誰がそれを行ったのか?」。社会正義はこう尋ねる。「彼はなぜそれを行ったのか?」

こうした社会正義の観点を採り入れることで、行為に関する個人の責任が失われる。だからこそ、社会正義を信奉する人々は、「正義」という言葉を捨てたのだ。彼らは、正義だけでは公平ではないと考えている。それが正しい場合もある。

父親に殴られ、母親に見捨てられた男は、愛のある家庭で育った男よりも、暴力的な犯罪を犯す可能性が高い。しかし、こうした事実によって、彼が有罪かどうかを決めることはできないし、決めるべきでもない。 なぜか?

正義は、何にもまして真実を重視するからだ。ある人が罪を犯したか、犯していないか。全知全能な人はいない。ある人がなぜそのような行為を行ったのかを知ることはできない。結局のところ、虐待的な家庭で育っても、ほとんどの人は暴力的な犯罪を犯さない。歴史的に抑圧された集団に属する人も同じだ。

被害者という言葉をどのように定義したにせよ、被害者であることが他人を傷つけてよい理由にはならない。そして、こうした犯罪で傷ついた人々はどうなるのか? 彼らこそ、そして他の善良な市民こそ、社会が真っ先に考えるべき人々ではないのか?

社会正義を信奉する者は、「No」と言う。彼らは、公平を実現するために社会正義が必要だと言う。そしてそれは、持てる者よりも持たざる者、富者よりも貧者、男性よりも女性、白人よりも黒人または浅黒い肌の人を贔屓することを意味する。

聖書は世界をこのようには見ていない。それどころか、これに明確に反対している。

出エジプト記には以下のような定めが書かれている。「あなたは多数に従って悪をおこなってはならない。あなたは訴訟において、多数に従って片寄り、正義を曲げるような証言をしてはならない」

レビ記にはこうある。「裁きをするとき、不正を行ってはならない。貧しい者を片よってかばい、力ある者を曲げて助けてはならない。ただ正義をもって隣人をさばかなければならない」

歴史上の偉大な立法者であるモーゼは申命記でこう言う。「ただ正義をのみ求めなければならない」

新約聖書の『ローマの信徒への手紙』にはこう書かれている。「神には、かたより見ることがないからである」

これらは、正義の体系において思いやりが入り込む余地はないと言っているのではない。もちろん、それはある。聖書は、未亡人、孤児、不運な人の保護を常に念頭に置いている。

しかし、思いやりは正義に従うものだ。けっして、正義に先立つものではない。

また、正義は、それ自体がおのずから思いやりに満ちたものだ。まず、犯罪の被害者とその家族に対して。そして、犯罪者に対して。何か悪いことを行ったと認識しないなら、どうやってより良い人間になれるというのか。

だからこそ、「正義」という言葉の前に形容詞を付けるとき、それは正義ではなくなるのだ。経済的正義、人種的正義、環境的正義。実際の正義を「矯正」しようとするあらゆる形式の「社会」正義は、正義を蝕むものだ。

社会正義が聖書の概念でないなら、これほど多くの教会やシナゴーグがこれを推進するのはなぜか?

それは、多くのキリスト教徒やユダヤ教徒が、もはや聖書の原則に縛られるべきだと考えていないからだ。

なぜなら、思いやりを示す方が、聖書の基準に沿うことを人々に求めるよりもずっと簡単だからだ。そして、数多くの宗教の場で、左翼主義が聖書の座を奪ったからだ。「弱者は善であり、強者は悪である」。それが左翼主義の行動規範である。

だからこそ、この時代の巨大な戦いが、ユダヤ教/キリスト教的価値観と左翼主義価値観の間で繰り広げられているのだ。前者は正義に根差すが、後者は違う。

BlazeTV で「Relatable」のホストを務めるアリー・ベス・スタッキーでした。(了)

英文スクリプト: prageru.com/video/social-j…