ロシア大統領演説ですが、大変まっとうな発言のように見えてしまう。。
kremlin.ru/events/preside…
「この10年間で、欧州のエネルギーミックスに占める自然エネルギーの割合は急激に上昇し、重要で目立つ役割を果たすようになった。それは良いことである。しかし、自然エネルギーの最大の特徴は、出力が
一定しないことである。大量の予備力が必要になる。また、気象条件により発電量が大幅に減少した場合は、予備力だけでは(供給力が)不足する。
今年は風力発電量の減少により、欧州市場で電力不足に直面した。エネルギー価格が上昇し、スポットガス市場における価格上昇のきっかけにもなった。
重要なポイントは、季節によってガスの需要量が変化することである。例年、冬季に入る前、夏季にある程度のガス貯蔵量を確保する。ところが、今年は欧州の寒い冬が終わっても多くの国がガス調達に入らず、スポット市場に頼る、所謂「見えざる手」が働いていた。
駆け込み需要が起きる前に、価格をに
押し上げてしまったのだ。
繰り返しだが、欧州におけるガス価格の上昇は、電力不足の結果であり、その逆ではない。これは他人に責任転嫁する話ではない。
時々このテーマで欧州の方々の話を聞くと、大変驚く。彼らは数字を見ていないかのように – 何度も言いますが – 現実を見ていないかのように、
ただ自分のミスを隠蔽しているだけなのだ。この10年間で、欧州のエネルギー分野では、システムの欠陥が少しずつ蓄積されてきた。このような欠陥があるからこそ、欧州では大規模な市場危機が発生しているのだ。
思い出していただきたいのだが、原子力発電やガス発電が主力電源であった間は、
そのような危機はなかったし、起こるはずもない。
尚、現在のロシアでは、ありがたいことに、このような問題は考えられない。燃料・エネルギー部門の発展に向けた長期的なアプローチにより、家庭や企業向けの電気料金を欧州で最も低い水準で確保している。
比較すると、ロシアの平均電力料金は約20ユーロ/MWh、リトアニアは256ユーロ、ドイツ・フランスは300ユーロ、イギリスは320ユーロである。
わが国では、料金上昇は制限されており、厳しく規制されている。欧州諸国では、例えば、発電コストの上昇により、最近では住宅や公共施設の電気料金がほぼ毎月
上昇している。私の参考資料にもあるが、この数字については今は割愛する。
話をガス市場に戻すと、もう一言申し上げたい。よく耳にするのは、「(エネルギー供給に係る)高値見積価格は、エネルギー生産者の手に渡り、生産者は目に見える努力をすることなく高い利益を享受している」という言説で
ある。
しかし、このような主張をする方々は、自身が何を言っているのか理解しておらず、先々を見通すことを好まず、長期的な展望を考慮していない。エネルギー価格の急激な上昇は、企業、経済、公共部門を急激なコストアップに追い込み、エネルギー消費の削減や生産量の減少を余儀なくさせる。
つまり、高価格の環境は、最終的には生産者を含めたすべての人に悪影響を及ぼす可能性があるということだ。どのような市場でも、安定性と予測可能性は重要である。ロシアは、欧州を含むパートナーとの契約上の義務を完全に果たし、この方向への保証された無停止のガス供給を確保している。年末には、
世界市場へのガス供給量が過去最高水準に達することが確実視されている。さらに、我々はいつでもパートナーと半分ずつ会い、追加のアクションについて話し合う準備ができている。
我々は一貫して、欧州大陸全体のエネルギー安全保障の強化に取り組んでいる。パートナーであり友人でもある欧州企業と
ともに、トルコ・ストリーム、バルカン・ストリーム、ノルド・ストリーム1、ノルド・ストリーム2という大規模なインフラプロジェクトを実施している。その目的は、将来にわたって欧州が必要とする量のガス供給の持続性と予測可能性を確保することである。また、これらのプロジェクトを実施することで、
温室効果ガスの排出量を何倍にも大幅に削減することができる。」
(長くなりましたが、了)

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25 Jul
2004年に公開された映画「The Day After Tomorrow」は後半はパニック映画だったが、前半は中々秀逸だったと思う。政策課題が数多ある中で、ベッカー副大統領は気候変動問題を優先課題として捉えられない。突然訪れた氷河期によって自国の大半が氷に閉ざされて、初めて政策転換を図った。
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23 Feb
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他方で、そのような
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23 Feb
この故瀧本先生のコメントだが、再生可能エネルギーにも同じことが言えると思う。民主化や分散化の幻想が生まれるが、結局は資本集約になると認識。
現在、活況を呈している太陽光セカンダリ案件も然り、今後の洋上風力導入も然り。
特にデータセンターの電力需要拡大と再エネの必要性を鑑みると、資本集約の傾向は今後色濃くなっていくのだろう。

参考: jst.go.jp/lcs/pdf/fy2018…
情報化社会の進展に伴って、従来の予想を超える膨大なデータが取り扱われるようになり、この傾向は今後も拡大すると考えられる。
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15 Jan
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・2017年頃から石油販社はかなり流通体制を縮小しており、結果として石油火力の出力不足といった事態を招いていると理解しています。
(舞台裏は
ここまで。)
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