絶対に壊れない堤防はない 2年前の千曲川氾濫 専門家の警鐘 | 毎日新聞 mainichi.jp/articles/20211…
『千曲川の堤防は、越水しても絶対に決壊しないと思っていた』
いや、堤防はむしろ「越水したら絶対に決壊する」ぐらいのつもりで考えていた方が良い。
堤防ってのは基本的に、川の流れと堤防が平行な状態で耐えるように作られているが、越水すると堤防と交差するように流れる。このどちらにも耐えるように作るのはとても大変なので、越水すると堤防は崩れてしまう。
なお、この「越水すると崩れる」を防ぐのが、スーパー堤防。
通常の堤防は、堤防を乗り越えた水が流れ落ちて堤体などをえぐって壊してしまうが、スーパー堤防は堤体の斜面が緩やかなので、流れ落ち方も緩やかになる。
つまりスーパー堤防は「溢れない」のではなく「溢れても壊れない」を目指した堤防。壊れるとそこから全部出ちゃうが、壊れなければ川の水は引き続き川を流れ、流れきれない分だけが溢れる。被害は出るが、堤防が壊れた場合よりは小さくなる。
洪水自体を防ぎたいのであれば、堤防自体を高くするのが良い。堤防は「溢れると壊れるが、溢れなければ壊れない」ので、まずは河川全体で目標の高さまで堤防を嵩上げするのが重要。スーパー堤防は、都市部など想定被害が大きい地域に整備する「二の矢」。
というわけなので、川の水位が上がって溢れるってのはもう「堤防が崩れる」とほぼ同義なので、川が溢れる寸前だと聞いたら一目散に逃げて欲しい。「溢れても堤防があるから大丈夫だろう」って人がいたら「しぬ気ですか?」と言ってあげた方が良い。

• • •

Missing some Tweet in this thread? You can try to force a refresh
 

Keep Current with 大貫剛

大貫剛 Profile picture

Stay in touch and get notified when new unrolls are available from this author!

Read all threads

This Thread may be Removed Anytime!

PDF

Twitter may remove this content at anytime! Save it as PDF for later use!

Try unrolling a thread yourself!

how to unroll video
  1. Follow @ThreadReaderApp to mention us!

  2. From a Twitter thread mention us with a keyword "unroll"
@threadreaderapp unroll

Practice here first or read more on our help page!

More from @ohnuki_tsuyoshi

6 Oct
テレビを見てたら、八街の交通事故現場に「ようやくガードレールが設置された」「どうして事故が起きるまで設置されないのか」という話をしてた。
それを見てた僕
「あれ、ガードレールの設置基準にも歩道の設置基準にも合わないから、事故でも起きないと認められないなあ」
まず、歩道の幅は2m以上と決まっている。これは車椅子がすれ違えるように。
2mに満たない「既存不適格」の歩道はいくらでもあるが、その幅で歩道を設置することは基本的には認められない。
それを解禁しちゃうと、そのぶん車道が狭くなるのに、車椅子は歩道を通れず車道を通る羽目になる。
八街では道路の端から1mもない場所にガードパイプを設置していた。
なのでこれは、法的には「歩道を設置した」のではなく「ガードパイプの外側を歩かせてる」だけの状態だと思う。
Read 8 tweets
6 Oct
ありゃ、他のハンガーも破断してるのか。水が抜けて軽くなったからもう落ちないだろうけど、補修は大変だな。
左の写真は、水道管の継手がすっぽ抜けた場所なので、ペンキが剥げて錆びてるわけではない。左で落ちかけてる筒がコネクターで、水道管に被さって繋いでいた。
水道水は食品並みの衛生基準なので、水道水に触れる部分には外装用のペンキを塗れない。
細部の写真を見て気になるのは、もしかしてこの橋は最初はアーチとハンガーしかなかったところへ、耐震補強工事で斜材や横材を後付けしたのではないかということ。
ハンガーの両端はアーチや水道管に溶接されているが、斜材や横材はハンガーにバンドを巻いてボルトで締めてる。
Read 11 tweets
5 Oct
さて、熱海土砂崩れ現場周辺を歩いてきたレポートの続き。警備員の方に聞いた話を中心に。
テレビで繰り返し見た、あの場所。あの動画はこの家の人が撮影したのだろうな、とかすぐにわかった。
土砂が流れた谷の部分は現在も通行止め。ただ、バスは一方通行(循環運転)で通ってる。
その場所のすぐ下には、土砂が流れた谷筋が見える。谷川のように見えるが元は道路だった場所で、側溝だったり暗渠だったりしていたようだ。
道路両側は建物だったと思われるが、このあたりは道路も含めてほとんど失くなってる。
Read 13 tweets
5 Oct
熱海の伊豆山へ散歩に来ました。

土砂崩れに遭った国道135号線は普通に通行できるけど、沿道の建物はまだ当時のままだったり、1階の復旧工事中だったりして、工事の終わった建物はわずか。
土砂崩れの中心だった道は現在も通行止めなので、並行する伊豆山神社参道を登る。並行する道かずっと階段なのだから、被災した道路の勾配も推して知れるというもの。
途中の脇道に入って被災地方面へ行ってみたが、例の道の手前で規制線が張られていた。右の建物は傾いてる。
空き巣対策なのだろう、あちこちに真新しい防犯カメラがあり、警察もパトロールしていた。なお神社参拝者はパラパラいる。
Read 11 tweets
4 Oct
以前に大学生と話していて、「デフレだと金を使うより貯めるようになり、景気が悪くなる」と説明したところ、「インフレで給与が上がっても支出も増えるから意味がない」と言われて、すれ違ったことがある。
「実質所得が増加する」状態を見たことがない世代だと気付いて衝撃を受けた。
もっと言ってしまうと「世界はだんだん良くなる」という状態をイメージするのが困難であり、経済のゼロサムゲームが質量保存の法則のように当たり前になっていると感じた。
好景気というもの自体に現実感がなくなっているのは、結構ヤバい。
「麻雀で全員が勝つには、点棒の総数を増やせばいい」

経済成長ってのはそういう状態のはずだが、点棒が増えない状態しか見たことのない世代には詭弁としか思えなくても仕方がない。
Read 5 tweets
4 Oct
ところで、今日(というかもう昨日)から1年ぶりに熱海に来ているのだが、久しぶりに東京から100km運転してきただけでどっぷり疲れた。明日は飛ぶのに適さない風の予報なので、温泉でぐったりする予定。
世の中疲れてる人が多いのか、前を走ってた乗用車が、何もない普通の直線で何事もないようにゆっくり左に寄って、ゴリゴリとガードレールに擦り付けて止まったので驚いた。こんなの初めて見た。
もしかして急病で失神したのか?とも思ったが、すぐにハザード付けて停車したのと、横から覗き込んだら老夫婦で問題なさそうな様子だったので、気が散ったか何かで左に寄りすぎたんだろう。右に寄って正面衝突するよりマシなので、不幸中の幸いと言うべきか。
Read 5 tweets

Did Thread Reader help you today?

Support us! We are indie developers!


This site is made by just two indie developers on a laptop doing marketing, support and development! Read more about the story.

Become a Premium Member ($3/month or $30/year) and get exclusive features!

Become Premium

Too expensive? Make a small donation by buying us coffee ($5) or help with server cost ($10)

Donate via Paypal Become our Patreon

Thank you for your support!

Follow Us on Twitter!

:(