まさに数学教育の闇

kanielabo.org/edmath/thirdme…
RIMS研究集会 
教育数学の一側面-高等教育における数学の多様性と普遍性-
研究代表者:岡本和夫
副代表者:蟹江幸博
RIMS420号室,2018.2.13-2018.2.16

大島 利雄(城西大学)
大学における数学教育の問題点と工夫
kanielabo.org/edmath/thirdme…
全然、関係ない話題と繋げてしまうことになるが、上で引用した大島さんの文章は【妖怪について扱った文章であるにも関わらず具体的な妖怪の実例がほとんど皆無で抽象論に終始している】の類のものとは正反対。

ものすごく具体的!
私は大島さん的な文章が好きで、意味のある具体例がない抽象的な文章は有害だと考えている。

数学の研究者間では、抽象化・一般化はやろうと思えば幾らでもできるので、価値ある抽象化・一般化であることを示す具体的な例を示さないとダメだという非常に良い習慣があると思う。例がショボいとアウト。
#超算数 私もそう思った。

算数の段階でパターンマッチ教育に洗脳されて、大学生になったら塾のバイト講師で「きはじ図」の類の有害なパターンマッチ教育を「できない子のため」と称して行うようになり、自分が子供を殴る側の人間になったことを自覚できない。

こういうの怖すぎ。
kanielabo.org/edmath/thirdme…
にある他の原稿にも目を通してみましたが、大島利雄さんの原稿が他と比較すると具体的で面白い。比較にならない。圧倒的。

kanielabo.org/edmath/thirdme…
分岐。出題者の切り取り方の問題らしい。
もしかして、分子分母のaを「約分」している?(笑)
小学校1年生から始まるチョー算数のパターンマッチ教育の問題は避けて通れないと思う。

小2での掛算順序問題もパターンマッチ教育の問題の氷山の一角。

「ずつのついた数をかけ算の式で最初に書きなさい」と堂々と教えていたりする。

そういう教え方に小学校6年間忠実に従ったりするとアウト。
教育で「理解」を徹底的に重要視しなければいけない世界に我々は暮らしている。

このスレッドの件では、高等教育で(というか大島さんの力によって)問題が発覚して、それではいけないことを教わることができたりしているが、チョー算数から始まるパターンマッチ教育の害はもっと普遍的だと思われる。
下の方のリンク先スレッドに引用されている部分だけでも必読

大学での算数教育研究にどういうものがあるかについては

ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3…

を参照。これがひどい。小山正孝氏は算数教育界において最高の地位の持ち主です。

添付画像1の問題の答えは上のリンク先のpdfにある。
大学教員にとって、大学入試に特化しているがごとくの大学受験的にも効率の悪過ぎる勉強法が視界に入ることは多くても、算数教育界独自の非常識・非論理的・不合理な「教義」が目に入ることは少ないと思う。

「教義」に対応するために算数教育がパターンマッチ教育化しているという問題がある。
問題の答えは添付画像の通り。濃い灰色で印刷されている花が「あかいはな」です。

④が「赤い花5本、白い花4本」という条件に合致しているのに✖️になっていることに注目。

元の文章には「あわせて」と書いてあるのに(パターンマッチ!)、増加の絵になっているので✖️になっている。
小1の算数の教科書を見れば、足し算の説明が「あわせていくつ」と「ふえるといくつ」に分かれており、研究授業では子供にそれらの場面を区別させるという無茶な行為をさせることが定番になっています。

対応するために教師は子供にパターンマッチ教育を行うようになる。これがずっと続く。
子供の教育では、子供が生活の中ですでに身につけている常識と論理的に明快な(良い意味での)算数の考え方を結び付けてあげる必要があります。

ところが、算数教育界は伝統的に独自の非常識な算数の理論もどきを作っていて、それを子供に教え込もうとして来ました。
算数教育界の伝統が非常識過ぎるので、家庭内で身に付けた健全な常識によって子供は対応できません。

教師の側にはキーワードパターンマッチングで子供達に処理させる教え方が普及しています。

例えば「ずつのついた数をかけ算の式で先に書く」(掛算順序問題)

添付画像のようなすごいのもある。
そしてさらに算数教育界の非常識な伝統を学んだ「数学者」(←カギ括弧付き注意、社会的には有名人)が、【わり算の言葉づかい】が書いてあったら、わり算の式を書かなければいけないとするパターンマッチ教育を勧めていたりする!

小学校算数の時点ですでに大変なことになっているんです!
中学校の数学教育も内容的にひどく劣化しています。

その様子については以下のリンク先の具体例を参照。試行錯誤が必要な真の数学的課題をやらせるのではなく、キーワードの暗記を強いるスタイルが堂々と導入されている!

「漢字で書け」「教科書通り書け」の世界。そんなものは数学でも何でもない。
言葉を覚えているかどうかは数学の本質とは何も関係ないのに、漢字で書けないとバツになったり、教科書通りに書けないとバツになる試験(内申書に影響する!)が、中学校の数学教育で定番になっているのだ。

大島さんが指摘している問題は(このままだと)今度さらに悪化すると予想されます。
数学の理解において、言葉を漢字で書けるようになっても無意味。

途中で間違った道に入ったり、計算ミスをしたり、誤解してしまったりしながら、少しずつ正しい考え方に近付くことができるようにならないと全然ダメなのに、そういう要素を数学教育から取り除く流れが強化されている。
赤字で「ひらがなは❌」となっている問題の主題が【知識理解】になっていることに注目!!!

現在の中学校の数学教育における知識理解は漢字で数学用語を書けることとされているのです。教科書通りに忠実に!
数学における真の知識・理解とは、数学的に普遍的に何が成立しているかを知っていてかつ理解しており、試行錯誤によって未知の状況にも対応できる頭の使い方をできることです。

用語の暗記は無関係です。

この件について、中学生の保護者達は注意した方がよいです。
それ、私も気になっています。

カイ二乗検定=χ²検定のχはカイであり、決してエックスではないのに、「伝統的に」ある種の人達はχをエックスの意味で使う習慣になっているみたいです。

ギリシャ文字のカイχを使ったことがないのでしょう。
数学的教養が貧困な人が問題を作っている。
kanielabo.org/edmath/thirdme… で大島さんが指摘している問題については、小学校や中学校でのおかしな算数数学教育の方針まで視界を広げて考えるべきことであり、その被害者達のほんの一部分が高等教育で観察されているとみなすべきだと思う。

被害者が加害者に回るループをどのように破壊するかが問題。

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20 Jan
#数楽

Xを[0,1]上の一様分布に従う確率変数とすると、その分配函数(モーメント母函数)は

Z(β) = E[exp(-βX)] = (exp(-β) - 1)/(-β).

これの逆数が β/(1 - e⁻ᵝ).

カノニカル分布の密度函数

p(x) = exp(-βx)/Z(β)

はBernoulli多項式の母函数。続く
#数楽 [0,1]上の一様分布をℝ上の適切な弱い条件を満たす任意の分布に一般化することによっても、Hurwitzのゼータ函数やBernoulli多項式を一般化できる。

正規分布の場合のBernoulli多項式の類似物はHermiteの多項式になり、正規分布に対応するHurwitz型ゼータ函数の特殊値として出て来る。
#数楽 というような話よりもずっと色々なことが

nbviewer.jupyter.org/github/genkuro…
Hurwitzのゼータ函数の話

に書いてあります。
Read 6 tweets
20 Jan
【こわい人たちの議論に巻き込まないで🥲】←有害なトンデモ本の宣伝をしながら、こういうことを平気で言う?怖い😰

【P値の不適切解釈】については豊田『瀕死本』以外の文献にも書いてあります。

『瀕死本』がトンデモ本なのはP値の代わりに【仮説が正しい確率】の使用を勧めているからです。続く
豊田『瀕死本』ではP値ではなく【仮説が正しい確率】を使うことを勧めているのですが、【仮説が正しい確率】の具体例を見ると漸近的にP値と一致している数値になっていたりするので、この本は実質的にP値ではなくP値を使うことを勧めていることになっています(笑)。続く
例えば豊田『瀕死本』の図5.2, 5.3のphc=「仮説が正しい確率」はそれぞれに対応するP値にほぼぴったり一致しています。

添付画像のグラフとソースコード nbviewer.jupyter.org/gist/genkuroki… を見て下さい。

この一致は偶然ではなく、一般的に成立しています。
Read 19 tweets
17 Jan
8割おじさんの西浦博さんの数学セミナー誌での連載を読んだときの印象は、「数学に強い人が、疫病が広がる様々なパターンで経験を積めば、沢山の人達を救える可能性が出て来る!面白い!」でした。

現代版ナイチンゲール!

世界中にいる西浦さんの仲間達の経験の蓄積が西浦さんの分析の背景にある。
そういう経験蓄積部分は単独のモデルを見ても絶対に分からない。

これ、普通に非常に面白い話なので、西浦博さんには面白い話を継続的に気持ちよくしてもらった方が、我々の次の世代を守るために役に立つと思います。

西浦さんに連載を依頼した数学セミナー誌はすごい。
少女時代のナイチンゲールさんに数学を教えたのは6歳年上のシルベスターさんや24歳年上のケトレーさんです(家庭教師)。

数学の知識はナイチンゲールさんの「闘争」で非常に役に立ちました。

wakara.co.jp/mathlog/202005…
Read 4 tweets
13 Jan
#Julia言語

Juliaでの最適化では、函数の定義で

function f(x::Float64)::Float64

end

のように「型指定」しても全然__速くならない__ことを理解しておく必要があります。

function f(x)

end

のままで最適化できることを知らずに、一所懸命「型指定」するのは時間の無駄。
#Julia言語 函数の引数の「型指定」をするのは、multiple dispatchを使うためです。例えば

function f(x)
広く通用するアルゴリズムのコード
end

と定義しておいて、Float64専用の同名の函数を

function f(x::Float64)::Float64
Float64に最適化されたコード
end

と定義するとよい。
#Julia言語 しかし、

function f(x)
広く通用するアルゴリズムのコード
end

の段階で十分高速なコードを書ける場合も多いです。

それを可能にするのが、型の伝搬を促すコードの書き方です。

Juliaでは「型指定」ではなく、「引数の型の伝搬」で考える。
Read 35 tweets
12 Jan
#数楽 そうなんです!ベータ函数や超幾何函数達は非常に面白い!高校で微積分を習っていればめっちゃ楽しめる。

B(p,q)=∫_0^1 x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx

がよく使われるが、

B(p,q)=∫_0^∞ t^{p-1}/(1+t)^{p+q} dy

およびさらにt=u^{1/p}やt=u^2とおいた場合も応用上重要な点は盲点になり易い。 Image
#数楽

B(p,q)=∫_0^∞ t^{p-1}/(1+t)^{p+q} dy

型のベータ函数の表示で t を t²/ν で置き換えて、p=1/2, q=ν/2 とおけば、本質的に自由度 ν のt分布が得られます。

t分布は非常に基本的な確率分布なのですが、ベータ分布の特別な場合(p=1/2)の変種と思えます。F分布はp=1/2の特殊化をやめた場合。 Image
#数楽

B(p,q)=∫_0^∞ t^{p-1}/(1+t)^{p+q} dy

型のベータ函数の表示を知っていれば

Γ(p)Γ(q)=Γ(p+q)B(p,q)

を y = tx (yを直線の傾きtに変数変換)の形の積分変数変換で示せます。その計算の過程も面白いので知っておいて損がないです。

大学新入生向けの計算練習の題材としてもよい。 Image
Read 19 tweets
11 Jan
#Julia言語

Juliaでは

foo(f::函数, X::配列など)

の形式で、配列Xなど(generatorやiteratorを含む)のすべての要素に函数fを施した結果に "foo" の操作を施せる場合が多数あります。

例えばXの要素の絶対値の最大値と和はそれぞれ

maximum(abs, X)
sum(abs, X)

二乗和は

sum(x->x^2, X)
#Julia言語 二乗和は

X = randn(10^6)
sum(Base.Fix2(^, 2), X)
sum(abs2, X)

のようにも書ける。Fix2(f, a)は本質的に x->f(x, a) です。読み易さは x->f(x,a) の方が上のことが多い。

1.96より大きい要素の割合は

count(>(1.96), X)/length(X)

using Statistics
mean(>(1.96), X)
#Julia言語

Xのすべての要素に手続き f を施すには

foreach(f, X)

返り値はforループと同じnothingになります。

Xの要素に函数 f を作用させた結果を集めたものは f.(X) だけではなく

map(f, X)

で作れる。

これら以外にもmaximum, minimum, count, sum, mean, …も似た使用法が可能。
Read 15 tweets

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