イベルメクチンの数あるRCTの中から、0値結果、拮抗した結果、誤記≒捏造で無効結果のデータをチェリーピッキングした論文が、「ねつ造も同然」だとして、40人の医師や科学者から連名で撤回要求の書簡が出されました。

以下その書簡の翻訳

(以下のBIRDのHPより)
bird-group.org/letter-to-edit…
>公開書簡:懸念の表明と撤回の要求

(論文著者)
Re: Roman Y M, Burela P A, Paspuleti V, Piscoya A, Vidal J E and Hernandez A V
(論文名)
“Ivermectin for the treatment of Covid-19:
A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials”

bird-group.org/wp-content/upl…
現在、Clinical Infectious Diseases誌で「Accepted Manuscript」となっている上記の論文は、学識あるジャーナルが求めるべき正確さと誠実さの基準を満たしていません。提示された証拠では擁護できない結論を主張しており、科学や医学への貢献はありません。現在の形では撤回されるべきです。
タイトルはBryantらの論文とよく似ています。しかし、結論は正反対の主張です。選択された臨床試験(n=1173人、10件の研究)は、Bryantらが入手して分析したもの(n=3406人、24件の研究)のごく一部です。まず正しいデータを扱うことが重要である。

journals.lww.com/americantherap…
Romanらはいくつものケースで誤った臨床試験のデータを(CIDに)掲載、あるいはプレプリントで誤報しています。
最もひどい誤りは、ソーシャルメディアやmedRcivに掲載された論文のプレプリントのコメント欄で注意喚起された後に修正されましたが、他の誤りが残っています。
著者らが、プレプリント中の誤りの複数の実質的な公開通知を無視したことは理解しがたい。修正がないならば、著者らはデータの捏造にあるも同然である。
ジャーナルの出版倫理に関する声明では、これは「容認できない」と見なされています。
Niaee氏の治療群と対照群の逆転。この誤りは警告され(Niaee博士からの個人的な抗議を含む)、掲載前に修正され、図2に記載されている。
死亡率Risk Ratioの点推定値が大幅に変更(誤1.11(図上)が正0.37(図下)に)されたにもかかわらず、その概要の結論には何の変更もありませんでした。
「IVMは全死亡発生率を低下させませんでした」
公開された声明は、今では弁護の余地がありません。著者自身によって厳選された情報源を以てしても。
私たちがここで懸念しているのは、データが修正されなかったことではなく、結論がもはやデータに基づいていないことです。
Niaeeは、図3(入院期間)でさらに誤った報告をしています。
出典データは明らかに入院の減少(控えめながら:下図)を示している。しかしながら、一次データは「対照群に有利」と組み込まれているが、実際には逆である。
図3と出典元の間で、治療群と対照群の患者数に説明のつかない不一致があるようです。
Karamat氏の研究(引用図)では、ウイルスクリアランスのデータが明らかにイベルメクチンに有利であるにもかかわらず、メタ分析(ウイルスクリアランス・図6)では「対照群(プラセボ)に有利」と誤報されている。
さらに図に、7日目のクリアランスの増加(イベルメクチン対対照薬で20対18)を入力する一方で、72時間後のウイルスクリアランスの速さ(17対2)を無視(加算せず)するという、一次資料からの誤報があります。
この誤りは、medRciv2,5のコメント欄とPUBPEER3に記載されています。
Ahmed博士の研究は、図3(入院期間)に利用されているが、図6(ウイルスクリアランス)では無視脱落されている。これは怠慢による誤報ですが、一部のデータを使用して他のデータを無視することはシステマティックレビューとして矛盾しており、一般的に「チェリーピック」として知られる誤謬です。
図5(重篤な有害事象)では、単一のSAEが3つの研究で指摘されていますが、そのうち2つの研究では両群ともイベントはゼロでした。定量的なメタアナリシスやForest Plotは、たった1つの事象の発生を分析するのは適切ではありません。
これらの誤りはすべて、重要な違いをもたらします。これらの誤りは軽微であり、結論に影響を与えないと主張するだけでは不十分です。彼らはそうしている。さらに、そのほとんどは、medRcivのコメントを参照するだけで、精査を期して行っている査読者は容易に知ることができました。
これらの問題に対処することに加え、他の適格な試験を含め、データを再分析することは不可欠です。さもなければ、この論文には価値がなく、結論は危険なほど誤解を招くものとなります。Bryantらは以前、これらの結論が正しくないこと、そして適格な試験を追加すると結果が異なることを示しました。
正しく分析された死亡率データは、イベルメクチンと対照群の間に統計的に有意ではない差を示していますが、点推定値はすべてイベルメクチンを支持しています。これだけを見ると、十分な検出力があれば、さらなる試験によって結論が強化される可能性があります。
Roman氏は、有意な差の証拠がないことを、差がないことを示していると誤って解釈している。
死亡率Risk Ratioの点推定値は、実際にはBryantらのものに近い。
IVMは全死亡発生率を低下させなかった」という結論の見出しがしつこく続いているが、これは維持できない。
Romanらは、Covid-19におけるIvermectinの有効性に関する最初のレビューではない。他のシステマティックレビューやメタアナリシスがパブリックドメインで利用出来ます。この新しいレビューの結論は、試験が追加されたときに以前のレビューの結論を反映するはずです。
著者らは明らかな皮肉なしに引用します(p 12)

「誤った情報のインフォデミックの文脈では、これらの結果の普及は、政治的利益を持って情報を操作する可能性のある患者、臨床医(特に科学文献の批判的読解の訓練を受けていない人々)および意思決定者に混乱を引き起こしました。」
これは、この論説の概要として有用かもしれません。
ソースデータの誤報、非常に選択的な研究の組み入れ、組み入れられた研究内のデータの「チェリーピッキング」、エビデンスに基づかない結論など、この論文は偽情報に相当します。
誤った情報は、評判の良い学術雑誌と関連付けるべきではありません。この論文をこのまま掲載することは、Clinical Infectious DiseasesとOxford University Pressの名声に重大な損害を与えるものです。
私たちは謹んで調査を行い、このまま論文を撤回することを求めます。

敬具
Edmund J Fordham MA PhD(Cantab)
Theresa A Lawrie MB BCh PhD
Andrew Bryant MSc Population Health Sciences Institute

さらに以下40名の連名が続きます。

この書簡により論文による意図的”偽情報”であることが自明となりました。
当該論文著者ら、編集者は無視して掲載したままですからね。
@threadreaderapp unroll

以下にスレッド転記
厚生労働省は8月31日に「治療の手引き5.3版」を更新した。
イベルメクチンの欄には「最新のメタ分析(10のランダム化比較試験を対象)」として、上記ROMANらの論文を引用。
これは上記書簡のような論文であるので、意図的悪意は世に露顕しますぞ。
厚生労働省さん@MHLWitter
更新された「治療の手引き5.3版」の引用研究の名前が間違ってますよ。
図の一番下、「Ruman」になってますが、「Roman」ですから。撤回間際論文。

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1 Sep
インドで使われる、ニームとアムリタと呼ばれるハーブがコロナ治療に有望と言う論文を発掘。

Azadirachta indica(ニーム)およびTinospora cordifolia(アムリタ)の植物由来化学物質のSARS-CoV-2のMproおよびスパイクプロテアーゼに対する阻害効果のインシリコ解析診断
scienceopen.com/document/read?…
アーユルヴェーダで使われて来たこの二つの生薬

結論から言うと、

ニームとアムリタは抗ウイルス作用、解熱作用、抗炎症作用があり、これら2つの植物の組み合わせは、SARS‑CoV‑2感染の予防と介入のための薬
物療法として有望。

とのことです。
この論文は長い題の通り、インドセンダン(A.indicaと表記)と、アムリタ(T.codiforiaと表記)に含まれる植物由来化学物質のコロナウィルス阻害効果を分子動力学計算によって解析したもの。
比較対象に選ばれたレムデシベルを軒並み圧倒。

6LU7=メインプロテアーゼ
6VXX=スパイク蛋白プロテアーゼ ImageImage
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24 Aug
妊婦へのmRNAワクチン接種の安全性を示す論拠として、CDCや厚生労働省が引用するこの論文
妊婦に安全という証拠には程遠い内容でした。

Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons
nejm.org/doi/full/10.10…
N Engl J Med 2021; 384:2273-2282
>V-safe(下図)の妊娠登録者、及びVAERSのデータを用い、妊娠におけるmRNA Covid-19ワクチンの安全性の特性を明らかにする。

論文は以下の方法で進められました
順に数値を追って行きます。

>v-safe参加者のうち、妊娠が確認されたのは35691人

この人数からワクチン接種後の副反応を調査しました。 Image
V-safeとVAERSのデータを用い、ワクチン副反応を調査した結果(下図)
調査にはCDCの全面バックアップを得たことが判ります。
安全性が未確認のこの段階で、35691人もの妊婦がワクチン接種を受けたことは、不道徳にも思えます。
ここは概略にして次へ飛びます。 Image
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