本当は祝いたかった「ゲーム音楽の宴」
#東京2020 #オリンピック
漫画『ダイの大冒険」のアニメ化作品のEDで流れる『この道わが旅』という曲をご存知だろうか。数あるドラクエソングの中でも珠玉の名曲と言えるこの曲。その一番好きなブラスアレンジバージョンがコレだった。
遥か昔に出されたCDに収録された曲で、今も口ずさんでしまう。でも手元に音源がない。確かテープにダビングしていたはずだが見つからない。そうしてたどり着いたのがこの動画だったが、その過程でこんな動画も見つかった。 #開会式 で使用された曲が全曲収録されている。
リストを見てみると、今でも大好きな曲が目白押しだ。この最高のゲーム音楽が流れるなか行進する各国選手団も、ゲーム世代の人びとならその感動はひとしおだったと思う。まさか #オリンピック の開会式の音楽が全てゲーム音楽で、自分たちが“あの曲“の時に行進できるとは思わなかっただろう。 Image
ゲーム音楽には長い歴史がある。私は今も初代のゲーム音楽レーベル「GMO」が誕生する以前からゲーム音楽が好きで、集めていた。ドラクエについてはなぜか『V』と冒頭で紹介した『Dragon Quest in Brass』(テープ)というアルバムしか持っていないが、『V』はとくに作業用BGMに今も愛用している。
FFは『IV』以降はほぼ全てプレイしたのでOSTも全て持っている。今回 #開会式 で使われた曲には、FF以外でも、『クロノ・トリガー』等、今も愛してやまないゲームの音楽が使われていた(しかも2曲も)。遊んだことのないゲーム音楽も多かったが、ゲーム世代にはたまらないセレクションなのだろう。 Image
#開会式 当日だったか。作曲者として名の知られているクリエイターたちが突然TLに現れて歓喜の声を上げ始めた。「自分の曲が使われている!」と。それはそうだろう。栄光の #オリンピック で自分が心血を注いで作り、世に名作として認められた作品が堂々と流されているのだから、無理もない。
今だからこそ、ゲーム音楽はいちジャンルとして認められ、日本人が創造した文化的財産として、世界中で親しまれ、愛されているが、それには長い道程があった。古くはインベーダーゲームまで遡る。このゲームを初めて音楽にしたのも、日本が誇るYMOだった。私が初めて接したのは『ゼビウス』だったか。
今も当時、中学生だか高校生だった頃に買ったゲームアルバムが手元にある。勿論、最近のゲームも。すべてデジタル音源化してあって、作業用BGMに全アルバムをシャッフル再生するのは本当に爽快だ。

だからゲーム音楽は私の生活と切っても切れない関係にある。その制作にも一度関わったことがある。 Image
『風のクロノア』というナムコのゲームをご存知だろうか。この初代作品のメイン作曲者が実は義理の姉で、その曲名の英語化を手伝ったことがあった。その中でもとくに思い入れがあるのが、この曲だ。残念ながら #開会式 の曲には選ばれなかったが今も大好きなBGM曲で、名曲だと思っている。
この時初めて、ゲーム音楽を作るということがどういうことか。その片鱗を垣間見た気がした。個人的に「名曲」と言え、世界の人びとにも愛されている曲の名付け親になれたことは、私にとっては生涯の誇りとなるだろう。だからゲーム音楽に対する思いには、並ならぬものがある。
子どもの頃から、口ずさんで、耳コピして、楽器で弾いたりしてきた曲が、自分の国が開催する #オリンピック#開会式 で流れる❓『GMO』レーベルが誕生した時に「ゲーム音楽が音楽のジャンルとして認められた!」と子どもながら小躍りして興奮した自分からすれば、まさに「想像し得ない快挙」だ。
喜ばないわけがない。内心は心が躍った。

「クリエイターたちもこんなに興奮している❗️」

一緒に喜びたかった。誇りに思いたかった。
けれどもできなかった。喜べなかった。

こんなコロナ下で、多くを犠牲にして行われる #東京五輪 の開催を、その開会を、喜べるはずがなかった。
新型コロナ下の日本に広がる #貧困 #自殺 #餓死 。国を挙げて五輪ありきでコロナ対策をしてこなかったこと。手厚い補償を行ってこなかったこと。それを世界のメディアにこう指摘されてきたこと。誇れるものは、何もなかった。ゲーム音楽の文化は誇ることができても。
#東京五輪 のため人生で2度の立ち退きを経験した高齢者がいることを知りながら、ただゲーム音楽が誇りだからと、喜びに興じることはできなかった。とてもじゃないが、できなかった。ゲーム音楽史における一世一代の晴れ舞台であっても、その快挙を祝うことが出来なかった。
関係者の人たちが、酷い待遇を受けながら、感染のリスクを抱えながら開会に向けて働いてきた。選手たちを迎え入れる中で、実際に感染した人もいる。開会式前から、多くの人びとが犠牲になってきた。その上にあの華々しい「ゲーム音楽の宴」が成立していた。喜べるはずがない。
そしていざ開催されると、選手たちの命に関わる問題が幾つも浮上した。糞尿にまみれた東京湾のトライアスロン会場、殺人的な猛暑下での運動という予期されたリスクの顕在化。そして選手や関係者たちの相次ぐ感染。でも選手たちはこう誓約させられていた。喜べるはずがない。
そして五輪開催国の国民である私たちの命の安全も、容赦なく切り捨てられようとした。ただでさえ杜撰な水際対策のおかげで外来変異種の筈の #デルタ株 が浸潤して国民の生命が脅かされているところに、政府は更に弱者切り捨てを加速させる政策を実施すると宣言した。
五輪開催のリスクについては、何ヶ月も前から、世界の専門家たちが、新型コロナ対策の先駆者で成功者である人たちが、何度も何度も警告を繰り返してきた。 #変異株 の恐ろしさについて、今、マスギャザリング・イベントを開催することの危険性について。それが日本だけの問題ではないということも。
世界中の専門家たちが、五輪開催に物申した。最低限これに備えなければならないと、こうしてメディアに訴えるだけでなく、論文も国際的な権威ある医学誌に掲載された。でも日本政府も主催者も、耳を貸そうとしなかった。その結果が現在の感染急拡大、医療の更なる逼迫。増え続ける“自宅療養“死…
喜べる要素がどこにある❓

こうして、自分自身も日本の文化として誇る「ゲーム音楽の宴」が行われたとしても、それを今知っても、全く喜べない。でも喜びたかった。五輪それ自体に関心がなくても、ゲーム音楽が主祭となる開会式は見たかった。でも見る気が全く起きなかった。
なぜ今、こんなことを倩と綴っているのか。
思いを残しておきたいからだと思う。

大好きな音楽ゲームの祭典を、他ならない主催者たちによって、政府によって、台無しにされたという個人的な恨み節を。素直に喜べない「宴」をよくも催してくれたなと。なぜ素直に喜べるものにできなかったのかと。
実際、私は先ほどのYouTube動画を観ながら、涙した。

「すごい。本当にゲーム音楽だけでやったのか!なんという快挙だ!あの曲もあの曲も入ってる。世界中で愛されている曲たち。それが開会式に使われるなんて、選手たちもクリエイターたちも感動ひとしおだったろうな」

でも…喜べないから涙した。
喜べないことが悔しかった。

感染対策をしっかりして、手厚い補償も行なって、水際対策もきちんとやって、中途半端に国境や経済を開放せず、実直に、真摯に準備を進めてくれば、まだ「安心安全に」開催できる余地はあった。

だが、主催者らは何一つ満足にやってこなかった。
その結果、今がある。
まさに《忸怩たる思い》がある。

それを綴りたかった。

それが伝わる内容であったならば幸いです。

駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
もう私は、何があろうと #五輪の廃止 しか考えていません。
次の長いスレッドの後のあとがきになりますが、以下お読みください。
スレッドがうまく続いていないかもしれません。
「訳者あとがき」はこちらかです。

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7 Aug
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shar.es/aWrOQQ
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1.より伝染性が高い
2.他の変異株よりも感染した非接種者が重症化する可能性がある
3.最大の懸念が非接種者
4.完全接種者でも #ブレイクスルー感染 した場合は伝染する可能性があるが、接種者の場合、#感染性期間 がより短くなる

と情報を更新。 Image
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