どんなに効率が悪くなっても行政権力への監視は怠ってはいけないし、国民の権利は保証されなければならない。例えば警察官を考えてみると我々と変わらない普通の人々なのだが、ここがまさに問題で、時の政権の意向で粛々と業務を行う。「これは立憲主義の精神に反するから従わない」などとは考えない。
ごく普通の人間は、与えられた環境の中で合理的に工夫をする。「そもそもそれが正しいのか」とは考えない。そんなことを普通の人間に要求するのは酷でさえある。環境合理的であれば不当逮捕もするし、拷問まがいのこともするし、不作為もする。抑圧的な政治権力と普通の人間の組み合わせが一番怖い。
日本に限らず世界中で言えることだが、一番短かな日本人に関していうと、そこまで強固な個人はいない。職務には精励し工夫も怠らないが、「そもそも論」より迎合的な勤勉さに流れる。国民も黙っちゃう傾向が強い。日本人に限らないのだろうが、少なくとも我々は勇気のある個人が少ない国民ではある。
「歴史に学べ」という陳腐はことは言わない。ただ我々日本人に関する限り、自力で自由を勝ち取った実績が無い。行政権力に毅然と立ち向かった人がいなかったわけではないが、そういう人を応援した事例は皆無に等しい。過去にできなかったことが今後はできるという根拠は何一つない。
自殺した近畿財務局の赤木さんの事例も典型かと思う。何もないじゃ済まないから「コイツを逮捕して幕引きかな」としたのだと思う。同僚がスーッと異動し、会計検査院や検察から連絡受け続けた日々は正気を失うほど怖かっただろう。彼を死に追い込んだ人々がすべて普通の家庭人であることは重要である。

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29 Jul
いい歳して昔語り、自分語りをやめろという方がいます。しかしですね。たま〜に作っている料理や、たま〜にやる家事をアピールする男性研究者こそどうかと思う。配偶者の方こそ気の毒だ。配偶者の方の精神的献身に感謝した方が良い。
それ、昔、舛添要一さんがゴミ出しを自分がやっていると自慢していたのと比べて全然進歩していないですから。
ちなみに僕が婚約者と暮らしていた時は、炊事・洗濯・その他家事全般は僕がやってましたが、彼女はたまに思いついたように凄い豪華料理作りました。で、それで燃え尽きて後片付けはしないのでコバエが沸きました。結構迷惑でしたが顔を立てるため褒め称えてました。
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28 Jul
>RT。これなんですよ、北海道時代の僕を悩ませたのは。北海道も夏は暑いのです。7月は本州とそんなに変わらない。ところが「北海道は涼しい」というイデオロギーがあって、冷房ない施設が多いのです。夏とか研究室は大変でした。
今はどこの大学もなんだかんだで夏休みは行事ごとで埋め尽くされておりますが、私の前任校も東京本校からゼミ合宿とかイベントに使われまあ駆り出されるわけです。その時、当時の教養部長がダラダラ汗を流しながら「北海道は涼しくて良いよね」と言ってたのが印象的で。イデオロギー凄えと思いました。
その時の教養部長は、神戸のご出身でしたが、教員でも北海道出身者と内地出身者で反応違ってましたね。北海道出身者は、「こんなクソ暑い中で仕事できるか」という反応で、内地出身者は汗ダラダラで「いやあ北海道は涼しい」とゆずりませんでした。面白いなあと思いました。
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27 Jul
イジメを受けないように明言しておきます。「頭良い秘書」と書いています。性別は書いておりません。フロイライン・マリンドルフは、「頭良い秘書」の事例として触れたまでです。
昨年は女子カーリングに注目するツイートをしたら「吉村先生は結婚してますよ」とリプ受けてとても遺憾でした。「カーリングが面白かった」「とりわけ女子の場合はメダル実績があるので可能性大」「大会が故郷の稚内で行われた」「北海道銀行は僕のメインバンク」としか書いていなかったはずです。
「お金さえあれば有能な秘書を雇いたい」。スケジュール管理してくれて、資料を整理してくれて、交渉ごとの手伝いをしてくれて、有益な助言をしてくれれば、年長男性でも性的少数派でもかまわんわけです。そこをお間違いないように願います。ただ金がないので夢想です。夢想くらいしても良いでしょう。
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25 Jul
産経新聞に藤本龍児さんの『ポスト・アメリカニズムに世紀 転換期のキリスト教文明」(筑摩選書)の書評を書きました。【書評】『「ポスト・アメリカニズム」の世紀 転換期のキリスト教文明』藤本龍児著 「トランプ後」米国の読み方 sankei.com/article/202107… @Sankei_newsより
7月25日(日)です。文字数的に「書評」というより「紹介」という感じに近いものですが、記事の方はご笑覧を、本の方は真剣にお読みいただければ幸いです。
依頼してくださった記者の方が北海道出身とのことで、「本書は広く読まれるべき」ということはさておき、同胞の依頼を断る選択肢はそもそもないなと(笑)
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31 Jan
稚内→札幌→長万部→東京と移住した僕には地縁も血縁も縁故もない。札幌で職が見つかるか、東京進出があと20年早ければ違っていただろう。どちらもかな話なかった。申し訳ないが最後は腐乱死体となって家主の資産価値を落とすだろうが、僕の世代はそんなのばっかりだろうから責任は当然社会にもある。
社会問題(失政でもある)である以上、就職難だったり、就職しても昇給も昇進も抑えられ、年金もどうなるか分からない中で、増え続ける税金(どうせ新型コロナの財政出動分の税金もちょうど僕のキャリアの間中くる)を払い続けてきた世代が腐乱死体を晒すことまで責められるいわれはない。
それにしても学問の役立つことよ。「18世紀の植民地時代のアメリカ」の学識でも飯が食える。
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31 Jan
母から電話。母は75歳で一軒家に住んでいる。もともと家族4人が暮らしていた家を父が定年退職した時にリフォームして造りはしっかりしているが、思えばそれから20年たち外壁に劣化が出始めた。今期の稚内は吹雪も酷くそんな中、近所の公営住宅に入ろうと考え始めたという。来週市役所に相談に行くと。
「どうだろう?」という電話だったが、可能であれば良い考えだと思った。実は僕も悩んでいた。「サ高住」に入るには母はずいぶん元気だ。しかし札幌移住が必要になる。稚内にもあるが、僕にも弟にも遠すぎる。しかし稚内に嫁いで稚内から出たことない母を札幌に移住させるのはかなり難儀だ。
中継ぎ(元気な状態〜介護が必要な状態の間)をどうしたら良いものかと悩んでいた。老母一人には一軒家は広すぎて維持が大変。元気な間に稚内市内の公営住宅に引っ越して(友人関係は変わらない)、ゆるゆると実家を売るなり更地にするなりの終戦処理に入るのは良い考えだと思った。
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