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19 Dec 20, 40 tweets, 5 min read
読了
まずメタ的な話。著者の川端さんに批判的な視線が皆無で西浦さん以外の話を聞きに行ってもいないので一方的。かつ西浦さんの話を聞いたまま書いているので時系列も前後してわかりづらい。というかわかりません。

新型コロナからいのちを守れ! 理論疫学者・西浦博の挑戦 honto.jp/netstore/pd-bo…
先に断ると私は尾身さん押谷さん西浦さんを「御用学者」とは思っていません。一番近いのは尾身さんでしょうが、彼もステークホルダーをキレさせては要望も言えないため官僚的話術を駆使しているだけで、私欲のためにそうしているとは思いません。皆さん心から良かれと思ってやっているのだと思います。
また西浦さんの42万人死亡予測とか8割接触削減という数理モデルが導いた結果にもほとんど興味がありません

で、結局、専門家たちが色々言ったけど政治行政NHK他の反応が悪すぎたので、自分たちでその道の研究者やプロを巻き込んでプロパガンダしましたと書いてありました。
それをこの本では
>父権主義か、意思決定支援か
で後者だと言ってるのですが、私には第二の「父」になろうとしたように見えます。

プロパガンダの表出がコロナ専門家有志の会@senmonka21 なわけですが、ここの記事が
>きちんとしたリスクの認識のもとに意思決定をしてもらう
に見えるでしょうか?
私には見えませんし、このプロパガンダ勢力(BuzzFeedや聖路加のあの人の名前も明記されている)がPCR検査に事実と異なる「できない理由」を書き続けてきたことからも

>情報を説明したうえでの合意形成

と程遠いものだったことは明白です。
実際、プロパガンダに参加してしまった有名な医師でも、
突っ込まれるとまともに答えられなくて残念なことになっているのは界隈にいればご存じのとおりです。

これは自分で調べ考えることをしていない証拠であり、専門家という権威=父の言うことに従うだけの子が、さらに子を「あなたのために」と誘導する父権主義そのものといえるのではないでしょうか?
そもそも西浦さんがこんなプロパガンダを始めたきっかけとして、NHKの科学部のインタビューを受けたのに「行動が変われば制御ができなくはない」という話が完全にカットされたという話が出てきます。

ここでNHK側の話を聞きに行っていないのがこの本のアレなところなんですが、私が科学部の人なら、
「先生の御説はわかりましたが、それは実証されているのですか? どこかの国で実際に行われて効果を示しているのですか? それとも研究者の間で批判的に検討されながらも生き残った仮説ですか?」

と尋ねます。もちろんそうじゃないでしょうから、科学部としてはカットするでしょう。当たり前です。
西浦さんは

>この感染症は未知のものなので、科学的根拠が十分でない中で、対策をしながら新たなエビデンスを見出して対処しているわけです。それに対して不安を覚える人が少なくないのはわかります。

といって科学的根拠が十分でないと認めているのに、なぜか自分の正しさを確信しているのです。
だから
>不信や不安が蔓延する中で、僕たちに足りないことの一つは「声」を持たないことなんだ
と思ってしまう。

そしてここでの声とは「対話」のための声ではありません。政府がやってくれない行動変容の普及を国民に選ばせるための声です。一番わかりやすいのが→コロナ専門家有志の会@senmonka21
ここで「でも西浦さんは日本でほぼ唯一の数理モデルの専門家なんでしょ?」という人に、最後の対談にも出てる『感染症の数理モデル』の共著者の記事を読んでほしいです。

>流行規模にかかわらず、普遍的大量検査をおこなうことは、非常に有効な制御手段であると考えられる。
covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3925
>また十分な検査率を維持することによって、陽性率から流行動向をモニターすることができるという意義があることはいうまでもない。

これが基本。数理モデルはモデルであって現実そのものではない。自説を過信し現実の観測を軽視する人は、ひたすらに真理を求める「科学」からは外れてしまっている。
>感染の広がりとともに接触者調査にもとづくクラスター対策では抑制は困難になっているにもかかわらず、大量検査の流行抑止効果に対する懐疑的な態度が、その後の各国における経験によって修正されず、検査態勢の充実を遅らせる政治的効果を生み出したとしたら残念である。
この本に戻り、二点目として「感覚がずれている」と感じる部分について。

>やっぱり3月19日の記者会見では(略)流行はもう終わりだという雰囲気すら出てしまった

それは先に「一二週間が山場」と言ったからです。

新型コロナからいのちを守れ! 理論疫学者・西浦博の挑戦 honto.jp/netstore/pd-bo…
山場は、そこが過ぎれば下り坂になる状態を表現しています。3月19日に山場の対策に失敗したことを認めなかった以上、「山場は過ぎた」と解釈されるのは当然の反応でした。

この頃には「コミュニケーションの専門家」が入っていたはずなんですが、どうしてアドバイスしてくれなかったんでしょうね?
またこれは川端さんによるコラムの記述ですが

>感染制御の大枠に関して基本的には一枚岩で、極端な意見の対立は、少なくとも外から見る限りはなかった。これは、2011年の福島第一原発事故の際の「専門家」との大きな違いだったのではないだろうか。
>原発事故をめぐって専門家と名乗りうる人たちの中で、あらかじめ意見が根本的かつ両立不可能なくらいに食い違っている状況下では、一般の人々は不信を募らざるをえなかった。

一般の人々が不信を募らせるのは「食い違っているから」ではありません。「どちらかが間違ったことを言ってるから」です。
つまり一枚岩になって間違ったことを言ってしまえば、その不信は分野全体、ひいては科学全体に及びます。実際にPCR検査に関しては間違った説明が跋扈し、良かれと思って市民に啓蒙してきた医師や研究者たちの信用が大きく棄損されているわけですが、川端さんはまったく目に入っていないのでしょうか?
三点目。

>クラスター対策に戻せるところまで十分に感染者数を落として、そこからまた新しいクラスター対策をやる

これが西浦さんたちの提案した方策ですが、彼らを支持している人たちは正確に理解していますか?

新型コロナからいのちを守れ! 理論疫学者・西浦博の挑戦 honto.jp/netstore/pd-bo…
これは西浦さんが今回の感染症を2か月程分析して編み出した独自手法であり、実績もなくまともに検証もされないまま始まりました。クラスター対策自体は集団感染抑止法でしかないので反対なぞしませんが

クラスター対策→増えすぎたら緊急事態宣言→減ったらクラスター対策→増えすぎたら緊急事態宣言
のループで制御し続けようという話で、一定程度の蔓延状態を看過しようというものです。

まずここで「一定程度」を管理できる保証があるのかという疑問がわき起こりますが、元上司の責任を感じたのかその部分へ突っ込みを入れてきた渋谷健司さんへ、西浦さんは(省略しますが)ぼろくそに言ってます。
また一部経済の専門家たちは「一定程度の蔓延であっても恐怖心があれば観光地に人は戻らない。将来の不安から財布のひもは固くなる。できる限り封じ込めなければ経済は回らない」と検査拡充を求めているわけですが、西浦さんは、あくまでも自分が一番理解していて自説が正しいという自信があるのか、
>せっかく経済との両立という名目で有識者会議の分科会に追加で参加くださった経済学者の先生も、PCR検査の拡充を必死に分析される始末

>経済との両立を目指すタスクを与えられる計量経済学者を参画させられていない政府の問題

といってしまうわけです。
あくまでも西浦さんの目指す方策は、経済にしても感染拡大にしても数理モデルで予測して最適化するという、針の穴を通すような話だということです。

私は経済学苦手ですが、これ、経済学者は「経済が数式通りにうまくいくなら苦労はねーよ」と苦笑するところではないでしょうか。
そもそも政府系専門家が初期にこのクラスター対策路線しか提言してこなかったようなので、実質的に西浦さんの作戦が実行されてきたのです。

結果的に今感染爆発していることについて政府・行政・市民が協力しないからと非難する声がありますが、検査&隔離体制を整えることが無理難題だと考えるのに、
どうして大多数の市民が長期間自分の生活を犠牲にして協力し続け、災害対策で驚くほどの無能さを示してきた政府が今回に限り機敏に対応すると思ったのでしょう?

政府が有能で、市民が頻繁に更新される専門家の要求にも対応してくれたならこの作戦は完璧に成功したんだ、とでも総括するのでしょうか?
私、日本がろくに検証もされていない西浦さんの理論を試そうとしていることには気づきましたが、そのことを彼自身がどのように考えているかはわからないでいました。


新型コロナ: 新型コロナ座談会 連鎖断てるか、この1~2週が正念場: 日本経済新聞 nikkei.com/article/DGXMZO…
しかしこの本を読んで、むしろ西浦さんが主導し、押谷さんと尾身さんが乗った形なのだとわかりました。

そして今までどうしても納得できなかったいくつかの疑問に対し、自分なりの推論を得ることもできました。

新型コロナからいのちを守れ! 理論疫学者・西浦博の挑戦 honto.jp/netstore/pd-bo…
一つは、なぜ賢いはずの医師や研究者が破綻した論理を訴え「続ける」のか、という謎です。間違いを修正できないだけではなく、わざわざ記事を書き図表を作りと情熱をもって啓蒙にいそしんでますよね。これに対しどうにも納得のいく説明を見つけられないでいたんです。
そこで西浦さんのこの記事です。

>ぜひとも全国の保健医療従事者の皆さまにまずこのことを知っていただき、皆さんが知識の伝道者となっていただかなければなりません。

m3.com】西浦北大教授「解禁ムード広がることを大変危惧」 #m3com m3.com/news/iryoishin… @m3com_editors
↑は西浦さんがNHKにカットされて落ち込んだ後、行動変容を市民に求めるために書いた記事で、「伝道者」を巻き込もうとしたネット上の痕跡です。


他はメンバーもいまいちわからない(その後有志の会として一部表層化する)「インフォーマル」な集まりが2月からあったそう。
問題は
>この感染症は行動変容を伴う努力をもってすれば「制御できる」
根拠が西浦さんの説しかなかったことで、伝道者となった方々は西浦さんを「信じた」という点です。
ここで、

「自分が間違えたことなら認められるが、自分が騙されたことは認められない」

という人の性が出ているのでは、と。
もちろん西浦さんは自説を確信しているでしょうし騙したのではないでしょう。

しかし「実際のデータを自分の目で見て判断した結果=間違えた」のではなく「他人の言うことを信じて=騙された」と深層意識が感じてしまうから、軌道修正に対してこうも拒絶感が強いのではないでしょうか?

妄想ですが。
そしてなぜ「検査を無暗に増やしてはいけない」のか。これも今まで納得できる解説はありませんでした。感染研がデータを独占したいからだという説もありましたが、それなら孫さんが民間検査を言い出したとき情報提供を要求すればデータベースごと作ってくれたかもしれません。そのほうが利があった。
やはりこの本読まれていないようですが、西浦さんの態度は「いわゆる検査抑制派」ですよ。

>「検査ができていないから」「本当の感染者数がわからないから」ということだけに固執すると、やらなければいけない他のことが進まなくなってしまいます。

彼らに通底しているのは「管理できない検査をするな」ですが、西浦作戦が

>接触者が追えない以上、クラスター対策は不可能です。ここがクラスター対策と緊急事態宣言との間の分水嶺

だから追跡できない陽性者を増やしたくないという理由もあったのかと思いました。不定要素が増えれば指標が狂うから
私は単に「クラスター対策しながら大量検査もすればいいだけでは?」と考えていましたが、西浦さんは数理モデルを軸に精密制御しようとしているわけで、実際の数字として追跡できない陽性者が増えてしまったら困るでしょうね。

でもそれが「現実」なので、現実を知るために検査すべきだと思いますよ。
そして(多分)最後になりますが、この本で一番心配なのは押谷さんのことです。押谷さんが封じ込め放棄をおしすすめたのは知ってますが

体調を崩して表に出られなくなっているらしいのと

>「俺たちはデータ分析に徹するべきだ」「リスク管理に立ち入りすぎたらいけない」
>「緊急オペレーションセンターには広報部所は要らないんだよ」

などと、あの西浦さんの被害想定発表の後に言うようになったそうなんです。この本の著者は押谷さんにも真意を聞きに行っていないのでこれ以上の情報はありませんが、
それは西浦さんがやってることへの直球の批判なんじゃないの?と私には思えるのに、あんまりまともに受け取っていないというか。

>僕が世間から批判されるのを誰よりも心配してくださったから、ここで相当に私を叱ってくださったのですね。

そうですかねえ?
よく知らない人だからわかりませんけど

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7 Jan
今回の検査抑制を促すような言説を特徴づけているのが、

・ほぼ同時に複数の大型医系アカウントから発信された
・誰かが言い始めてそれに乗っただけならばRTで元がわかるはずだが、いまだに不明
・とにかく「PCR検査」にこだわる
・保健所でPCR検査をやることは否定しない


・他の感染症のPCR検査の否定もしない
・否定する根拠は同期しながら変わっていった
・何度反証されても「とにかく(無暗に)検査を増やすべきではない」という姿勢が崩れない
・「市民に対する啓蒙」という目的意識が強い
・信頼されるに値する人がおそらく背後にいる


というわけで、私は旧専門家会議(≒専門家有志の会)近辺から発生したという仮説を立てています。

PCR検査を増やしてほしくなかった直接的な理由は「追跡のための人材」がボトルネックになるからではないかと。抗原検査を問題にしないのは、抗原検査陽性はPCR検査を経てから追跡されるので、
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