この手の学者は、論点先取りをしており、日銀が国債を償還する(＝出口戦略)と破綻すると議論するが、円札を刷って償還する(=実際には円札は国債と同額、既に市中に出ているから、日銀保有の国債をなかったことにするだけ)どうなるかは議論しない。 gendai.ismedia.jp/articles/-/520…
これは、私が勝手に言っている素人の暴論ではなく、ノーベル経済学賞を取ったスティグリッツが、日銀保有の国債は『なかったことにせよ』と言っているから、それなりに理屈のある話です。
スティグリッツが、安倍首相に、『日銀や政府所有の国債をなかったことにせよ』と提案した記事が、スティグリッツのフェイスブックに載っており、ブルンバーグなどで報道されたことが分かります。
リーマンショックは、CDSという『取引の保険を証券化した取引』の破綻から起きたもので、『存在し得ない額の取引』を起こせば、CDSなどでなくても金融システムは破綻する。例えば、４００兆円の取引が市場で行われれば、別にCDSなどなくても、誰も払えないから、必ず破綻する。
『４００兆円の取引をする』などと言っても、誰も信じないから、そういう取引は成立しないので、普通は破綻もしない。しかし、リーマンは４００兆円の取引をぶちこんでいた。CDSという証券化の仕組みを使って、破綻リスクをごまかしたから可能になったので、問題の根源はリスクの不透明化にある。
通貨発行権のある国の自国通貨建て国債は、必ず通貨発行できるから、必ず償還できる。リーマンショックのような、後ろ楯がない金融取引ではない。『国債を発行している以上、既に通貨は発行されている』。国債の問題は、国債を通貨に置き換えることによって全て解決するから、評価損など問題ではない。
国家が独立すると、通貨発行権を手にいれることができるから、貨幣供給を最適化できる。問題なのは、雇用と物価の安定、外貨との交換の安定という実質であって、自国通貨が発行でき、不換紙幣だからできるので、『国債は借金だから返すべき』というのは何の理由もない。
もう１つ、通常の常識と異なる点。米ドルは通貨でも特殊な地位、基軸通貨(貿易に使う通貨)になっている。米国は唯一、外貨を稼がなくても外国産品を買える。諸外国は米ドルのの蓄積をしないと貿易が停止するから、必ず外貨準備を行う。だから、米国の発行するドルは世界中にブタ積みされる。
ということは、米国は必ず貿易赤字になり、支払った以上の産品を手に入れることになる。世界の貿易でもっとも巨額なのはコモディティ、中でも石油だから、石油の貿易が米ドル決済であることは必須になる。米国が中東湾岸を支配下に置きたい根本の理由はこれ。
米ドルの信用は米国が覇権国家であることに依存しているから、基軸通貨を守るためには、米国は覇権国家をやめられない。もし、米ドルの信任がなくなれば、米国は他の国と同じように外貨を稼いで外国産品を買わないといけなくなるし、諸外国は米ドルの備蓄をしないから、歯車が逆回転する。
米国が貿易赤字で文句を言うことがあるが、実はそれは無茶ぶりであって、例えば日米貿易を円決済するのであれば、いくらでも赤字は解消できる。基軸通貨は、他の通貨と対称な関係にない。
円は基軸通貨ではなく、貿易決済の主流ではないが、先進国は貨幣クラブを作り、相互に貨幣を保証することで、信用を担保している。例えば、日銀は、英国ポンド、スイスフラン、ユーロ、米ドル、カナダドルなどと無期限、無制限通貨交換協定を締結している。これがあるから、円はこけない。
先進国通貨クラブに入っていない、韓国ウォンなどは、外貨との交換が保証されないから、韓国内での使い道しかなく、三軍通貨になるわけだ。国民国家が利権の共同体である、というのを理解されたい。
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