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●延命治療の中止•積極的症状緩和•医療自殺幇助•安楽死はそれぞれ別個に定義される行為であり「安楽死」は全米で禁止される行為
●米国の一部の州で許可されている「医療自殺幇助」は厳格なプロセスによってその安全性を担保されている
●医療自殺幇助・安楽死はいずれも患者の死因は薬物によるものだが前者が患者自身による服用であるのに対し安楽死は医療者による直接投与によるもの
●「医療自殺幇助」とは医療者が患者に自発的な致死的な薬物の服用を認める行為であって、その他の方法も含め患者と入念に確認することにより成立
●「緩和ケア」は「積極的症状緩和」とは異なり、あくまで重病患者に実施される医療行為であり“苦痛の軽減“を目的とする
●「緩和ケア」は日本では癌患者にしか適用されていないが本来ならばALS患者等他の難病・重病者にも適用されるべき患者と家族の両方のQOLの向上を目指す医療
●今回のALS患者に対する嘱託殺人の疑いのある行為は、死の権利に関する法制の整った米国においても、医療者による致死的薬物の直接投与である「安楽死」に属さない異常な違法行為である。本来、緩和ケアが適用されていれば、患者の選択も変わっていた可能性がある、と。
jspm.ne.jp/guidelines/sed…
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●米国では1991のオレゴン州尊厳死法の成立により医療自殺幇助(Physician-Assisted Suicide: PAS)が合法化。2006年に連邦最高裁が合法と認定。現在PASはハワイを含む10の州で合法。
●ハワイでは2019年1月よりPASが合法。但しPAS施行要件は次のように厳格
・ハワイ州在住で18歳以上
・疾患の末期にあり予後が半年以内
・本人が判断できる状態にあること
・本人判断に影響する重大な精神疾患がないこと
・本人が自発的に希望すること
・本人自ら致死薬を内服できること
・本人がPASの希望を主治医に伝える
・本人が口頭で二回希望を伝える
・1回目の表明から20日以上空ける
・2人以上の医師による末期と予後の確認※
・精神科医による判断能力の評価
※内1人は必ず主治医でなければならないが、主治医が拒否した場合は他の医者を探す
・PASによる死 - 132件
・死亡数全体に占める割合 - 0.4%
・疾患別PAS施行例
悪性疾患 - 77%
神経性疾患(含むALS)- 8%
呼吸器疾患 - 4%
心疾患 - 3%
※2015年度統計に基づく。ハワイ州の2019年度のPAS死は15件
・自立性の喪失 - 91%
・生きる喜びを感じるような活動ができなくなった - 89%
・尊厳の喪失 - 68%
・耐え難い痛み - 25%
●米国ではPASを希望し実際に亡くなるケースはごく稀。PAS希望患者にはまず緩和ケアによる一次評価を行い苦痛軽減を試みることが肝要。