Thread by @tkatsumi06j

なんか色々ツッコミどころがありすぎでどこから始めればいいのか。同通訳者を『セレブバイト』と表現するのは、大変な訓練を受けなければできない同通という高度な技術が必要な職能を持ち、かつ、専門・技術的な分野でその能力を遺憾なく発揮できるプロフェッショナルに対してあまりに非礼。

https://twitter.com/oxomckoe/status/1400456508664545297

格の違うお嬢様だろうと坊っちゃまだろうと「英会話」ができれば通訳できるわけではない。「英語の読み書き」ができても翻訳ができる訳ではないのと同じだ。つまり、翻訳・通訳いずれの技能も、努力して身につけるもの。磨くもの。まして同通ともなると次元が違う。特殊な能力と訓練が必要とされる。

適切な資料があっても、専門レベルの高い学術関連の会議で同時通訳を行うことができるというのは、相当な場数と経験と技術が伴わないとできない。逐次通訳である自分が、専門とするIT分野のカンファレンスで同通しろと言われたらできない。悔しいが、ウィスパリングが精一杯である。そこには壁がある。

潜在的に通訳の能力がある人間であっても、同通を目指す場合には、自己で鍛錬するか通訳学校に通うしかない。この話に出てくる女性通訳たちの素性は全くわからない。一流大学を出ているというが、そんなものは優秀な通訳者の要件ではない。ひとえに技術と能力の問題なので、鍛錬するしかない。

この女性通訳者たちが皆、既婚者だとして、結婚はキャリアの終わりではない。兼業を認める相手だったら、家事を分担しながらでも自分の伴侶のキャリアパスを諦めさせるようなことはしない。つまり「セレブのバイト」ではなく、純粋に「専門とする仕事」として通訳の仕事を継続しているのかもしれない。

相手の素性が履歴書にある以上のことがわからない中で、「格（クラス）が違う。から〜」と勝手に枠にはめて相手の専門性、キャリア、仕事に対するコミットメントや情熱を軽視する形容をする姿勢には、嫉み、やっかみ、僻み等の負の感情しか見えてこない。これはジェンダー以前に人格尊重の話である。

いち個の人格として、仕事人の仕事ぶりを『見事』と表現できるならば、そこで留めておけばよかった。そこに「主婦」であるとか「セレブ」であるという付随的なカテゴリ分けは不要だったはずだ。私の派遣先の同僚も既婚で通訳をやっている。同通ではないが、結婚＝キャリアの終わりではないのだ。

少なくとも女性同通訳者の伴侶たちは、彼女らの仕事への情熱やコミットメントを尊重しているのだろう。同通は片手間でできることではないし結婚前に培った技術としても廃れさせるのは惜しい。それだけの自己投資を行なった結果培われた職能だからだ。

寧ろ私は彼女らと彼女らの伴侶に喝采を贈りたい👏