俺の若い頃の趣味の1つがMMORPGでネカマやる事だったんだけど、ある時、いろんな人格を同じゲームで演じて、同じ人間がそれぞれどう対応するか見てみようというかなり悪趣味な事を試した事がある
一番他人から優しくされたのは「地位が高い男」で、一番他人から攻撃されたのは「性的魅力の無い女」というのはもう当たり前なのでどうでも良いとして

意外なことに、我儘で強欲な人間は人間関係に全然苦労しないという事にかなり驚いた記憶がある
我儘で強欲な人間のイメージとしては、物を恵んで貰える事はあっても、継続的な人間関係は築けないだろうというのがあった

ところがどっこい、他のアカウントと比較しても多めのフレンドが居たし何かと呼ばれる状態だった
後はアレだな、喋り方や性別や好き嫌いを変えたりしても友達ってのはあまり変わらないんだけど、価値観を変えると極端に変わるのが興味深かった

例えるなら「トイレ流してないかも知れないけど、まあ次の人が流すでしょう」くらいの変化でも、周りの人間を総入れ替えする程度の影響力がある
こうした実験を通して分かったことは、人々の間で漠然と共有されている「愛される性格」とか「他人から攻撃される性格」と現実にそうなるものの間にかなりの相違があり

中でも面白いのは、人間は「差別をしない人間より差別をする人間の方が遥かに好き」という事だ
これは理由を説明するのがかなり難しい。理解に苦しむのは、日頃は反差別的な立場を表明している人間でさえ、差別的なアカウントに対してより友好的だったのだ

恐らく、人間は誰しも差別を求めているのだろう「世界で一番好かれたい」という差別をな。裏返せば「自分以外を嫌ってほしい」でもある
そういった欲求に対して、差別的に振る舞う人間の何かが引っかかるのかして好感度が高まるのだろう

それとも単に、何も主張せず曖昧な立場を取る人間より、反社会的であってもはっきりと主張する人間が好かれるだけかも知れない。とにかく差別はした方が好感度は高かった
価値観の違いは性格の違いよりも大きいという話と、我儘な方が人間関係が良かった、という話の混ざったエピソードがあって

「いい装備頂戴!」って言うキャラと「装備は自分で作るもの」というキャラは、割とそんなに人付き合いは変わらなかった
一方で装備に頓着しない、クリアできれば適当な拾い物でいいというキャラも作ってみると、そのキャラは全く違う友人関係が発生した

「装備は大事」という価値観を共有しているかどうかの方が、我儘おねだり系か自力制作系かという事よりも遥かに人間関係に影響した
当時は理由が分からなかったが、今思い返すとよく分かる。いい装備をおねだりする人間と、自力で作る人間は、手段が違うだけで目指す場所は同じだから、ほぼ同じ人間なのだ

だが装備に価値を感じていない人間は目指す場所が違うので、違う人間関係になる
表面上のキャラクターの差異よりも、内面的な価値観や思想信条の差の方が、人間関係に与える影響は大きい

この実験の場合、人との向き合い方より、ゲームとの向き合い方の方が、人間関係に与える影響が大きかったわけだ
実のところ、他人に対してどのような態度を取ろうと、さほど影響がないのではないだろうか? 我儘だろうが差別的だろうが、それはさして重要ではなく

最も重要なのはゲームに対して…つまり「社会」とか「仕事」とか「人生の問題」に対してどのような態度を取るかの方が人間関係への影響が大きく

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9 Oct
子宮頸がんワクチンの副反応のデータを調べていくと、人間には一定の割合で「針アレルギー」とでも呼ぶべき人がいるらしく

針を深く刺される事でショックを受けて、自律神経が乱れ、元に戻らなくなるらしい。薬にばかり注目されていたが「特定の物理的な刺激がダメな人間」というやつ
まあ確かに、同じ言葉でも平気な人間とショック死する人間が居るのだから、皮下注射でショック死する人間が居るのも当然の話

恐らくこの話がここまでややこしくなったのは「全ての人間は注射されても何も問題もない」という思い込みによるものだろう
実験として「新しい注射器と古い注射器を比べるので中身はどっちも何の効果もない生理食塩水です」というような事を言って数百人に、ただ単に無意味に注射だけしたらどれくらい有害反応出るんだろうな?
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8 Oct
オタク向け作品と一般向けの作品の差ってのは、どれだけクリエイターが力技で通したかで決まる

オタクはクリエイターに力があれば非現実的だろうが矛盾があろうが全部目を瞑る。逆に一般人は技術なんか興味ないから「こんなんおかしくね?」って部分を嫌がって見なくなる
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気持ち悪さというのは、乗り物酔いもそうだが「座っているのに体が動いている」という認知と現実のギャップに三半規管がやられて酔うわけだ
Read 5 tweets
8 Oct
アニメの博士役は何で男なのか? っつーと簡単で、女性は巨大企業の下で安定した生活を贈りたがるから、基本的に悪役側か助手でしか出せない

娯楽は基本的に主人公側がリスクテイクとしないと盛り上がらんから、女は非現実的になって共感を得られないか、現実的な女出してエンタメとして失敗するかだ
この問題を解消する方法としてハーレム型の物語構造が使用されるわけだ、ハーレムの主である男に全責任を被せつつ、女に超人的な働きをさせることで、まあ共感を失わない程度に現実的なフィクションキャラを制作できる
キャラクター製作時の問題として「能力は大きな嘘を吐いても良いが、価値観や性格の嘘は小さくしなければ観客の共感を失う」という縛りがある

細腕の女がデカい剣を振り回して大男を力で負かしても許されるが、女科学者が社会に認められない形で主人公に技術を提供するような非現実的な性格は使えない
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7 Oct
ブラッドボーンのボス戦の反省がどうSekiroに生かされているという話

まずブラッドボーンは様々な新システムが実装された。武器の変形に銃にリゲイン、こういったシステムは戦闘を革新しなかった。何故なら使う必要が無かったからだ
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せっかく色々なシステムを入れても、プレイヤーが使わなければ意味がない。ゲームシステムへの理解度が高い一部のプレイヤーを除けば、これらのシステムはあまり使用されなかった

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6 Oct
ソウルシリーズの歴史は高難易度3Dアクションゲームのボスの在り方の迷走の歴史でもある

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6 Oct
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問題点があるとすれば、ボス戦の「パズル化」である

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