Thread by @HiromitsuTakagi

法律案審議録（情報公開もの）を読んだ感触からすると、12月末には法案内容が決まって、改め文が作成され、その後に変更があると両方直さなくてはいけなくなり、変更がしんどくなる故に、変更の必要性の検討に重圧がかかるように見えた。IT化されていればマウスドラッグで変更できるようになるはず。

https://twitter.com/lawvis/status/1402262489354678276

もっとも、「法案の形式より内容に注力する時間」といっても、法案の内容それ自体は基本的に12月までに決まっていて、その後の作業は技術的なもの（法制執務上の技術）なので、「内容に注力」というよりは、より的確な条文に仕上げるとか矛盾なくするとかそいう作業。それがITで迅速化するとおそらく…

…く、法案の内容の確定時期が後ろにずれ込むことになるのでは。改め文作成開始後の技術的作業はしんどくて無駄と言うけど、本当に大変なのは内容を決める12月までで、その後の技術作業は一仕事終えた爽快感の中での最後の仕上げ、頭を空っぽにして作業しつつ論理誤りを見つけたりする日々ではと想像。

ただ、そのコストが大き過ぎるが故に変更の必要性の議論を妨げてしまうという構造はよろしくない。法令協議は変更しない前提で行われ、論理矛盾が見つかっても直そうとしない。もっと早い時期にやればいいが、完成していないと協議にかけられないし完成していると協議にかけても直さないという矛盾。

そして国会審議は形骸的。与党審査はレクを受ける程度。提出時点で後は賛否のみ。論理矛盾を直す機能はほとんど果たしておらず、立案当局からミスに気づいた誤りを議院修正でと依頼される程度。野党修正も検討の経緯を踏まえないと的外れになってしまうが、法律案審議録はその時点で公開されていない。

建前としては法案の内容自体は早い時期に決まり条文はそこから導出されるものであって、技術的修正は内容に影響するものでないということなんだろうけど、現実にはそうではないことがしばしば。となれば、早い時期から技術的修正を容易にして、協議やパブコメで修正の余地を持てたらいいのにとは思う。

その点、条文作成が当初から閣議決定まで極秘で行われるのは何なのか。反対意見が勢いづくのを防止するため？結局、法案の内容（大綱とか）を公表する時点では曖昧にしておいて、法制的作業と称して実はそこで極秘に内容を詰めるという展開に。大綱でパブコメやっても賛否確認の機能にしかならない。

他方で、施行令・施行規則案は、条文レベルでパブコメにかけられ、修正の余地も少なからずあるわけで、これに比べて法律案の方の閉鎖性が際立つ。法律案に論理的欠陥（内容的な反対ではなく）があると外から指摘する余地がない。（ま、論理的欠陥はない前提なのだろうけども。）

一昨年の著作権法「侵害コンテンツのダウンロード違法化」改正で、当初案が閣議決定見送りになり翌年出し直しとなる際に、出し直しの検討に際しては条文レベルで検討することとなった。あれは異例だったのか画期的だったのか。あの検討方法が日頃からできていればいいのに、できない原因はどこなのか。