書きました。最後に私自身の忌まわしい記憶にもちょこっと触れています。空白の12年が悔しい。⇒ 世界で最も重要な気候変動会議「COP26」について知っておくべきすべてのこと|ギズモード・ジャパン
gizmodo.jp/2021/11/cop26.… #COP26 #気候危機
2006年にアル・ゴアの『不都合な真実』がアカデミー賞を獲得し、翌年にはゴアとIPCCがノーベル平和賞を受賞、その翌年にはオバマ氏が大統領選に勝ち、翌2009年に気候変動問題を解決させる大統領という期待を背負って向かったコペンハーゲンのCOP15で中国と対立して交渉が決裂するという最悪の結末に。
気候変動問題を学ぶために環境学科に進んで最初の学期を過ごしていた私にとって、COP15は気候変動の科学と政治の現場を垣間見る最初の機会だった。まだ環境正義のクラスをとる前の無知な私は、もしかすると歴史的な合意に至るかもという淡い期待を抱いて、COP15関連ニュースを常にチェックしていた。
気候科学のイントロのクラスを教えていた、後に院で指導教授のひとりになってくれた教授は、結果に失望していたけど、政治には期待していないと話していた。彼はノーベル物理学賞をとった真鍋氏と気候モデルの構築に携わったことがある方で、気候変動の深刻さをもっと訴えるべきだったと後悔していた。
なんというか、環境正義を学ぶ前は、気候変動が人為的な温室効果ガスによるものという科学的事実が明らかで、なにもしなければ気候変動はどんどん深刻化して人類にとって脅威になることがわかっていれば、政治は必要な対策をとるものだと信じていた。自分のことながら、無邪気な無知って怖いと思う。
その翌学期に環境正義のクラスをとっているときに、おかしいと感じながらつながっていなかったものが全部クリックし始めた。強欲の恐ろしさや、同じ人間とは思えない扱いが経済の名の下にまかり通るシステム、つくられた差別と格差、破壊、人権侵害。それに加担していた自分。そこが今の自分の原点。
気候変動を環境だけの問題と捉えて、自分にできる個人のアクションに集中して、その他のことには目をつぶって耳をふさいで口をつぐんで過ごせば楽なのはイヤというほど学んだ。でも、恵まれた環境に身を置いて学んだ者がそこに逃げてはいけないと教えてくれる人がいてくれたのは幸運だったと思う。
10月末の衆院選で気候変動が争点にならないことも、COP26が失敗に終わることも、始まる前からわかっていたことだった。社会的弱者の不公正をなくすことをメインに政治が動くほど、まだ社会が成熟していないというか、インターセクショナルなつながりをつくるための考え方が広まらないと難しいと思う。
環境正義のクラスを受けてから11年。COP15の歴史的交渉決裂の6年後のCOP21に、ほぼ同じ内容でパリ協定が合意に。それから6年間なにもしないまま迎えたCOP26で、まだ同じことを世界は議論している。化石燃料からの撤退時期も決まらない。トップが変わらないなら、根っこから変えるしかない。
変化には時間がかかる。環境正義/気候正義の概念すらも都合良く解釈して行動を正当化する環境団体や活動家がいる中で、草の根が正しく育って変わっていくのは難しい。それでも、気候変動や環境正義/気候正義という言葉をCOP15当時とは比べものにならないくらい見聞きするようになった。小さな希望。
今のままじゃいつになるかわからないけど、少なくともネットゼロを達成した数十年後に気温上昇がピークを迎えるまでは、失望とほんのわずかの希望を行ったり来たりしながら進んでいくと思うのだけど、これまでのようにいつも人間性を信じていきたい。大きな石だけど、いつか必ず動かせると信じて。

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More from @Beyond_Climate

17 Aug
気候変動を日常会話にするための参考になりそうな日本語訳付きのTEDトークの🧵を。

まずは、気候コミュニケーターとして有名な気候科学者キャサリン・ヘイホー博士。気候変動で誰もができる最も大切なことは「気候変動の話をすること」。じゃんじゃん話しましょう。

ted.com/talks/katharin…
気候ストライキ&Fridays for Futureのグレタ・トゥーンベリさんが2018年に行なったTEDトーク。行動を起こすのは、今日から。行動こそが希望です。

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グレタの影響を受けてドイツで気候ストライキをはじめたルイザ・ノイバウアーさん。「あなたが気候活動家になるべき理由」。なろうと思えば、今日からみんな気候活動家になれます。個人の生活の変化ではなく、システムを変えるための行動の変化を訴えます。

ted.com/talks/luisa_ne…
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17 Aug
気候変動を止めるために「私たちひとりひとりにできることリスト」。
すべて集団でのアクションにつなげられものばかり。再エネに切り替えるとか電気を消すとか個人の生活を変えるのではなく、声をあげる、仲間と行動する、政治に関わるなど、システムを変えるための行動。大事なこと。 #MindTheGap
「私たちひとりひとりにできること」は誰にでもできることじゃないと意味がありません。再エネへの乗り換えも、電気自動車も、菜食への転換も、公共交通機関の利用も、脱プラも、恵まれた人間にしかできません。「変われない自分には声をあげる資格がないんじゃないか」と思わせてはいけないんです。
できることをできる範囲で続けていくのがアクティビズムです。気候アクションは、何十年も続きます。アクティブでいるためには心身を健康に保つことが大事です(資本主義社会ではそれすらも難しいですが)。多くのことができるから偉いわけでも、できることが少ないからダメなわけでもありません。
Read 4 tweets
14 Aug
お金と時間をかけて流域全体で大規模にやらないと無意味になるインフラ整備は、選挙に向けたアピールにならないから政治家は消極的だけどとても大事。将来的には集団移住を考慮に入れて計画するべき。⇒ 浸水「3年前から毎年…」九州住民に疲労 雨、20日ごろまで|毎日新聞 mainichi.jp/articles/20210…
500年に1回の洪水が3年連続で起こったヒューストンでは、人種や所得によって復興に差が出ている(典型的な環境差別)。頻繁に洪水に見舞われた地域では、数億円するはずの豪邸が数千万円で市場に出たまま売れないなど、資産価値も大きく下がっている(持っているだけ恵まれてるけど)。
温暖化が進めば、集中豪雨の頻度と激しさが増し、洪水や土砂災害によって住む場所を追われる人は増えると思われます。被害にあった家を新築・改築・修繕できない人、賃貸物件を被災した家主が修繕をあきらめて住居を失う人、そこから離れられない事情がある人たちは、また被災するリスクを負うことに。
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14 Aug
NHK BS世界のドキュメンタリーの『地球温暖化はウソ? 世論動かす“プロ”の暗躍』を見た。番組にも出てくるナオミ・オレスケスの著書『Merchants of Doubt(世界を騙しつづける科学者たち)』に出てくる面々ばかりで笑った。IPCCの第6次報告書と同じで、大学時代に得た情報ばかりで新しさはなかった。→
→撮影されたのは、本編に出てくる気候変動否定論者(&たばこ2次被害懐疑論者&オゾン層破壊懐疑論者)のフレッド・シンガーが亡くなる前だったのかな。大学時代に「気候変動の科学と政治」のクラスをとったときに、教授がゲストに彼を呼んでレクチャーを受けたことがあった。ウソばっかりだった。→
→ドキュメンタリーは、温暖化の父・ジェームズ・ハンセンが米議会で温暖化についての証言を行なった1988年から30年以上にわたり、石油産業がシンクタンクや科学者を使って気候科学の小さな不確かさを突いて一般市民に「疑念」を植え付けることで気候変動対策を妨害してきた手口を紹介しています。→
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13 Aug
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jp.wsj.com/articles/a-cli…
WSJ紙の社説は、IPCCの最新の報告書を政治的文書としていますが、これはうそで、科学者が最新の科学文献を元につくったもっとも科学的な報告書です。唯一政治的文書であると主張できるとすれば、それは「政策決定者向け要約」でしょうか。なぜなら、各国政府が一言一句すべてに同意しているから。→
→ どういうことかというと、「政策決定者向け要約」を元にして、国際的な気候変動対策は話し合われます。その共通した科学的根拠として、すべての政府が認めた評価報告書が必要になるんです。会議に各国の代表者が集まってから気候変動の科学について議論が始まるようではなにも進みませんから。 →
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