Thread by @influenzer3

●ファイザーワクチンは無症候性感染を91%減少させる
→この検討では医療従事者を対象に、症状の有無に関わらず週1回の定期的PCRを行っています。
無症候性感染阻止効果に関する類似の報告は複数ありますが、その意味では数値としてはこれが一番信用できると思われます。

医療者の自主的検査も許可しているため、検査回数には個人差があり、ワクチン接種者は男性が多いという性差もありました。
これらをpropensity score-matchedで調整すると、ワクチン接種者は無症候性感染を91%減少させるという結果。

Association Between Vaccination With BNT162b2 and Incidence of Symptomatic and Asymptomatic SARS-CoV-2 Infections Among Health Care Workers
jamanetwork.com/journals/jama/…

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・第3相試験によりファイザーワクチン(BNT162b2)の発症阻止効果(95%)が示されているが、無症候性感染に対する効果については不明である。
・無症候性感染は感染者全体の40-45%を占めると推定されており、感染拡大の原因となるため、感染対策における大きな障壁になっている。

・今回、ファイザーワクチンの接種による医療従事者の症候性および無症候性のSARS-CoV-2感染阻止効果について検討を行った。
・イスラエルの三次医療機関で実施された単施設後ろ向きコホート研究。

・2020年12月20日～2021年2月25日の期間に医療従事者を対象に、定期的鼻咽頭ぬぐいのスクリーニングPCRを実施し、症候性および無症候性のSARS-CoV-2感染の有無を調べた。

・PCR検査は2020年12月20日から2021年1月2日(period 1)は曝露リスクに応じて2週～1月毎、2021年1月3日から14日(period 2)に病院職員全員に対してスクリーニングを実施し、

1月15日以降(period 3)は中等度以上の曝露リスク(内科医療 or 救急医療 or ハイリスク手技に携わるもの)のある全員に対し、病院の指示により毎月～毎週検査を実施した。加えて、すべての医療従事者は自由に即日PCR検査を受けることができた。

・SARS-CoV-2感染者については、37.6度以上、頭痛、咽頭痛、咳、呼吸困難、鼻汁、下痢、筋肉痛、倦怠感、味覚・嗅覚喪失などの症状があった場合に、症候性と定義した。

・ロジスティック回帰法を用いて、ワクチン接種完了者(2回接種後7日以上)と非接種者における感染率を比較した発生率比を、人口統計およびPCR実施回数で補正して算出した(aIRR)。

・主要評価項目はワクチン接種完了者と非接種者の症候性および無症候性感染に対するaIRR、副次評価項目はワクチン部分接種者(初回接種後7-28日)と接種完了者のうち21日以上経過した者のaIRRとした。

(結果)
・合計6710人の医療従事者(平均年齢44.3歳(SD 12.5)、女性66.5%)を中央値で63日間追跡した。5953人(88.7%)が少なくとも1回のワクチン接種を受け、5517人(82.2%)が2回接種を受けていた。757人(11.3%)はワクチン未接種であった。

・ワクチン接種群は非接種群に比べて年齢が高く(平均44.8 vs 40.7歳)、男性の割合が高かった(31.4 vs 17.7%)。
・症候性感染はワクチン接種完了者8人と非接種者38人で発生した(10万人日あたり4.7 vs 149.8、aIRR 0.03, 95%CI 0.01-0.06)。

・無症候性感染はワクチン接種完了者19人と非接種者17人で発生した(10万人日あたり11.3 vs 67.0、aIRR 0.14, 95%CI 0.07-0.31)。
・結果はpropensity scoreによる感度分析でも変わらなかった。
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・スクリーニングPCR検査のスケジュール
1/3-1/14の間に全医療従事者を対象とした横断検査。
曝露リスクの高い救急医療者とワクチン非接種者は1/21より毎週PCR。
1/29以降は毎週PCRを行っています。

・各時期のPCR検査回数の推移
オレンジがワクチン非接種者。
青がワクチン接種者。
黒がpropensity scoreでマッチさせたワクチン接種者です。
ワクチン接種者全体はPCR検査回数が少ないですが、propensity scoreマッチ群で検査回数も調整されています。

・感染率の比較
実線が症候性、点線が無症候性感染です。
ワクチン接種で症候性、無症候性感染ともに同程度減少。
propensity scoreマッチ群では減少の程度はより大きくなっています。

・結果の一覧です。
ワクチン接種完了者のうち、2回接種後21日以上経過した群をLate fully vaccinatedとして解析しています。

Propensity score–matchedでみると、1回接種後7-28日で無症候性感染はaIRR 0.48で有意差なしですが、症候性感染はaIRR 0.03とすでに効果十分です。ワクチン接種完了者は無症候感染についてもaIRR 0.09で91%の感染阻止効果。