Thread by @influenzer3

●ファイザーワクチン接種後に発症した急性心筋炎7例のcase report
→現時点でmRNAワクチンの有害事象である可能性が濃厚と思われる心筋炎症例のcase reportです。

ワクチン2回接種後2-4日目に発症というタイミングは、ワクチンとの因果関係はもちろん、これが誘導免疫による交叉反応である可能性を示唆しているように思います。
ただし、予後は良好で重症度も高くありません。

米国で最近、ファイザーワクチン接種が承認された12-15歳の若年者では、誘導される抗体力価は16-25歳の1.8倍程度と高いです。
もしも、本症発症に誘導中和抗体が関与しているのであれば、12-15歳の小児での発症頻度はさらに高くなる可能性がもあるかもしれません。

同じく交叉免疫が病態と予想されるMIS-Cとは心臓MRIの所見が異なっているのは個人的には予想外です。
Symptomatic Acute Myocarditis in Seven Adolescents Following Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccination
pediatrics.aappublications.org/content/early/…

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・これまで行われてきたCOVID-19ワクチンの臨床試験では小児例におけるデータは十分とは言えない。そのため、稀ではあるが重要な有害事象を検出できていない可能性が残っている。

・2021年5月10日、FDAは12歳以上を対象としたファイザーワクチンの使用についてEUAを出した。12-15歳での有効率は100%だった。2回投与1か月後の中和抗体力価は12-15歳(GMT1239.5)、16-25歳(GMT 705.1)と若年小児で高い事が示されている。

・イスラエルのコホートでは、18-30歳の男性においてmRNAワクチン接種後に心筋炎が2万人に1人の確率で発症したと報告されている。
・今回我々は、ファイザーワクチンの2回接種後4日以内に胸痛で発症した、元来健康な7例の青年(男性)の心筋炎/ 心筋心膜炎について報告する。

・5人は来院時に発熱を認めていた。7例全例が鼻咽頭スワブのPCRが陰性であり、急性COVID-19が否定されていた。
・全例ともMIS-Cの診断基準を満たしていなかった。
・7例中6例でSARS-CoVのヌクレオカプシド抗体が検討され陰性であり、SARS-CoV-2の先行感染の可能性は否定された。

・全例でトロポニン上昇を認めた。
・心臓MRIでは心筋炎に特徴的な後期におけるガドリニウム増強を認め、修正Lake Louise基準を満たしていた。この所見はBlondiauxrらが記載しているMIS-Cでの所見(後期のガドリニウム増強を伴わないびまん性心筋浮腫)とは異なっていた。

・全例で症状は速やかに改善した。3例はNSAIDsで治療され、4例はIVIGとステロイドが投与された。
・ワクチン接種後の心筋炎/心膜炎は稀である。5月23日現在、米国の18歳未満の652,758人が2回接種を受け14日以上経過している。
・ワクチン接種と心筋炎との因果関係はまだ確定事項ではない。

・プライマリーケア医や救急外来の医療従事者は、COVID-19 mRNAワクチンを最近接種した患者の胸痛の病因として、心筋炎を考慮する必要がある。引き続きモニタリングを行い、FDAのVERS(有害事象報告システム)へ報告することを強く推奨する。
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・7例の概略
14-19歳の全例男性です。6例が白人。
体格は大きめで64kg-92kg、BMIは19-28。
7例中4例は2回目の接種後2日目に発症。
全例で胸痛、2例で息切れ、発熱は5例で認めています。
予後は良好で全例が5例は4日以内、全例が6日以内に退院。

・検査所見
トロポニンは全例で高値ですが、程度は様々です。
NT po-BNPは測定された4例全例で高値。

・心筋関連検査
全例でMRIで異常所見を認めています。
心エコーでは7例中5例が正常所見。
心電図所見は全例ST上昇所見が見られています。

・治療内容
酸素投与を要したのは1例のみ。
全例で昇圧剤の使用はありません。
予後は良好。

・case 1の心臓MRI所見
矢印がガドリニウム増強を示しています。

・case 3の心電図所見
広範なST上昇で心外膜炎の典型所見です。