Thread by @yunod

#スコットランド議会選挙 についておさらい。本当はブログかどこかにまとめておくべきなんだけどとりあえずはツイートで。

投票日は5月6日（木）で即日開票。129議席を争う。選挙方式は、小選挙区制と政党名簿比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表連用制（AMS: Additional Members System）。

AMSは選挙区民と代議士の距離感が近い小選挙区制と得票率が議席数に反映される比例代表制の良いとこ取りを目指す制度で、constituency (小選挙区)・region (名簿)という2つの票を投じる。議席配分法は以下を参照。
yunodinnie.wordpress.com/2009/08/26/%E7…

スコットランド議会の場合、小選挙区が73あり、それぞれ1議員を選出。名簿は8つの地方別に分かれていて、それぞれ定員は7議席となっている。前回2016年の選挙結果は以下を参照。SNPが小選挙区で圧勝しているため、名簿の方は得票率が41%を超えていても追加は4議席のみ。
ballotbox.scot/scottish-parli…

純粋な比例代表制ではなく小選挙区要素があるために、名簿を使って議席配分に得票率を反映させるに限界があることがここからもわかる。小選挙区議席の数が名簿議席より多いので、圧倒的に強い政党がある場合、小選挙区だけで得票率を超える議席数を確保してしまうことができる。

2016年に議席を獲得した政党は5党あり、勢力順（当時）にSNP（スコットランド国民党）63、保守党31、労働党24、緑の党6、LibDem （自由民主党）5。うちSNPと緑の党はスコットランド独立を求める党で、保守党・労働党・LibDemは独立に反対している。2011年以来独立支持勢力が議会の多数を占めている。

与党SNPは2007年に初めて政権を獲得し、2011年・2016年と与党の地位を維持。2011年には比例代表制では珍しい過半数を獲得しており、それが2014年の独立投票（independence referendum）を実施するきっかけになった。今回の選挙で再び過半数を獲得し独立投票再実施を実現することを目指している。

ただし、レファレンダムを実施するにはUK政府の許可（section 30 order）が必要とされているので、過半数を取れば自動的に独立投票を実施できるわけではない。ボリス・ジョンソンはすでに「絶対許可しない」と宣言済み。ちなみにsecion 30とはスコットランド法第30条のこと。
legislation.gov.uk/ukpga/1998/46/…

（条文読んでもわかりにくいと思うけど、要するに「本来は女王（の代理であるUK内閣）が保留している権限を特定の状況で一時的にスコットランド政府に移譲することができる」という規定で、これを適用しますという指令がsection 30 orderです。）
bbc.co.uk/news/uk-scotla…

（今日ニュースを騒がせたアレックス・サモンド新党設立の背景などについてはまた明日にでも）

@threadreaderapp please unroll

一点訂正。今回はコロナ規制のため即日開票はせず、金・土曜に分けて開票することになったそう。木曜深夜にテレビにかじりつく伝統はおあずけです…😔

https://twitter.com/yunod/status/1375629015306866693?s=19

ついでに書き忘れてたことを追加しておくと、選挙権があるのは16歳以上のスコットランド住民。スコットランドに合法的に居住している人は国籍を問わず投票できます。