Thread by @influenzer3

●パンデミックからの教訓は｢国民を信じ、真実をそのまま伝える事｣
→natureの記事です。
デンマークのパンデミック対応に関する記載になっています。
主張しているメッセージはシンプルです。
｢国民に真実を伝えよ｣、それでも｢パニックは起こらない｣です。

全体に漂う自慢気な雰囲気が鼻につきますが・・・(笑)
文化等の背景の違いは無関係に｢全世界で適用可能｣と、検証なしに主張するのは、個人的には科学的議論とは言えないように思えます。

また本主張の単純な鵜呑みは、結果バイアスの罠にはまるリスクもありそうです。
しかし考察に値する内容ではあると思います。
COVID lesson: trust the public with hard truths
nature.com/articles/d4158…

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・パンデミックで経験した多くの恐怖の中で、特に悪質だったものがある。それは政府が国民に対して持つ恐怖だ(governments’ fear of their people)。

・トランプ前米国大統領は、｢パニックを抑えるため｣にコロナウイルスのリスクを過少評価してみせたのだと認めた。ブラジルのボルソナロ大統領は、｢ヒステリー｣を引き起こしているとして報道機関を批難した。

イギリス政府は各種制限を行うことでイギリス国民が急速に疲弊してしまうのを恐れ、ロックダウンが遅れてしまった。私の母国であるデンマークでも、当局は｢不要な恐怖｣を避けるべく、2020年初期のパンデミック対策について人々の関心が集まらないように注力していた。

・しかし、デンマークは厳しい真実を伝え、国民を信頼するという戦略へ方針変換したのだ。その結果として政府が得たものは(buy-in)、低い死亡率と50歳以上のワクチン接種率95%(国民全体の75%)というものだ。2021年9月、デンマークはCOVID-19がもはや｢重大な脅威｣ではなくなったと発表した。

・パンデミックが起こる前に、私は危機に対するデンマーク人の反応について研究していた。その中には2015年にイスラム教徒の一人が言論の自由に関するイベントとシナゴーグを襲撃したテロ事件も含まれている。

我々の研究チームは以下のように結論づけた。｢このような事件があった後でも、デンマーク人の大多数はイスラム教徒に激しく攻撃的になったりせず、彼らの権利を制限しようという運動も起こらなかった。そしてその理由の一つは、政治家からの明確なメッセージの発信があったからだ｣というものだ。

不合理で有害な行動は全くなかったと言っているわけではない。しかし、危機に直面した際の集団パニックの可能性については過大評価されている(over-rated)。特に政府(authorities)やメディアはそのように考える傾向がある。

・2020年3月に私は国内外のパンデミックの対応についての研究を開始し、デンマーク政府のアドバイザーに就任した。私が主として主張したのは、｢国民がパニックなるとは想定するな｣という事だった。その仮定は逆効果であり、研究によって証明されたものでもない。

・パンデミックにおいては迅速な行動変化が不可欠であるため、｢落ち着いて行動してください｣と国民に要請するのは間違っている。国民が危機を深刻に受け止め、どう行動すべきかについて耳を傾けて理解してもらうためには、国民が明確な情報を持っている必要があるのだ。

2020年3月初旬、私はそのメッセージをSNS、メディア、そしてデンマーク政府に向けて発信した。

・メッテ・フレデリクセン首相が2020年3月11日にロックダウンを発表した時、政府のメッセージは印象的な明確さと不確実性を認める方向へと変化していた。

｢エコノミスト｣紙が数日前に発表した｢#FlattenTheCurve graph｣を用いて、感染拡大をコントロールできない場合、医療機関に大きな負担がかかる事が示された。この発表は緊迫感と危機感を生んだ。しかし、パニックは起こらなかった。

首相は不確実性をはっきり認めていた。｢我々は未知の領域に立っている。間違いを犯す可能性があるかと言われれば、その答えはYesだ｣と。

・デンマーク当局が国民を信用できたのは、政府が国民に信用されている事を知っていたからだと主張する人もいるかもしれない。実際、デンマークは政府は信頼度の国際研究でトップにしばしば位置づけられる。しかし、私はこの経験はどの国においても適用できると考えている。

・複数の研究が一貫して示しているのは、｢危機に直面した際、人々はパニックなど起こさず連帯感をもって反応する｣という事なのだ。例えば、中国のある地震後の研究では、人々は知らない人と喜んで資源を共有したり、慈善活動を行ったりする事が示されている。

フランスや他の地域のテロ事件から得られるエビデンスも、デンマークでの経験と全く同じだった。政治リーダーが規範を示す事で、少数民族から権利を取り上げようという国民の動きにはつながらない。

パンデミックの典型である｢買いだめ｣の時でさえ、多くの人々はトイレットペーパーの箱をもって辛抱強く列に並んでいたのだ。
・あまり良くない真実に対して国民は正しく対応する事ができないという考え方は、パンデミック管理を妨げるものだ。これは政権を自滅的な方向へ導く。

私の研究チームの研究は｢メッセージは自己効力感(self-efficacy)を持つように伝えられるべきである｣事を示している。つまり、｢何をすべきか、どのようにすべきか｣を知っていると感じられる人は、そのように行動する傾向があるのである。

国民を過少評価する政府は、国民が出来ない事にばかり焦点を当ててているのだ。

・国民を信頼しない政府は、ネガティブだったり複雑な事実を軽視しようとする。つまり、新しい変異株による免疫力の低下についての新たなエビデンスについては説明せず、支配的な政府な漠然とした安心感に頼ろうとするのだ。

我々の研究では、曖昧さはワクチンの受容性を低下させ、政府への信頼も損なわせる事を示している(PNAS, 118, e2024597118; 2021)。
(続く)