# 米議会襲撃 と #MeToo 襲撃の最中、部屋に隠れ難を逃れようとしていたAOCことオカシオコルテス議員。動画配信で自身が #性暴力サバイバー であることを初めて明かす。襲撃時に部屋のドアを叩かれ「どこだ!」と言われた時、トラウマが蘇り震えが止まらなかったという。 forbes.com/sites/siladity…
動画で議員は被害の内容については触れなかったが「共和党の議員らは忘れろという。これは加害者の手口です。私は性的加害のサバイバーです。これまであまり多くの人には語ってきませんでしたが、トラウマがあると、トラウマ同士で増幅されるものなんです」とサバイバーならではの心境を語ったという。
動画の一部「奇妙なことにこういう時って時間の感覚がわからなくなります。5秒だか10秒の時間がとても長く感じました。いろんな考えが頭をよぎったのです。そして…ああ、すべてが終わった。もう死ぬんだなと思いました。後は皆さんに引き継いでもらうしかないんだなと…」
ワシントンポストによると、ドアを叩いていたのは議事堂警察員だった。安全なところに避難させるために呼びかけていたのだ。だが恐怖に囚われてしまった議員は、その区別すらつかなかった。ひたすらトイレに隠れ危機が過ぎるのを待った。議員にとっては「臨死体験」だった。 washingtonpost.com/nation/2021/02…
動画は90分もあるそうだが、まだ全編は通して見ていない。ただ多くの報道から読み取れるのは、議員は性暴力被害の内容についてはけっして語らなかったと言うこと。でもその話をする時には、勇気を振り絞って、涙を堪えて語っていたと言うこと。そして彼女が今回の襲撃を人一倍許せない理由が解った。
それはこのフォーブスが「注目の発言」としたものに表れていた。

「彼ら(共和党)は前に進むべきだ、大したことではない、起こったことは忘れるべきだと言う。謝れとさえ言います。これは加害者たち(abusers)の手口です。私は性暴力のサバイバーです」と。彼女は暴力を軽んじる者が許せないのだ。
“sexual assault AOC“で検索すると多くの反応が見られる。このツイートもその一つ。

男性の有名人をして「AOCが性暴力サバイバーであるとカミングアウトし、涙を堪えながら、これを右派の組織的な蹂躙行為と遜色なく重ね合わせた。まさに戦士の行いだ。ありがとうAOC」と言わしめた。
オカシオコルテス議員ことAOCをご存知のない方はこの動画を。
続報。米誌 @usatoday によるとトラウマの専門家はオカシオコルテス議員の語ることに「耳を傾けるべきだ」と言う。臨床心理士のギリハン医師によると、トラウマを持つ人は新たなトラウマに直面すると、それが異なる類のトラウマであっても同様の感情を呼び起こすのだという。 usatoday.com/story/life/hea…
ギリハン医師「トラウマは概念で識別しません。“性暴力“であるか“議事堂襲撃“であるかを識別しないのです。識別するのは、極限の危機感、無力感、自分の生き死にをコントロールできないという絶望感です。外部から見れば要因が異なるように見えますが、心や体は全く同じものとして受け止めるのです」
トラウマ反応はその人の経験したことが神経系の処理できる範囲を心身ともに超えた場合に生じるという。

トラウマを専門とするサックス医師「トラウマ化された経験は、極限の不安や無力感、恐怖を感じた時に生じます。それが時間をかけてさまざまな症状や反応となって顕れてくるのです。」
記事によると、トラウマ反応はさまざまな態様で起こるが、人間の体には一つのストレス反応系しか存在しないのだという。例えば最初のトラウマが自然災害によるもので二番目が自動車事故だった場合、一見すると全く違う出来事であっても、事故は災害の時と同じ感情を呼び起こすのだという。
ゴメス教授(心理学)は、性暴力は被害者らの「力を奪う侵害行為」で、議事堂での叛乱も同様に「力を奪う行為」。有色人種の女性等「特定の標的に狙いを定めたもの」だったため「AOCその他の個人が示しているのはその極限的状況に対する通常の反応であり性暴力と叛乱には密接なリンクがある」とする。
記事によると、動画でオカシオコルテス議員はこう語ったという。

「彼らは忘れろと言う。大したことではなかったと言う。その出来事がどれほどの損害や、身体的損傷や、命の喪失、そしてトラウマを植え付けるものであったを全く顧み流ことなく」
前出のギリハン医師「トラウマに時間の観念はありません。トラウマを持つサバイバーはよく、過去の経験が落ち着いたところに新たな出来事が発生して、神経生物学的なレベルで洪水のように過去のトラウマとの関連付けが一斉に起きることがあります。彼らのなかではこれが、ほんの一瞬で起こるのです」
記事によると、人は自己防衛の一環で、暴力的な或いは痛みの伴う経験をした者と極力距離を置きたがるという。「彼女は過剰に反応している」だとか「自業自得だ」と言った、“被害者バッシング(victim blaming)"にも見える反応を示す。

その理由について、前出のゴメス博士はこう話す。
ゴメス博士「トラウマは、受け入れ難いものです。レイプや暴力が日常茶飯事な世界に生きていることは認め難いものなのです。だから容易に現実を否定したいという心理が働いてしまう。とくにそうした固有のトラウマと無縁な立場にある人間ーたとえば白人や、異性愛者や、金持ち、男性などは」
オカシオコルテス議員に対する過剰の反応は、彼女のジェンダーに起因しているのだろうと、専門家たちはみる。彼女に起きたおぞましい出来事を、単純に彼女がか弱いから、神経質だから、或いは政治的な目的があるからと片付ける方が楽だからではないかと。

前出のサックス医師はこう言う。
サックス医師「女性は常にマージナライズされてきたため、歴史的にも否認や否定の対象となりやすい。彼女が嘘をついているだとか、誇張しているとい言うのは、容易いことなのです。そうすれば現実に起きた真におぞましい出来事から目を背けることができるからです」
オカシオコルテス議員はこうした否認を「加害者」の論理だとしたが、この点については専門家たちも同意見だという。否認や被害者バッっシングは加害者の常套手段なのだと。

ゴメス博士は次のように語った。
ゴメス博士「加害者は(被害者に)沈黙を強要します。問題は、このような沈黙の強要は暴力が実在する現実の世界に生き、暴力を実際に経験する人たちを全否定する心理的虐待(crazy-making=ガスライティング)にほかならないことです。その世界には、暴力だけでなく喜びも存在しているのですから」
究極のトラウマは「信じてもらえないこと(being disbelieved)」

記事によると、トラウマを持つサバイバーにとって、周囲の支えは回復に不可欠なものなのだという。トラウマを伴う経験のあとで必要な支援を得られないと、それが二次的なトラウマを生じさせてしまう場合があるからだ。
だから周囲の反応が重要となる。トラウマ的な出来事を真摯に受け止めない周囲の反応は、深刻な影響を及ぼす。

ギリハン医師はこう語る。

「政治的には容易に予測できることですが、トラウマ的な出来事を暴露することは否定とヘイトを呼び起こします。」

そしてこう結ぶ。
ギリハン医師「でも、その真逆ができれば素敵だとは思いませんか。誰しも、生きていたらどこかでトラウマ的な経験をすると思います。そういう時に、それぞれが、できるだけ支えられる立場にいる必要があるのではないかと思います」

全く同感だ。

抄訳は以上
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