「外国人の考えた日本人っぽい名前」、印象に残っているのはキム・スタンリー・ロビンスンの火星テラフォーミングSF「レッド・マーズ」以下続刊に出てきた日本企業「スバラシイ」
……これではいくらなんでもアレではないのかということで日本語訳のときに「ワンダフル」と改名された。
だが日本人の翻訳者と読者の想像の上を行ってみせたのがP.K.ディック。「高い城の男」には大日本帝国の貴族「カエレマクレ男爵」というのが出てきて、帰れまくれってｗと日本語訳の時「鎌倉男爵」と改名された。のだが……
その後、ハワイの名族に「カエレマクレ」という家名が実在してることが判明。つまり、ディックは大東亜共栄圏が実現した「高い城の男」世界において、八紘一宇のもとハワイの名士が帝国貴族として叙された歴史を描いていた可能性が大に。やはり日本の事でも日本人だからって天狗になってはいけない……
「レッド・マーズ」の「スバラシイ（Subarashii）」はカタカナでスバラシイって書くとすごく変だけど、20世紀末か21世紀初頭に創業した日本のベンチャー企業で「すばらし居」とかなんかそんな感じのネーミングのが発展して惑星間企業になったと考えるとあんまり変じゃないね
外国人の考えた日本人の名前をあんまり笑ってもしょうがないんだよね。「ラインハルト・フォン・ローエングラム」という名前をドイツ人に見せるとすげえもにょるというのは有名な話
「ラインハルト」って、イメージ的には中産階級かそれより下の層の子につけられる名前なので、それに続いて貴族を表す「フォン」が付くとギャグい感じになるんよ
外国人の考えた日本人名、「バトルテック」のクリタ家も好き。セオドア・クリタとか。たぶん海軍中将の栗田健男を引っ張ってきたんだろうね
バトルテックのドラコ連合（クリタ家）、内容よりもバトルテックとしての「創作史」のほうが面白いのが困る
「バトルテック」が誕生したのは80年代。当時は経済摩擦によるジャパンバッシングの反面、ショー・コスギのニンジャ映画なんかも登場してて、日本のイメージは最高にヘンだった。だから登場時のドラコ連合は旧日本軍のカリカチュアで、すぐ人を斬首する頭のおかしいアブネー集団だった
しかし時代は移り変わり、日本と言えばクールな科学技術（つってももうこれもいい加減過去になりつつある）と萌え萌えカワイイアニメ漫画。バトルテックのユーザー層もデザインする側もすっかり意識が変わってしまった。これを受けて「バトルテック」内のドラコ連合も扱いが激変する
ファシストな首切り野郎どもの首領は、「実は民主主義を推し進めようとする英邁な君主」だったことになり、ブシドーはキチガイ死ぬ死ぬ思想から誇り高い戦士の文化となり、美少女パイロットが活躍する主役文明に大昇格！
ソフトパワーの凄さを思い知ったもんですよ。たぶん、次は中国をカリカチュアしたカペラ大連合国（リャオ家）がすげえ強くなるはずである
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