検索したら、清さんはすでに去年の9月に話題にしていた。

問題文に、高校の教科書のように「恒等式」と書かれていない点から、注意深く問題文を作っていることが分かる。

さらに、「これで正しい値が得られる理由を説明した動画がほしい」と書いてあって、私と意見が似ていることがよく分かる。
清さんには悪いが、わざとつまらない書き間違えを含むバージョンもRTしてしまった。

非本質的な所で非常につまらない誤りを犯すことは数学をやっている人達には共通して見られる特徴の一つだと思う。
「これで正しい値が得られる理由を説明した動画」では、ラグランジュ補間の一般的な公式まで説明してくれると(大して難しくない)、それを見た人は受験勉強を通して真に役に立つ数学的道具の1つを手に入れることができる。
等式①が多項式の等式とみなせることを経由する解説を希望なのかもしれませんが、仮に等式①の両辺を定義域が{x∈ℝ|x≠0,-1,-2}の函数とみなしたとしても、x→0,-1,-2の極限はxに0, -1, -2を代入したものに等しくなるので、多項式が出て来ずに、函数しか出て来ない経路をたどることも容易です。
先の発言を

「例えば『x=0を代入して』を『x→0の極限を取ると』に書き直せば減点されずにすむ」

のように解釈して広める人が出てくると、私はめちゃくちゃ困る。

実際の大学入試での答案でそういうのが続出するようになるのは本当に怖い。

数学的に非本質的な所での小手先の工夫はよくないです。

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30 Mar
#数楽 私の線形代数のノート(問題集の形式、多分まだ公開していない)から関連する部分のスクショを貼り付けます。

多項式のユークリッドの互助法(最大公約多項式を多項式係数一次結合で作れること)と有理函数の部分分数展開とLagrange(-Sylvester)補間公式は本質的に同じ話題。

1/8~4/8
#数楽 多項式のユークリッドの互助法(最大公約多項式を多項式係数一次結合で作れること)と有理函数の部分分数展開とLagrange(-Sylvester)補間公式は本質的に同じ話題であることの続き。

5/8~8/8
#数楽 例:互いに異なるα_1,…,α_n∈ℂについて、f(x)=(x-α_1)…(x-α_n)とおき、p(x)をn-1次以下の複素多項式とするとき、

p(x)/f(x)=a_1/(x-α_1)+…+a_n/(x-α_n) in ℂ(x)

を満たすa_i∈ℂ達は、両辺にf(x)をかけて、xにα_iを代入することを経由して、

a_i=p(α_i)/f'(α_i)

で求められる(一意的)。
Read 15 tweets
29 Mar
わざわざ調べてコメントして下さって参考になりました。

「多項式」を「整式」と呼ぶことがローカルルールであることはよく知られていると思いますが、「有理関数」が「有理式」と同じ意味で、どちらも多項式環の商体の要素を意味することが普通になっていることは、まだ広く知られていないと。
あと、代入の操作が多くの場合に環の準同型写像(など)になっていることも、高校生に数学を教えている人達に広く知られていないかもしれないのかな、と思いました。

例えば、体Kとその拡大体Lとその元α∈Lに対して、f(x)∈K[x]にf(α)∈Lを対応させる写像K[x]→Lは環の準同型写像写像になっています。
例の続き。さらに、a∈Kとaと異なるα∈Lに対して、f(x)∈K[x, 1/(x-a)]をf(α)∈Lに対応させる写像K[x, 1/(x-a)]→Lもwell-definedな環準同型写像になっています。

x-a以外に可能な分母の種類を増やしても、同様にしてwell-definedな環準同型写像を「代入」という操作で作れます。
Read 9 tweets
29 Mar
#超算数 高校の教科書でも説明が結構雑い。

「式」という用語はひどく曖昧で、

* 1/x と (x + 1 - x)/x と (x-1)/(x(x-1)) は「式」として等しいのか?

という問いにこの教科書の読者は答えることができないと思う。

検定329 数研 新編数学II p.17
#超算数 最近の例の話題との関連では

* 1/x と (x + 1 - x)/x と (x-1)/(x(x-1)) は「式」として等しいのか?

だけではなく、

* 等しい「式」を函数とみなすときの定義域はいつも同じになるのか?

とも問いたい。

教科書の説明がひどく曖昧な問題は我々が指摘して来たことの1つ。
#超算数 数学的本質を捉えた高校生の答案には難癖をつけるが、中高の数学の教科書の説明が不明瞭な点について何も問題にしない。

さすがにそれはまずいと思います。

(下手をすれば教科書に書いてあることと違うことをやっているから減点すると言い出しかねないのではないか?)
Read 13 tweets
28 Mar
#Julia言語 リポジトリを覗くと、Juliaのコア開発者の側がabstract typeにフィールドを付けられるようにすることを提案し、議論の結果、そうしない方が良いことを説得されるという胸熱な展開があります↓

github.com/JuliaLang/juli…

Juliaの仕様に関するリポジトリでの議論は非常に面白いです。
#Julia言語 技術的に健全な議論の模範として、過去のJuliaのリポジトリは利用可能。

誰も実現したことがないプログラミング言語の基本仕様を「みんなで話し合って決めて行く」という困難なことに成功している稀有な例。

一人のスーパースターが仕様を決定する方が楽なのに全然そうなっていない。
#Julia言語 abstract typeにfieldsを付けるという提案が覆されたポイントは以下の2つの発言だと思います。

github.com/JuliaLang/juli…

github.com/JuliaLang/juli…
【プロパティはフィールドというよりメソッドに似ています】
Read 8 tweets
28 Mar
「立式」は「問題を解くために役に立つ式を作ること」という意味だと誤解する人が多いので、たとえ鉤括弧付きでも使用する場合には説明を付けた方がよいと思いました。

「立式」の意味は概ね「『式  答え 』形式の解答欄の式の項目に先生が暗黙のうちに要求している式を書くこと」です。続く
そして、暗黙のうちに先生が前提にしていることは、

* 場面や考え方を忠実に表現する式が決まっている。
* 問題文をそういう式に変換する「立式」が重要である。

です。これは極めて有害な考え方なので、「立式」を考えることが有害であることをはっきり毎回言って欲しいと思います。
算数教育界ではそもそも「式」の概念自体が非常識なので、学校関係者と算数の話をするときには相手が「式」という言葉を使っていても、非常識な意味で「式」という言葉を使っている可能性を疑う必要があります。

算数で子供達の多くが非常識な「式」概念を強制的に学ばされています。続く
Read 7 tweets
27 Mar
#Julia言語 配列に関するforループ3題

gist.github.com/genkuroki/94a4…

①整数の和

for x in A
@ inbounds for i in eachindex(A)

よりも

for i in eachindex(A)

が遅い。配列の要素に A[i] の形式でアクセスする場合には論理的なデバッグが終わった後に @ inbounds を付けると速くなる。
#Julia言語 配列に関するforループ3題

gist.github.com/genkuroki/94a4…

②Float64の和

@ simd for x in A
@ inbounds @ simd for i in eachindex(A)

は速いが後者から@ inbounds @ simdの片方を削除するとかなり遅くなる。
#Julia言語 配列に関するforループ3題

gist.github.com/genkuroki/94a4…

③配列にはメモリオーダーでアクセスした方が速い。

2次元配列 A[i, j] の話をforループで計算する場合には、

for j in axes(A, 2)

を外側に

for i in axes(A, 1)

を内側にするべきである。これを逆にするとかなり遅くなる。
Read 5 tweets

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