Thread by @mph_for_doctors

ハーバード公衆衛生大学院主催のイベント"When Public Health Means Business"第4回。

🇺🇸の尾身先生的なポジションのDr. Fauciがゲストでした。

講演聞きながらメモを取った内容を共有します。

なお、必ずしも網羅的ではないし、意訳も入ります。

出典は下記。

hsph.harvard.edu/coronavirus/co…

まず最初に驚いたのは、Dr. Fauciが午前中に患者さんの診察をしてからこの講演に参加したということです。

おそらくめちゃくちゃ忙しいと思いますが、まだ現役の医師です。

エネルギーとアドレナリンでなんとかやっていると。

お疲れさまです。

1. ここまでのアメリカが危機に陥った理由

・非常に強い人から人への感染力

・アメリカ国内での対応に大きなバラつきがあった

・感染を抑えたといっても一日20,000人の感染者が出ている中でreopenしたのはまずかった

・封鎖と完全開放の中間が必要だったが、一気に開放に向かってしまった

2. 今からどうすればいいか

重要なことは
①マスクを着用
②身体的距離を保つ
③せめて屋内のバーは閉じる
④密集空間で大人数で集まらない
⑤手洗いをこまめにする

（注：まさにマスクと手洗い、三密回避。対策は世界共通）

特に、屋外は屋内よりもよっぽどいい。

1月半ぐらいで効果が出るはず。

3. 他には？

州ごとの差が大きいのが問題

南カリフォルニア、アリゾナ、テキサス、フロリダの対策がよくない

40%の人が無症状ということは、ある意味よいことなのだが、危機感のなさにつながっている

船を漕ぐときには全員で息を合わせるのが大事

1人だけ逆方向に漕ぐヤツがいたらレースに負ける

4. 科学者と市民の信頼が失われている？

確かに一定の反科学の感情がある

科学というより、権威全体に対する信頼の喪失

しかし科学者は権威の利益のために動いているわけではない

Evidence based policy makingはとても重要

911の時のように全員同じ方向を向かなければならない

5. 先ほどの5つの対策にどれぐらい確信があるか？

科学のよいところは、自身で軌道修正できるところ

このように目まぐるしく状況が変わる時でも、データに基づいて立て直すことが可能

科学は柔軟かつ謙虚になって2-3ヶ月で違うデータを使って違う決断をくだせる

（謙虚な科学…聞かせたい人多数）

ちょっと疲れたので休憩。

伸びてたら再開するかも知れません🔥

1万件を超える再開を望む声が寄せられたので再開します。

6. 細胞性免疫について

司会)40-50%の人がT細胞の反応性があると言われている？

既存のコロナウイルスとの交差反応はあるかも知れない

これはかかる人とそうでない人の違いを説明する可能性はある

子供がかかりにくいこととも関係あるかも

7. なぜ稀に若い人も重症化するのか？

重症化する人も基本的には正規分布(bell curve)に従っている

中心にいるのは高齢者や基礎疾患のある人

ただ、端にあたる若年者でも時には重症化することもある

風邪のコロナウイルスでも、極稀には若い人が劇症型心筋炎で亡くなることだってある

8. それは遺伝によるものか？

わからない

確実なのは高齢者は重症化しやすい

若年者でも肥満などあれば合点がいく

そうでなければ？

現状ではわからない

遺伝子かも知れないし、ACE受容体が関与している可能性もある

司会)今後わかるのか？

遺伝子が影響してることが明らかになる可能性はある

9. エアロゾル感染については？なぜWHOはあれほどその可能性を発表するのが遅れた？

非常にいい質問

今ここにエネルギーを注いで調べている

ここは科学の謙虚さ

知識が変わることはある

厳密にはエアロゾルの定義から始めなければならない

ただ、いずれにせよ対策は変わらない

換気が極めて重要

10. 人種差については？

アフリカ系、ネイティブアメリカン、ヒスパニックは2重の意味で格差に苦しんでいる

まず、対面で行う仕事に就く人が多い

これは感染をうつされるリスクが高い

次に、元々の健康格差がある

肥満などは白人との差が大きい

こういった格差がマイノリティを不利にしている

今日はここまで

再開します。

11. 検査について？

ブレークスルーが必要

接触者の追跡のため、特異度が高い検査で感染を確認する必要がある

問題は検査をしてから結果が出るまでに5-7日かかっていたこと

最終的には10分でできて、感度、特異度が高く、どこでも調べられる検査が必要

🇺🇸は豊かな国

できると思う

12. 今検査しても明日感染するかはわからない？

もちろんその通り

それは完璧に正しい

それでも、サーベイランス目的の検査は重要

感染しているかどうか翌日には知れるよう検査が逼迫しないようにする必要がある

検査体制の分散が重要

最終的な目標は迅速で簡易で精度の高い検査のブレイクスルー

司会) 例えば、患者はその日にCT検査ができて、凝固能も測定でき、心エコーもできる

司) でもCOVIDの検査だけできない

司) 結果脳外科手術をN95マスクをつけてせざるを得ない

司) 防護具は簡単に手に入らない

なぜできないのか私にもわからない

私が言えることはこのままではダメだということだけ

13. ワクチンについて

6つかそこらの臨床研究が走っている

7月27日からモデルナとファイザーの第三相試験が始まった

3万人の患者が組み入れられる

重要なのは、人種など多様な人を組み入れること

サブグループでの有効性を調査できるよう、大規模な人数の確保が必要

14. ワクチンの平等性について

特定の人達が置いて行かれないことが大事

政府機関だけでなく、外部機関も入っている

リスクの高い人、ワクチンの恩恵が最も大きい人から届ける仕組みを作っている

15. ワクチンを作っても打たない人がいるのでは？

とても重要

開発を急いでいるが安全性を犠牲にしているわけではない

犠牲にしているのは、多大なお金

無効だった場合、政府が無駄金を使う

安全性はRCTでしっかり確認する

現時点でどれがいいかわからないが、年末か年明けには結果が出ると思う

16. 次のパンデミック？

必ず来る

今回は過去120年で最悪の流行

まずはこの感染のことを忘れないこと

次に向けて備えなければならない

コロナウイルス属全般に対するワクチンが期待される

ちょうどインフルエンザ全般に対するワクチンのように

17. 次回もリーダーシップを取るか？

わからない

できればずっと先であって欲しい

トップフォームを維持できるなら

ただ、後進はたくさん育っている

もちろん外部機関から抜擢されることもある

内部でと言われても、たくさんいる

以上になります。

YouTubeにアーカイブもまとめられていますので、英語の得意な方は是非。

長文お付き合いいただいてありがとうございました！

ちなみにタイトルの"When Public Health Means Business"というのは訳しにくいのですが、「公衆衛生が公衆衛生だけでなく、経済やビジネスと折り合いをつけて対策せねばならない時が来た」っていう感じの文脈です。

Public Healthの意味するところがBusinessになった時どうすべきかということですね。