ここのところ、ケンカや会議でのもめ事を解決するコツを説明するのに「思枠」と言うキーワードを使って言語化を試みてきたけど。
「思枠」はそうした荒事ばかりでなく、もっと日常的なお困りごとを解決するにも役に立つ。たとえば遊んでばかりの子どもがなかなか食卓につかないとき。
「ご飯だよ!早く食卓について!」と声をかけてもちっとも動こうとしない。毎日、食事を始めるにも苦労してる親御さんは多いと思う。そんなとき、「思枠」を挟むとよい。
「もんだーい!さあ、指の数は何本でしょー!」人差し指を一本立ててこう声をかけると、何事かと思って見上げ、「いっぽーん!」
「正解!じゃあこれは?」「さんぼーん!」
「またまた正解!さあ、今度は難しいぞ!これは?」両手を広げると、「じゅっぽーん!」
「大正解!さあ、今度は競争だ!食卓につくのは誰が一番かな?よーい、どん!」
子どもらが一斉に我先にと走り出す。
子どもは、今、目の前の遊びが楽しければ、それを続けたいと考えるのは当然。「ご飯だよ」という単純な声かけでは、「遊びを中断しなさい」という裏メッセージを受け取り、ご飯を食べることは楽しくない、つまらないこととして解釈する。この結果、「遊び続ける」ことを選択する。
指の数当てクイズを始めると、「目の前の遊びか、新しい楽しそうな遊びか」という、どちらも楽しい選択肢になる。そして子どもは、新しい刺激のある遊びが大好き。だからだいたい飛びつく。「新しい遊び」という思枠にズレる。
指の数当てクイズを終えたらすかさず、「食卓まで競争」という楽しいゲーム(思枠)を挟む。これによって、指当てクイズと競争という二つの楽しい「思枠」を挟むことで、子どもを食卓に誘導することができる。
言葉が通じるようになると、いきなり結論めいた言葉かけで子どもを動かそうとしてしまう。しかし基本、子どもは楽しいことを常に探してる生き物。楽しくないことに移行するのは、基本嫌がる。けれど、途中に楽しい思枠をいくつか挟むと、楽しい気分で次に移行できる。
今、子どもはどんな「思枠」の中にいるのか。観察から推測し、どんな思枠なら進んでズレてくれるか。それを試行錯誤の中で見つけていくと、比較的子どもはすんなり動く。
子どもだけでなく、部下も同様。思枠の把握、そしてすんなりズレてもよさそうな思枠の提案。それをすかさずできるよう訓練。
思枠のコントロールは、日常的な中でいくらでも訓練できる。意識して行えば、どんどん上達する。相手はどんな「思枠」をもってるのか、仮説を立て、新たな「思枠」を提案する。すると、だんだんと上達していくもののように思う。

• • •

Missing some Tweet in this thread? You can try to force a refresh
 

Keep Current with shinshinohara

shinshinohara Profile picture

Stay in touch and get notified when new unrolls are available from this author!

Read all threads

This Thread may be Removed Anytime!

PDF

Twitter may remove this content at anytime! Save it as PDF for later use!

Try unrolling a thread yourself!

how to unroll video
  1. Follow @ThreadReaderApp to mention us!

  2. From a Twitter thread mention us with a keyword "unroll"
@threadreaderapp unroll

Practice here first or read more on our help page!

More from @ShinShinohara

Jan 25
オミクロン株はデルタ株と比べれば症状がやや軽く、重症化しにくいということで「ただの風邪だ」という、新型コロナで何度も繰り返されている言説がまたもや強まっている。専門家や政治家からは「正しく恐れよう」とアナウンスされるけれど、今一つわかりにくい。そこで私なりに言語化を試みる。
オミクロン株は「ただの風邪」ではない。次の二つの条件を兼ね備えるものは他に見られないから。
①インフルエンザに匹敵する症状のきつさ
②インフルエンザとは比較にならない、感染力が強かったデルタ株よりもさらに強い感染力
2条件を兼ね備えた風邪は他にない。これが医療システムを破壊する。
医療関係者によると、基礎疾患のある人がインフルエンザにかかると重症化、死ぬことがあるので感染には十分注意しなければならないが、インフルエンザの感染を防止するのは比較的対策しやすいのだという。インフルエンザは新型コロナほど感染力がなく、適切な処置で感染を防ぐことができる。しかし。
Read 17 tweets
Jan 24
妊娠してYouMeさんは専業主婦の状態に。ある日、私はYouMeさんに否定的なことを言った。その後しばらくしてから、YouMeさんにこう言われた。「あなたから否定されると、世界のすべてから否定されたような気がする」。私はビックリした。YouMeさんは私にわかるように、次のように説明してくれた。
「いま、私は仕事もやめて、社会とのつながりが全部切れている。実家も遠く、長年つきあってきた友達も一人もいないこの土地に一人、来た。近所の人は『篠原さんの奥さん』と私を呼ぶ。あなたを通じてしか社会とつながりがない。その人から否定されたとき、私は全世界から否定された気になるの」
私は、それは大変済まないことをした、と大いに反省した。確かにその通り。もし私がYouMeさんの立場だったとしたら、きっと同じ思いをしただろう。私はYouMeさんの人間関係を断ち切って一緒に住んでもらっているのに、なんてひどいことをしたんだろう。
Read 24 tweets
Jan 24
えー!
お賽銭は現金でないと気分が・・・
デジタルでピッとやったら、お賽銭気分でコインが出てきて、そのまま賽銭箱に流れ込む、みたいなシステムが必要?
でもなあ・・・
news.yahoo.co.jp/pickup/6416092
最大の原因は、金利が低すぎることだと思う。ゼロ金利ないしマイナス金利の状態が続いている。このため、金融機関はお金を貸しても大した利ざやが稼げず、貸しても貸しても雀の涙な利益しか上がらない。これでは銀行や郵貯などの金融機関は稼げない。立ちゆかない。
金融機関が儲けを出すには、公定歩合をせめて1%程度にする必要がある。これ以上の金利になれば、貸したお金の3%くらいを金利として稼げるようになるので、金融機関は息を継げる。金利を正常化しないと、金融機関は持たなくなってしまう。
Read 4 tweets
Jan 23
豊穣な体験の持ち主だと、抽象的な法則を聞いただけで「あ、あの体験は、こんな法則が成り立つのか」と、ピンとくるのだけど、多くの人はそうはいかない。抽象化された話は、私もわからないし、何より面白くない。だから私は、なるべく具体的な話を心がけている。それには理由もあって。
人間はどうやら、たった一個の具体的事例から、いろんな教訓や法則を汲み取ることが得意な生き物らしい。これ、研究者からしたら危険に思われる行為。たった一例しか証拠がないのに、普遍的な現象だと思い込むのは、「再現性」(同じ条件がそろったら同じ現象が必ず起きる)がないかもしれないから。
それを戒める故事もある。切り株にけつまづいてウサギが死んだのを見て、またウサギが捕まらないかとジッと切り株を見守るようになった男の話(守株)。ものすごく珍しい偶然がまた起きるのではないかと期待するのは、守株の男と同じになる危険がある。
Read 10 tweets
Jan 22
私は他人のすごいところ、見習うべきところの言語化には努めているけれど、私自身は別にすごくない。ただ、言語化を心がけ、私自身も少しは近づけないかと試行錯誤を重ねているうち、昔まったくできなかったことができるようにはなってきた。それがみなさんのお役に立てば幸い。
韓国人留学生のケンカの納め方、会議でのもめ事の納め方の事例を紹介したけれど。こうした着眼点、分析が可能になったのは、司馬遷「史記」のうち、晏嬰(あんえい)という人物の事績を知ったからかもしれない。この人物、ケンカの渦中でケンカを収める名手中の名手。
note.com/shinshinohara/…
晏嬰は斉の国の使者として楚国に赴いた。すると正門が閉められ、入ることができない。すると犬用の小さな扉が開き、「入りたければここをくぐれ」と。
仮にも国の使者として来た人間がそんな門をくぐれば面目丸つぶれ。しかし怒って帰ったら使者の使命を果たせない。どうする、晏嬰?
Read 35 tweets
Jan 22
前にも紹介した話だけど。
道に迷っていたのを案内したのがきっかけで仲良くなった、韓国からの留学生。日本語も達者で、私より年上だとはいえ、日本語の本の読書量でも私よりずっと上で、全然太刀打ちできなかった。英語も達者で、苦手な私は教えてもらうことに。
大阪の居酒屋で一緒に飲むことに。すると言葉で韓国人だと感づいたのか、明らかにヤクザという風体の男が店内に響く大声で「わしゃ、朝鮮人が嫌いじゃあ!」と何度もわめいた。立ち上がろうとする留学生を私は必死に押さえた。日本に来たばかりでは分からないだろうが、あれは明らかに暴力団。マズい。
挑発に乗ったのに気づいたヤクザはさらにおちょくるように、「わしゃ、朝鮮人は嫌いじゃあ!」と繰り返した。
すると、留学生が私に笑顔で、しきりに目配せする。何か考えがあるのか?手を緩めると。
Read 32 tweets

Did Thread Reader help you today?

Support us! We are indie developers!


This site is made by just two indie developers on a laptop doing marketing, support and development! Read more about the story.

Become a Premium Member ($3/month or $30/year) and get exclusive features!

Become Premium

Too expensive? Make a small donation by buying us coffee ($5) or help with server cost ($10)

Donate via Paypal

Or Donate anonymously using crypto!

Ethereum

0xfe58350B80634f60Fa6Dc149a72b4DFbc17D341E copy

Bitcoin

3ATGMxNzCUFzxpMCHL5sWSt4DVtS8UqXpi copy

Thank you for your support!

Follow Us on Twitter!

:(